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2006年04月29日

もっと凄い忘れ物

新宿の集合場所へ到着したのが午前4時55分。

この日はメイク先発が午前6時の為、ロケバスの入り時間はその30分前の午前5時半。

この30分間で随時到着するスタッフを待ちながら、いわゆる先発車と呼ばれる制作部の車にメイク道具、そして衣裳等を載せ換える訳ですね。

先発隊が出発してしまうと本隊出発である午前7時までは、スタッフを待つ以外には特にする事は何もありません。 同じ集合場所へとやって来る他の組のドライバーや顔見知りのスタッフ達と談笑するのが、日常的な楽しみとなっているのです。

そうこうしているうちに、いきなり監督が現れました。 僕は監督と目が合ってしまったので(笑)、バスを降りバスへ乗るよう促しました。 やがて徐々にレギュラースタッフ達も姿を見せ始め、出発15分前には、ほぼいつもの面子が揃っているかのように思われたのです。

しかしこの組の場合、制作部や演出部が合計8人いるにも関わらず、そのほとんどが先発してしまう為、本隊に残るのがチーフ助監督ただ一人。

つまり集合場所へ「誰々が来たら全部揃いですよ!」と号令を掛ける人物が、このチーフ助監督に託されているという状態なんです。

しかしいくら毎日毎朝顔を合わせているとはいっても、その日のロケ現場によっては、現場に直接入ると言い出すスタッフも多く、正直なところ、後誰がこの集合場所へ来るのかなんて、いわば賭けみたいになっている部分も無きにしも非ずなんですね。

しかも日程の半分も消化した頃から、大体出発の何分前かには皆が全て揃っていて、例え時間前であっても出発してしまうという事も、それまでの経験上、暗黙の了解として成り立ってはいたのです。

しかし揃ったとしても、さすがに予定より15分も前に出発するのは、先発している準備班に対して、その作業を急がせるようなもの。 況してや一番長く待っている監督が急かさないら、とりあえずチーフと相談して予定の5分前に出ようという事にしたのです。

そして午前6時55分、満を持して出発。 15分前から10分も待って誰も来なかったので、さすがに皆待ち疲れた様相を見せ始め、チーフもその雰囲気を感じとり、少し早いけど出ようと言い出したのです。

午前7時。 先発していた制作担当より入電。 「もう出ましたか?」と言われたので、僕は「今、山手通りの辺りです」と切り返しました。 すると制作担当は「そうですかぁ」と言葉が詰まった感じが少しあったので、「何か?」と聞いてみました。

制作「実は、プロデューサーが…」

どうやら新宿の集合場所にプロデューサーがポツンと取り残されているらしいのです。 きっと出発時間ギリギリに来たのでしょう。 しかしこちらには監督をはじめ、メインスタッフが乗っています。 当然引き返す訳にはいかず、残念ですが、そのプロデューサーには現場まで電車で来てもらう事にしたのです。

このように、いつも忘れられがちなのがプロデューサーです。 それは他の現場スタッフとは違って毎日現場に来る訳ではないからですね。 さらに途中の現場に来たり、場合によっては自家用車等でもやって来ます。

そんな最後まで来るか来ないか分からないプロデューサーが時間ギリギリですから、当然このような事態にはなりやすいのです。

午前8時半、現場にやっと着いたプロデューサーが、私物をバスに入れるのが見えました。

その後、僕は現場から少し離れた場所で待機をする為、バスに積んである特機や衣裳を全て降ろし現場を後にしました。

そして昼食時。 衣裳の積み替えをしたいとの要望で、この現場から少し離れた待機場所を出て、再度現場へ向かった時の事です。

何やら後ろから、手を上げて走ってくる人の影が…

なんとそれは私物を取りに来たプロデューサーだったのです。

一日に2度もプロデューサーを置いてくるなんて…

これは誰かの陰謀に間違いない。
posted by piyota at 21:27| 東京 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月27日

凄い忘れ物

キャスト車で単発ドラマに一日だけ参加した時の事。

このドラマは1時間もののスペシャルで、主役キャストや監督も無名の新鋭を抜擢した斬新なものでした。

そんな中、主役の女の子の出番が終り、とある駅へ送りに行く事になったのですが、そのついでに同じ駅へ到着するエキストラの子供達をピックアップするよう指示されました。

助手席にはAP(俳優担当)が乗って来たので、その子供達を探す手間もない、そう安心しきった状態で主役を送りに出掛けたのです。

現場から駅までは5分程度。 APと主役の女の子が談笑する間もなく、駅は目前となりました。

AP「あっ!」

その瞬間、突然APが叫びました。

AP「今のがエキストラの子供たちです」

なんと駅の手前の交差点には、待ち合わせに待ち疲れたのか、ピックアップする筈の親子連れが駅から離れ、今まさに目の前を通過していったところだったのです!

AP「どうしよう…」

僕は機転を利かせ、駅前のロータリーでUターンをすると、見失う前に追い付こうと必死で後を追いました。

AP「ここで止めて下さい!」

僕は駅前から1ブロック程離れた商店街付近に路駐すると、助手席のAPを降ろしました。 APは先を歩く親子連れに声を掛ける為、走って行きます。

よしよし、何とかなりそうだ。 素早い判断が功を奏した事に僕は、正直自己満足でした。 その後、僕は商店街の一角に車を止めた事を思い出し、渋滞になっていないかとバックミラーを覗きました。

piyota 「あっ…」

僕は声にならない鈍い声を発しました。

主役の子 「どもっ(笑)」

な、なんとそこには、あの駅で降ろさなければならなかった筈の若い主役の女の子がポツンと座っているではありませんか!!

そうなんです、僕は事もあろうに、子供達に気を取られて、すっかり駅前ロータリーをUターンしてしまっていたのです。

piyota 「すいません、忘れてました!」

主役の子 「いえ、ここから歩きます(笑)」

そう言うと彼女は一人、車を降りて行きました。

それにしてもなんという忘れ物…

気が付いたら、piyotaの自宅でした。

な〜んて事態にならなくて本当に良かったと思います…

なりませんね。
posted by piyota at 22:28| 東京 ??| Comment(0) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月25日

ロケ隊の夕食事情

例えばスケジュールの終了予定時刻が19時だったとします。

ここで制作部が悩むのが弁当を出すかどうかのタイミングです。

果してこの場合は、“弁当”か“繋ぎ”か、はたまた出さずにおくか。

考えられる選択肢は沢山あります。 そしてそれらは、各局、各制作会社、各予算、最終ロケ地、スケジューラーの読み深さ等によって判断しなければならない意外に難しいものなんです。

まぁ予算に余裕があるのなら、悩む必要もなくロケ弁を発注すればいいわけですが、例えば予定より早くロケが終了した場合、食べないで帰ってしまうