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2006年02月27日

名(迷)脇役、劇用車たち

日頃スタッフに手渡される日割りスケジュールには、沢山の情報が記載されています。 それはシーンナンバーに始まり、撮影する場面、実際に撮影する場所や登場人物の香盤表、そして出演俳優の名前とそれぞれの入り時間等々。

その中でも忘れてはならないのが、陰の俳優と呼ばれる、劇用車の記載です。

劇用車は、その場面場面において必要不可欠な存在であり、それは言うなれば主役の相棒となり、時には悪役の肩を持ち、時にはアクションの見せ場をこなし、ラストシーンでは別れの涙を誘います。

そんな大事な劇用車たちですが、そもそもの台本上では、“〜の車”や“〜花屋のトラック”みたいに大抵アバウトに描かれており、また“警察書表”や“〜病院前”“事件現場の検証”等のように、実際には車両の記載が無くとも、パトカーや救急車、鑑識車を配置する必要を感じる場合には、それらもまた用意しなければならなくなるのですね。

さらにこれらの劇用車たち、この台本の時点では、車種等の想定はなく、準備稿等が制作部や演出部に行き渡ってから、初めて全体的なカーキャスティングに入るようになる訳です。

このカーキャスティング、実際には車両部や劇用車屋さんが色々な意見を元にメインで担当するのですが、これが意外と難しい作業であり、それらはまず、放送される番組枠や協賛各社によって制限が与えられる事になるのです。 つまりメーカー等のスポンサー制限ですね。

その辺がクリアーになると、次は車種。 これは作品にもよりますが、例えば主役が刑事なら、いわゆる“黒パト”と呼ばれるセダンが必要になります。 これに準主役も別の“黒パト”に乗るとなると、その車種にも高級セダンとミドルセダン位の差をつけます。 これに犯人車が加われば、更にイメージを変えるような車種を選択し、場合によっては外車等を使う事も考慮するといった具合に、臨機応変に対応出来るようにします。

車種の選択の概略が決まれば、次はそれらの手配です。

このようにセダンのような車種は、基本的にレンタカー等で事足ります。 外車の場合、専門の劇用車屋さんか、それが主役級レギュラーであればディーラー等の広報車、場合によっては、高給取りのプロデューサーの自家用車を拝借したりします(笑)

そしてそれ以外の特殊な車両の場合、例えば白パトのような需要の多いものであれば、各車両会社自らが製作、所有し、ロケバス等とセットで受注する事も多いのですが、それ以外の、例えば救急車のような大きな車種になると、管理や需要の面から、専門の劇用車屋さんに頼むのが得策であると言えるようです。

またその他の劇用特殊車両に関しては、製作する予算とリアル性等を考慮して、その車両を実際に所有、使用している会社へ直接交渉するのがいいようで、これらの中には、例えばタクシーや10トントラック、路線バスのようなものが含まれています。

このように準備の段階で、色々な苦労を伴ってキャスティングされた多くの劇用車両達は、もはやスケジュール上でも俳優等と対等であってもおかしくありません。

しかし実際は、無謀なスケジュール変更の連絡が多く、場合によっては、存在すら忘れられ、長時間待機させられた挙句、そのドライバーには、弁当すら行き渡らなかったりもします。

そんな訳で、先日劇用車の黒パトで現場入りしたのですが、その必要とされていた現場でのシーンが、いつの間にか、室内へ展開して行きました。

僕はもしやと思い、チーフ助監督を捕まえて問い質したところ…

「あれ、そういえば出ませんでしたね」 だって。

結局、その日は出番もなく、監督やカメラマンにまで、存在を忘れられてしまったのでした。

勿論、弁当も頂けず…

陰の俳優、劇用車。 まだまだ修行が足らないようで。
posted by piyota at 13:26| 東京 ????| Comment(8) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月25日

通勤ファイターと呼ばれて

当初、この仕事をするにあたり、現在所属している会社の面接を受けようとした時の事、その最初の電話において僕は、ある理由によって面接すら拒否されそうになったのです。

その理由とは何か?

それは、当時僕の住んでいた“東京の外れ”が、この会社にとっては通勤圏ではないと判断されたからです。

ではこの会社にとっての通勤圏とは何でしょう?

それは、その早朝から深夜にも及ぶ過酷な長時間業務にも耐えうる通勤圏ということです。

基本的に我々のような車両業界では、その出勤時間が、電車等の公共交通機関の動き出す前になることが多く、終了時間もまばらで終電以降になることも日常的です。

その為、このような変則的な業務時間に対処出来るよう自家用車等による通勤が推進されているのですね。

こうなれば、いくら公共交通機関が無かろうが、無謀な時間に終ろうが、気にすることなく、安心して通勤が出来るという訳です。

それに、例え頼みの自家用車が故障等で動かない場合であっても、近場に住んでさえいれば、最悪タクシーを利用することになっても、出費を抑える事は可能なのです。

それが、当時の僕の住んでいた場所からですと出費を抑えるのは当然無理。 例え電車を利用出来る時間帯であっても、一度都心へ行ってから何度も乗換えをしないと会社へは辿り着けないという、時間的に見ても割に合わないシステム。

更にその頼みの自家用車に至っては、朝は6時前、夜は22時以降でないと、渋滞の無い通勤は出来ず、それは例えば新宿辺りに朝の7時集合であったとしても、10時集合であったとしても、家を出る時間は、それらの交通渋滞を避ける為には、決まって朝の5時半であるのです。 また土日の行楽時や高速の集中工事時には、通常、早朝の通勤に1時間弱の会社に3時間以上も掛けていたり、深夜にまで及んだロケの帰りには、自宅まで体力的に辿り着けず、翌日の集合場所に舞い戻って仮眠していた当時を偲べば、なるほど、これは確かに通勤圏と呼ぶには、少し大変だろうと判断されても致し方なかったかも知れません。

恐らくこのような状態が長く続けば、いくら沢山の人達が面接に来ようとも、余程この仕事に価値を見い出せない限り、長続きはしないことでしょう。

多分きっと、初めて電話した時には、会社の経験上、既にこのような判断をされていたのだと思います。

ですが…

当時僕が住んでいた“東京の外れ”よりも、更に奥に位置する車両会社を、いくつか知っています。

果たして彼らにとっては、どこまでが通勤圏なのでしょうか。 家から会社までなのか、それとも集合場所でもある都心部なのか。

いずれにせよ、その苦労は痛いほど良く分かります。

きっと彼等もまた、ロケよりもキツイ通勤を味わっていることでしょう。

がんばれ通勤ファイターたち!

そんな僕は、今通勤圏です(笑)
posted by piyota at 18:01| 東京 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月23日

ありえないのはどっち?

昼帯ドラマ(毎週月曜から金曜まで毎日放送されている)の場合、オープンロケ自体は、実質一週間に一日か二日。 その他はほとんどがスタジオ等で行われるセット撮影がメインとなります。

こうなると我々車両部の出番も一週間に一日か二日。

せっかくレギュラーで付いている連ドラなのに、一週間に一日か二日しかないのであれば、その他の日に行く別の仕事の方がメインになってもおかしくはありません。

つまり別の仕事の方がメインになってしまうということは、一週間にたった一日か二日しかない昼帯ドラマは、別にレギュラーでもなんでもなくなってしまうということになりますね(笑)

連ドラと言えば、基本的には、そのロケ期間中は、同じドライバーが担当します。

しかしこの昼帯の場合、一日か二日の為に、毎回同じドライバーを付けるというのが案外と難しいのです。

これは空いてる日に入る他の仕事が必ずしも、この一日か二日に被らないとは言い切れないからなんです。

そんな中、先週の一日か二日に、やはりうちのドライバーの都合がつかず、よその車両会社へと、この昼帯ドラマを振らなければならない状況になったのです。

事件はそこで起きました。

後日聞いた話ですが、この日のロケにおいて、ロケ地前の路上に止めてあったプロデューサーの自家用車両が、事もあろうにロケバスのすぐ後ろで、駐禁の札を付けられてしまったらしいのです。

このように、ロケ隊が路上に車両を止めておく場合、大抵はロケバスドライバーや各車両待機のドライバーにその車の鍵などを預け、「警察に駐禁キップを切られないよう見張っておいて」となるのが、大方ロケ隊の常識となっているのですね。

つまり、今回のような場合、放置しているプロデューサーの責任ではなく、見張っていたロケバスドライバーに、その責任が押し付けられるという理不尽な状況になるのです。

詳しい事情は分かりませんが、ここであえてフォローするならば、この日一日か二日だけの他社のドライバーに、プロデューサーの車が何かなんて、果たして判断出来るのかという事です。

「見ておいて」と言われたなら、まあ話は別ですが、そもそも何故こうしたロケには無関係の車両を、時間貸し駐車場等に止めたりしてくれないのでしょうか。

我々のような大型車両は、一般時間貸し駐車場等に止める事は99%不可能です。

ですから路駐を前提とした我々のような職業も存在している訳です。

そのような状況の中で、常に地域住民及び警察に対応しながら自分たちの車両を管理しているのですから、その車両が増えれば増える程、その対応が難しくなるのは当然で、ましてや連日連夜の終日ロケ、移動中の安全を確保するには、そのような待機時間にあえて仮眠するという事もプロとしての仕事の一部であると言える訳ですよ。

しかしこの駐禁を切られたプロデューサー、まず自分の車両放置を棚に上げ、「ありえないよ、あのロケバスドライバー、口をポカーッと開けて寝ていたんだから…」と。

果たしてこれは、ロケバスドライバーの責任なのでしょうか?

僕は… 疑問に思います。
posted by piyota at 10:42| 東京 ????| Comment(4) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月21日

再度問う、ロケ優先の考え方

オープンロケをする場合、ロケ隊には、一般の方々の姿や、その方々が発する生活習慣ノイズを、一切受け付けないシステムがあります。

これは、その方々の生活より、撮影の方が優先だという考えが、ロケ隊にはあるのではないかと疑われても仕方のないシステムです。

人止め、音止め、車止め。

これは、いわゆる撮影に支障をきたすと判断される一般の方々への“3大止め”なのですが、つまり撮影の進行の為になら、例えその方々が急いでいようとも、そんな事は知ったこっちゃない! というものなのです。

大体このような指示を出すのは演出部または録音部。 彼等は自分たちの仕事、または立場の為に、「止めろ!」と言う訳です。

しかし実際にこれらを実行するのは制作部や車両部等の末端です。

つまりそれらを言い出す連中が、自らそれに参加、もしくは対応をした事がない訳なんです。

勿論これらを実行するのは制作サイドの仕事。 それは否定する事の出来ない事実です。

ですが、一般の方々に対している以上、常に融通が効くものではないという事を理解してもらいたいのです。

しかし実際は、それらの事情等は全く考慮されず、最悪の場合、これらの方々に聞こえるように“イヤミ”ともとれる暴言まで吐くのです。

「止めておけよ!」

「通すなバカヤロー!」

「日本語通じないのかよ!」

そういった暴言を吐いてしまう助監督や録音部には、一体どのような事情が隠されているのでしょうか?

まぁ助監督にしてみれば、下部(しもべ)すら管理出来ない力量不足露呈を恐れているのか、自分の書いたスケジュール進行の遅れを懸念する動き。

録音部にしてみれば、作品、現場共に自分達の主張が中々表へ出ない事への、一種のイライラにも似たものではないかと思われるのです。

だからと言って、それを一般の方々へぶつけるのは如何なものでしょう。

今現在、このような暴言を吐くスタッフは、ごく一部です。 ロケ隊全てが悪いのではありません。

しかし、このホンの僅かなスタッフのお陰で、ロケ隊全体のイメージに悪い印象を与えているということを、街中でロケを行っているスタッフ自身が、実は身を持って実感しているのではないでしょうか。

《ロケセットの激減》

《許可がおりにくくなった》

《すぐ通報されてしまう》

つまりロケ隊自体、市民によって常に排除され得る危険性があるということです。

それらを回避する為、制作サイドは常に気を付けて一般市民に対応しているのです。

ですから、我々各スタッフは、それらを念頭に置いて、これからも街中においては、気を付けて発言または指示をしなければなりません。

それらの指示や発言を聞いているのは、決して我々スタッフだけではないのですから…
posted by piyota at 21:06| 東京 ????| Comment(7) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月19日

あるある探検隊(ロケ隊バージョン)

最近、ロケ現場にはある法則が確立されているように思えます。

例えば、ロケ現場近くでは、必ず音止めを必要とするような工事が行われていますし、本番にいこうとする時に限って、飛行機やヘリコプターが飛んできたりします。

さらに雨降らしの日には、決まって陰影のきついピーカンだったり、ナイター待ちのある日に限って、デイシーンを早く撮り終わってしまいます。

これは、ロケバスを洗車すると必ず雨が降ってきたり、昼のロケ弁にハンバーグが出ると夜のロケ弁でもハンバーグが出てしまうのとよく似ていて、運転席で仮眠しようとすると誰かが必ず忘れ物を取りに来たり、朝食を頼んでいない日に限って、ポ○イのオジサンがロケバスにやって来るのとは、ちょっと違うような気もします。

ましてや、天気予報が雨で、翌日のロケを中止にすると快晴になったり、渋滞を避けた裏道ではまる工事や事故の渋滞や、徹夜した翌日は決まって早朝集合なんていうのも、きっとこの類に含まれるのかもしれません。

きっと世の中には、ロケ隊に対する向い風が吹いているんだと思います。

僕等は知らず知らずのうちに、これらの流れに乗り、この世の中から排除されそうになっているのです。

だから、今日みたいに、路駐している住宅街の狭い道が、この辺では唯一の抜け道であったり、けたたましい音量の発電機を置いた場所が、偶然うるさい自治会長の家の前だったりするのです。

これはつまり、「晴れているのに一日中暗幕仕様の室内ロケでむさくるしい…」のと似ているのであって、「室内ロケなのに屋根にあたる雨音で撮影が中止になってなんか虚しい…」のとは多分きっと違うのでしょうね(笑)
posted by piyota at 10:04| 東京 ????| Comment(5) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月17日

制作会社の見えない私情

ロケバスというのは通常、人や荷物を運ぶ為に使われるものです。 まさしくそれ以外の何ものでもありません。

ましてや一日幾ら幾らと大抵はウン万円の使用料が発生する高額のものですから、それこそ発注するにあたっては、予算の少ない現場なら尚更、それなりの覚悟(笑)を必要としなければならないものなんですね。

つまり“削られるものなら例え車でも削りたい” これが予算組をする制作サイドの本音なのです。

ですからエキストラの皆さんの送迎や、近くに駅のあるような現場間の移動なら、それらの方々には電車での移動を極力推進しますし、定員ギリギリのロケバスや制作部の車にまで、無理矢理人員を押し込める訳なんですよ。

そうやって制作サイドは、要らぬ予算を少しでも削っていく努力をするのです。

が、しかし、それが制作会社によって違うという事を、先日痛感したのです。

それは今月半の事。

僕は、ある撮影スタジオへ、EXバス(その日だけの応援バス)で集合しました。 そこから次の撮影現場まで、エキストラの皆さんを数十名乗せて移動する為です。

…と、本来のスケジュールなら、この着いた先の現場で、僕のバスは用済み。 いや頑張れば、僕のEXバスを使わずに、本隊バス、制作車、電車等に分乗すれば、移動が可能だったのかもしれません。

ですが、この日の指示はこうでした。 「第四現場である恵比寿まで、引っ張らせて下さい。 もしかしたら、その間誰も乗らないかもしれませんが…」

お、これはつい最近にも経験した“隠し車テッテケテー”では?

いえ、今回はまた事情が違いました。

それは今回の場合、制作部の考えではなく、制作会社直々の対応であったからです。

制作会社というものは、基本的にはテレビ局の下請です。 下請たるもの、当然の事ながら私情は禁物です。 なぜなら私情を挟むと仕事の請け負いに片寄りが出るからです。 ですから、そうならないよう制作会社は、常に中立を保つのですね。

それから最近の傾向として、いわゆる関連各社による制作活動も盛んで、それは例えば普段は制作活動をしないような技術会社であったり、役者事務所のようなところが制作を行ったりしています。

そして今回の場合は、この中の一つである役者事務所が制作会社として絡んだものでした。

役者事務所が制作するという事。

自社のタレントを優先して使え、テレビ局にも中立を保てますが、あるところで妙な片寄りを見せます。

つまり、主役が他の役者事務所所属である事によって生まれる妙な気遣いがそれです。

今回は、この対極する役者事務所同士の私情が、少なからず影響していました。

この日の3つの現場には、支度や着替え等をする、いわゆるスタンバイ部屋は用意されていませんでした。

このような場合、普通の制作会社ならば、ロケバスやメイク車等で簡易的に済まさせたりするのが妥当です。 それが男性キャストなら尚更。

そして今回もそれが可能だった筈なのです。

しかしそこは役者事務所が制作会社。 例え主役が荷物満載の狭いロケバス内で着替えるのも差し支えないと思っていても、後で「あの事務所は、スタンバイ場所も用意しなかった」 と勘繰られても案配が悪い。

そこで、使用済みのEXバスでも待機させておけば、もしもの時の言い訳にもなるという寸法。 「スタンバイカーをちゃんと用意していますよ」と。

今回は、その為に呼ばれたようなものなのです。 最初の移動はむしろ偽装…

これならメイク車代の節約にもなりますし、使うのか使わないのかが微妙な控え室を態々用意しなくても済む訳ですから。

しかし最後まで僕のバスが、これらのスタンバイに使用される事はありませんでした。

結局、役者事務所である制作会社の取越し苦労で終わったのです。

私情が絡むロケ現場―

これからの3ヶ月に期待大と言えましょう(笑)
posted by piyota at 22:10| 東京 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月15日

理不尽な注文

ある日の午後、移動した先のロケ現場前で、ちょうど昼食の時間となりました。

ここは路上コインパーキング等もあり、歩道も広く、ロケ隊がロケ弁を広げて食べるには充分過ぎる程の広々スペースでした。

ましてやこの日はお日柄も良く、ロケ現場でもある今回のロケセットは、業界でも1、2を争う程の有名なテレビ業界専門学校でもあった為、スタッフ達も、幾分先輩風でも吹かすかのような態度で、作業する学生達を横目で見ながらの、大ロケ弁大会となったのです。

しかしここで、ロケセットでもある業界専門学校より、こんな注文がありました。

「歩道で立ちながらのロケ弁食いは、この業界を目指す未来ある若者の士気を失わせる可能性があるので止めて下さい!」 と。(少し誇張(笑))

がーーん!!

こんな事ってあるのでしょうか?

よりによって、業界を目指す若者の前で、ロケ隊のみすぼらしい現実を見せるでない! というのです。

失礼な!

確かにみすぼらしい。 確かに汚い! 確かに将来性がないっ!!

かといって、現場のこういう、ある意味裏の部分を見せるなとは、一体どういう了見なのでしょう。

少なからず、この業界に入ってしまえば、誰だって経験するであろう事実ではありませんか。

虚しい。 虚しすぎる。

このような業界専門学校では、一体何を教えているの?

金を掛ければ、いい映像が撮れて、いい映像が撮れれば、金が儲かって、後は安泰、成金生活でも目指しなさいとでも教えているのでしょうか?

そんなものはこの世界にありません。

あるのは目の前の現実だけです。 それを受け入れられない、教えられないというのであれば、即刻この業界を諦めるべきです。

僕は18年前より、既に諦めていました。

何しろ僕は…

業界専門学校卒ですから。
posted by piyota at 23:25| 東京 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月14日

車両部対抗猛レース!

平日の午後、1時30分。

新宿歌舞伎町のロケ現場より、横浜八景島のロケ現場への緊急大移動開始。

しかしここで、我々の耳に、通過する高速道路上での事故の一報が入ってきたのです!

本来、このような移動の場合において、常套的な手段を講じるなら、それはやはり、一番近くの高速入口から進入し、一番現場に近い高速出口を降りること。

後は、その入口まで行く一般道のルート、降りてからの一般道のルートを、今までの経験を踏まえ、各々の車両と相談して、一番流れのよい道順を選ぶというのが、団体移動の常識とされていました。

しかし今回の場合、歌舞伎町という立地で各車両の駐車ポイントがバラバラだったのと、ロケバスに始まり、機材車、照明車、美トラ、キャスト車が、見事に車両会社別という条件とが相まって、そういった相談が全くないままに、移動が開始となったのです。

ところで前述した事故。 現場は都心環状線内回りの芝公園。 この時点での渋滞は三宅坂Jctの手前からおよそ4キロ。

この程度なら外回りを利用して、八重洲トンネルを使えば何の問題もなかったのですが、あろう事か、その先のレインボーブリッジの頂上で故障車渋滞が重ねて発生。 この時点で、芝浦Jctからの渋滞が都合7キロにはね上がったのです。

これは我々にしてみれば、誤算も誤算の大誤算。

通常何事もなければ、4号新宿線の外苑から進入し、そのままレインボーブリッジを渡り湾岸線へ。 更に横浜ベイブリッジを越えて湾岸線幸浦インターで降りる。 …という筋遜きが、この時点で各車両共々、泡と消えてしまったのです。

こうなると、後はドライバーの勘任せです。 各社各々のドライバーの腕と経験が、この移動に発揮される事となりました。

ロケバス。 明治通りを進み、御苑トンネルを経由して都心環状線の内回り霞ヶ関入口方面へ。

機材車。 同じく明治通りを進み、靖国通りで左折。 霞ヶ関入口方面へ。

照明車。 明治通りより御苑トンネルへ。
トンネル出口外苑西通りを右折、4号新宿線外苑入口方面へ。

美トラ。 区役所通りから、靖国通りを左折。 外苑西通りを経て、4号新宿線外苑入口方面へ。

制作部。 山手通りを進み3号渋谷線池尻入口より東名方面へ。

そして私キャスト車。 明治、靖国、外苑西を経由して外苑入口方面へと向かいました。

この時点で、すでにバラバラ。 更に渋滞情報は、刻一刻と変化をし続けていきます。

ロケバス機材車。 渋滞の為、霞ヶ関進入を諦め、事故現場である芝公園を通らない都心環状線外回り汐留入口より進入し、1号羽田線にて横浜方面へ。

照明車美トラ。 外苑入口より進入し、都心環状線を事故車並びに故障車の止まっている内回り方面へと進行。 常套であるレインボーブリッジ経由を決行。

制作部。 3号用賀出口で降り、環八を左折。 第3京浜にて横浜横須賀道路方面を目指す。

そして私キャスト車。 三宅坂で悩むもあえて一番遠回りな、都心環状線外回り箱崎Jct経由で、9号深川線よりの湾岸線進入を断行したのです。

結果、真っ先に着いたのが制作部。 続いてロケバスキャスト車機材車照明車美トラの順。

しかし、その誤差が僅かに10分以内と、まさしく車両部各々が力量を発揮したのです。

だけど…

この移動、恐ろしく心臓に悪かったのは言うまでもありません。

やはり移動は前もって相談すべきだと、つくづく思ったのでした。

ふぅー (-o-;)
posted by piyota at 18:50| 東京 ??| Comment(4) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月13日

「ロケ日記」改め今宵は「バトン」

このブログに関して言えば、恐らく業界関係の方々、又は何かしらの形でロケに携われた方々が、見に来て下さっているとは思うのですが、少なからず映画やテレビに興味を持たれているのではないかと存じています。 まぁ、「ロケバス」という文字で検索されるような偏った、いわゆる偏見の持ち主で…(笑) ウソです。

という訳で、この度、色々な繋がりがありまして、「極私的負け犬育成計画」の鮭さんより、このような企画が回って参りまして、これも何かの縁と思い、少なからず一業界人を過去に目指していた僕としては、今回は「ロケ日記」改め「バトン」というものを回させていただきたいと思う次第です。

@ 持っているDVDの数、或いはビデオの数は?

これに関して言えば、以前ほど買う事は無くなったのですが、一昔前でいうレーザーディスクなるものは200枚ほど所有していました。 現在DVDは、映画、プロモーションビデオを含めて約50枚ほどです。 当時より基本的にメイキング付きの物を好んで良く買いましたね。 メイキングだけの物も沢山ありました。 これは10年ほど前までは、自分でも作品を撮る側の人間だったので、何かの参考に出来ればというつもりで買い込みました。 ビデオは、自作の作品が今でも約90本。 これは当時の自社より拝借してきた物がほとんどです。

A お気に入りの監督、俳優、脚本家は? (5人まで)

これは、この業界の関係者なら、少なからず何かしらのこだわりがあるとは思うのですが、僕は極めてオーソドックスです。 その作品が面白ければ、その監督であり、その脚本家です。 一概にこの人の作品なら! という筋はありません。 しいて言えば、皆がやらないような事をして非難囂々だったり、新しい試みをするチャレンジャーな人達でしょうか。

監督… 例えば、オリバーストーン、ロバートロドリゲス、デヴィットフィンチャー。 例えば、長編を撮る前の岩井俊二。

脚本家… 例えば、ナイトシャラマン、チャーリーカウフマン。 例えば、売れっ子になる前の宮藤官九郎、野島伸司。

俳優… 微妙です(笑) 演技よりも人間性を選びたいです。

B 一番最近見た映画は?

劇場では、「Mr.&Mrs.スミス」と「男たちの大和」 DVDは、「ステルス」かな… 基本的に時間が取れないので、単純に見て楽しめるやつを優先します。 意外に「エターナルサンシャイン」が面白かった事を憶えています。

C 人生初めて見た映画は?

多分、「メカゴジラの逆襲」(笑)です。 東宝マンガ祭りの一本です。 洋画では「ジョーズ」。 字幕が読めないので、兄に読んでもらっていたと思います。

D 今見たい映画は?

実はそれほどこだわりがないので、これといって、何がやってるかとか、何が撮影中だとかという情報を収集しないのですが、「最終兵器彼女」。 地元北海道が舞台なのと、原作のナンセンスさが○。

E 何度も見返す映画は?

結構ありますが、一番多いのは「マッドマックス」シリーズでしょうか。 恐らく100回はくだらないと思います。 当時よりカースタントと改造車が好きで、自分で模型を作るために、細部まで見尽くしました。 おかげで“変なカット”や、“NGカット”を沢山見つけました。 これは余談ですが、テレビでは2004年夏の甲子決勝「駒苫−済美」。 今でも毎週見ています(笑)

以上が、私piyotaの全貌です。 好きな監督、脚本家に関しては、恐らく数え切れないほどいるとは思いますが、これ以上は恥ずかしくて言えません。

F バトンを回す一人

尚、バトンを回す相手ですが、業界の知り合いで、ブログをやっている人をあまり知らないのと、特に車両部に関して言えば、映画やテレビに興味のある人が皆無だという理由で、いきなり北海道の一般ピーポー、「生きていくLive!」のkittさんに、回してみたいと思います。 

忙しいとは思いますが、僕より映画好きなので、反応してくれると思います。 何しろkittの由来が、「ナイトライダー」ですからね(笑)

では、ご清聴感謝致します。

kittさん、後は宜しくお願いします。
posted by piyota at 21:29| 東京 ????| Comment(8) | TrackBack(0) | ひとり言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月11日

フォローすべきものの正体

仕事柄、特に制作部と接する事の多い我々車両部なんですが、そのロケ現場を客観的に見られるポジションにいることによって、改めてそのロケ隊の行動が、常識を逸脱したものではないかと、考えずにはいられない事が多いのに気付かされます。

しかしそれらは、撮影の為である事として、兼々融通無碍に対応してきました。

その結果として、このようなロケ隊の今日が構築された訳なのですが、例えば、熱帯魚が泳いでいる水槽内のポンプが、音の収録に支障があるとし、本番の間だけその電源を落としたとします。しかしロケ隊は、それを繰り返しているうちに、その電源を戻す事を、ついつい忘れてしまうのです。

つまりこの時点で、熱帯魚は還らぬ魚になってしまうのですね。

さらに例えるなら、雪の路上でのロケにおいて、路駐してある車が背景として邪魔になると判断されれば、スタッフの力を結集してその車を持ち上げて移動し、さらに上から雪を張り付けて隠してしまうといった手段を講じます。

撮影的にはこれで問題なくなった訳ですが、結果としてやはり、移動した車が元の位置に戻る事はありませんでした。

これはどの現場でも言える事なのですが、仮に街中でのロケを敢行したとします。

この場合、撮影するにあたり、数々の準備が必要とななる訳ですね。

例えば、フレームに入るであろうスポンサー以外の商品名や広告等の様々な隠し。 住所を特定出来ないように電柱等に掲示されている住所表記の隠し。 さらには工事用パイロンをどかしたり、樹木の伐採、置かれた看板やネオンの移動、駐輪された自転車の撤去等々。

そして当然の事ながらの、人止めや車止め。

これらは常日頃から、スタッフ自らの手によって大多数は勝手に行われています。

つまり、元に戻す作業、関係各所に対する挨拶、そして撮影中におけるこれらのフォローも、本来はスタッフ自らの手によって行われなければいけないのです。

しかし実際は、これら一般へのフォローをするどころか、身内スタッフへの対応でおおあらわです。

ここならタバコ吸っていいよね?」

寒いからストーブ用意してよ」

このコーヒーもう温くない?」

「あ、鼻水。 ティッシュ、ティッシュ!」

制作サイドが気を使うべき部分は、このような状況では、身内ではありません。 当然の如く、一般の方々への配慮や街の復元なのです。

しかしながら、これら一部スタッフにとっての現実は、街に気を使える制作サイドよりも、スタッフに気を使える制作サイドを良しとする傾向が強いのです。

だからロケセットを養生する間もなく、コーヒーを出さなければならなくなったり、時間を割いて制作サイド自らが炊きだした味噌汁を、忙しくて出せなかった時でさえも「なんで今日は味噌汁ないの?」とまで言われてしまうのです。

今日日、ロケ隊は甘やかされすぎです。 毎日気をつかわれる事によって、自分で出来る事までが、他人まかせにしてしまうのです。 身の回りの世話をされる事によって、そういう日常が当たり前になっていくのです。

そういった日々の繰り返しの結果が、前述した「誰かがきっと戻すであろう」という状態を生むのです。

そしてついには、考えれば分かる事までもが、分からなくなって、どんどんと脳が衰退していくのです。

ロケセットや一般社会に対応するのは、基本的には制作サイドです。

でも、ゴミの処理や防寒対策、撮影場所での僅かな時間の禁煙やロケセットでのルールの厳守等は、スタッフの個人レベルの常識で対応すべきではないでしょうか。

全ての道標を示さなければ、何も出来ないようでは、アヒルの親子となんら変わりがありません。

ただpiyopiyo(ピヨピヨ)と親に付いていくだけの平和なヒヨコ君たちと…

ヒヨコ君ヒヨコ君、さあ早く大人になっておくれ。
posted by piyota at 15:37| 東京 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月09日

ジンクス

もしジンクスというものが、この世にあるとするならば、ここ最近の僕の行動にまつわる全てのものに説明がつくでしょう。

それは去年の9月に遡ります…

通年この時期になると、僕は夏休みと称して北海道の実家へ帰ります。 そこでダラダラと約1週間もの間、暑い暑い晩夏をやり過ごしているのですね。

ですが去年は違いました。 思いきって足を延ばしてみたのです。

まず積丹半島のお膝元に位置する後志郡岩内町(親戚がおります)という所へと行き、その帰りには、洋蹄山を横目で見ながら、国定公園である洞爺湖温泉を目指したのです。

それが去年の9月のこと。

そしてその僅か2ヶ月後の11月、僕はなんと自分の田舎である函館と、洞爺湖へとロケに来ていたのです!

さらに驚く事に、ほぼ入れ替わりで北海道へ来ていた我が社の別の組が、岩内を軸にロケを展開。 僕は危うくそちらの組へ、そのまま飛ばされそうになってしまったのです。

とまぁ、ここまでは、なさそうで有り得る話。

そして今月始め、僕は3連休を利用して、千葉県は鴨川へと、またまたプライベート旅行をしてきた訳ですが、この時この計画を立てる段階で、別の候補に挙がっていたのが、神奈川県横浜にある八景島。



僕は今、その八景島でロケをしています。



さらに3日後のスケジュールには、千葉県鴨川と記されています。

つまり、僕がプライベートで行く所、行こうとしている所が、常に撮影の対象に選ばれてしまうという事なのです。

これは、決してロケハンなんかじゃありません(`ヘ´)

ですが、ジンクスは必ず存在します。

だから僕は今…

沖縄へ行きたいなぁ、と思う事にしています(笑)
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2006年02月06日

イン直後は、隠し車両でテーテケテ

本日は、またまた一日だけの応援キャスト車となったのですが、その仕事の始まりは、そのキャストが電車で入ってくる第一現場ではなく、本隊バスと同じ渋谷での集合となりました。

前日―

このドラマの担当である知り合いの制作より、「明日は一応渋谷集合だけど、もしかしたら第一現場までは、誰も乗せないかも知れない…」という連絡がありました。

その制作の意図する事とは、一体どんな事なのでしょうか?

まず初めに、今回の作品というのは、4月より始まる予定の連ドラのひとつだった訳ですが、今月始めにクランクインをしたばかりで、これから3ヶ月もの間、ほぼ休むことなく繰り広げられる、それはもう過酷なものなんですね。

そんな連ドラのロケ初めというのは、集合場所に集まるスタッフの顔ぶれも未だ定着していませんし、ロケ車両もどんなものがあるのかは、多くのスタッフにすら、まだ知られていない状況なんです。

日数をこなすにつれ、集合場所には本隊バスの他には、制作車やメイン車(主に制作担当の自車)やキャスト車等があると知れ渡るようになり、メインスタッフ達は、こぞって楽な車両移動が出来る車両へと、当然のように乗り込むようになってくる訳です。

その後、ロケバスには空席が目立つようになり、その価値を充分に発揮出来ないまま、その日程を進行して行くという事態に発展してしまうようになります。

つまり、イン直後の集合場所において、一体どれだけのスタッフがここへやって来て、どれだけのスタッフがロケバスに乗り込むのかを、制作部としては未だ把握していない段階で(他の機材車や照明車においても、機材との兼ね合いやそれぞれの集合場所の違いで乗り切れないスタッフも出てくるかもしれないから)、そういった、急遽集合場所へ現れるスタッフに対応する為に、保険として僕のキャスト車(10人乗り)を用意したという訳なんです。

では、せっかくいるのに何故誰も乗せないのでしょうか?

この日のロケバスは、それなりに混んでいました。 勿論メインである監督までもが、そのロケバスに詰め込まれたのです。

普通なら、空で移動するなんて事は、無駄の境地です。

ですが、結局僕は誰も乗せずに、ロケバスと共に第一現場まで移動したのでした。

ここで制作部としての見解を解説しますと、制作部はロケをこの日1日として考えるのではなく、3ヶ月先の事までを見通していたという事です。

キャスト車は、その日によって出たり出なかったりです。 つまり毎日毎移動に必ずあるとは限らないのですね。

ここで仮に、集合場所から第一現場までにメインスタッフ達を乗せて行ったとします。 しかし、そこから先はキャストが乗る事になるので、一度私物を含めて荷物を移して貰わなければなりません。 メインスタッフ達にしてみれば、イン直後の集合場所からそんな車両があれば、その日も、また次の日も、またその次の日も、3ヶ月間毎日メイン車があるものだと勝手に信じきってしまいます。

そうなると、「あれ今日はないの?」とか「昨日のあれはなんだったの?」等と、要らぬ誤解を生んでしまう結果は目に見えているのです。

ですから、例え空であろうとも、この車両はあくまで保険であって、本来あるものと考えてはならないということなのです。

車1台毎日出たとして、それを3ヶ月もの間使用した場合、それは制作会社にとってはかなりの出費となります。

これを踏まえた今回の制作部の行動は、制作としては当たり前の行動かもしれませんが、それでも目に見えないファインプレーと言えましょう。

その分、我々の仕事は減る結果にはなりますけれど… (^_^;)
posted by piyota at 12:14| 東京 ????| Comment(4) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月04日

ロケバス遺失物拾得係

我々ロケバスドライバーは、その日の業務が終了すると、まずガソリンスタンドで給油をし、事務所(駐車場)へと戻り、翌日のロケの為、または次のドライバーの為に、掃除や洗車等の雑務をこなす事となるのですね。

しかしここで、我々ドライバーは、思わぬ事態に巻き込まれる事があります。

それは意外にもスタッフやキャストの忘れ物を発見した時なんです。

まずロケバスの業務には、短期のもの、そして長期のものと色々ある訳ですが、そのどちらにも共通して言える事が、忘れ物を発見した時のドライバーとしての対応の難しさだと思うのですね。

例えば連続ドラマや2時間ドラマであれば、大抵は2週間から3ヶ月もの間、同じロケバスを使用しますから、衣類や小物のような忘れ物は、その期間中は自分で回収する事が出来るでしょう。

しかし、忘れ物の多くは、その日の内に本人が必要とするものがほとんどなんですね。

そんな中、ロケバス内で最も多い忘れ物が携帯電話です。 これは、翌日また同じロケバスに乗ろうとも、その日または翌日の朝には必要不可欠であると、制作部等を通じて連絡してきた後、回収を希望するスタッフが多く、大抵はその日のバラシ場所等で待ち合わせをして返却する事が一般的となります。 また、こちらが先に発見した場合においては、持ち主が分かるようであれば、自宅等にこちらから連絡し、その後制作部に引き継ぎ、返却してもらうような段取りをします。

それから多いのが財布。 これも基本的には携帯電話と同じ段取りをするのですが、以前、助監督のサードが、バラシ場所まで戻る電車賃がないと泣きつき、仕方なく自宅まで届けた事もあるのですが、そのような自宅まで戻ってしまった人の場合、大抵は双方の中間点、またはこちらの良き通り道で合流という事で妥協してもらうよう説得しています。

(まあ、その方が、忘れ物をしてしまったスタッフにとっても後ろめたさが半減するみたいですし…(笑))

そして一番厄介なのが自宅の鍵。 これはほとんどが家の玄関前で気付くようで、皆慌てて電話を掛けてくるのですが、この場合も基本的には、双方の妥協点での合流という事にしてもらいます。 これも以前の経験なのですが、アシスタントプロデューサーだった女の子が、ロケ後に会社へと戻った時に鍵を忘れた事に気付いたらしく、しかもこれから重要な会議があるので、それが終わった後に僕の自宅まで取りに伺いたいと申し出てきたのです。 当時僕は東京の外れに住んでいた(笑)ので、さすがにそれは可愛そうだと、持って行く旨を彼女に伝えたのですが、それはそれで彼女的には納得がいかなかったようで、結局は近くの先輩の家に泊ってしまったのだそうです。

このような感じで、忘れ物をされた我々が、いつも切なくなってしまいます。(笑) 

しかし、ドラマ等のロケでは、このような場合は常にお互い様なのです。

でも、それが業務後の事であるとするならば…

僕等は人として、最も良いと判断した行動を、常にするべきなのかもしれませんね。
posted by piyota at 20:58| 東京 ????| Comment(4) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月02日

2秒のカット、それぞれの思惑

今年になって、既にいくつかのテレビドラマ作品に関わってきた僕にとって、これほどまでに仕事の量に違いが出るものかと、驚かされたパートがあります。

それは照明部です。

まずはその対照的な仕事ぶりなのですが、これは以前にも触れた事もある、出身が映画かテレビドラマかということで大まか分けられると思います。

最近では、主に映画等でその技術を培ってきた照明部(技師)が、新たな場を求めてこのテレビドラマ業界へと進出して来ている訳なんですが、これがいい意味では作品全体のレベルアップに、悪い意味ではスケジュールの損失に繋がるかも知れないという、究極の二者択一を迫られる事となっているのですね。

ではその両極端な例を紹介します。

例えば、警察署表の実景の場合。

天候は晴れ。 有名な俳優は無し。 エキストラの立ち番、警官、劇用車のパトカー等を配し、台本上でいうところの、次の警察署(中)の芝居に展開する、いわゆる繋ぎのカットとしてこの建物の表を撮るとします。

@ 映画出身の技師の場合(色々いますが…)

2屯トラックに満載の照明機材を、まず一通り降ろします。 そして、照明を点ける為の電源であるゼネレーター、この場合は携行している5kwと3kwのものを両方共使う事にし、これらを建物の両サイドに配置します。 さらにそこからケーブルを繋ぎ、それぞれキーとなるライト、抑えとなるライト、逆サイドからあたるライト等を配置し、そのライト前には、その光量を調整する為のトレーシングペーパーやフラッグ類が置かれます。 それらが建物全体から人物、パトカーに至るまで、満遍なく、そして丁寧にライティングされ、ようやく撮影となるのです。 その全ての所要時間は照明機材のセッティング等におよそ30分、実際の撮影時間におよそ30秒、終了後のバラシ、トラックへの積み込みにおよそ30分を費やし、その合計が約1時間30秒となります。

A テレビドラマを中心に活動している技師の場合(色々いますが…)

見た所、照明機材が一つも出ていません(笑) そして技師はというと… なんと、ベースであるVE(ビデオエンジニア)の後ろで、他の照明アシスタントと共に談笑しているではありませんか!! いや、その前にレフ板が一枚出てはいたのですが、カメラマンよりパトカーに写り込んでいるという指摘を受け、「写り? ああそう。 じゃあ、あてない。 これでOK、どうぞ」と、唯一のレフ板すらも、引っ込めてしまったのです! その所要時間は、準備バラシに0分。 撮影時間がおよそ30秒で、その合計がたったの30秒、そして実際のテレビでのOA時間が@A共に警察署(中)の前に、その繋ぎとして約2秒とすると―

つまり実際問題として、一般視聴者が、このドラマの一場面をどの位集中して見ているのか? という事です。

これは、我々にとっては、そうであるべきものとして、信じる事を疑ってはならない問題です。

その中で、今回のこの照明部の仕事量の差を、我々は一体どう判断するべきでしょう?

このOA約2秒のカットの為に我々ロケ隊が取るべき行動とは何か…

例えいくら時間を掛けようとも、例え全く照明をあてなかったとしても、それは一般視聴者にとっては、ただの2秒に過ぎないのかもしれません。

しかし我々は、この2秒を決して捨ててはならないのです。

それは、いつか来る将来の為に…
posted by piyota at 23:37| 東京 ????| Comment(1) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする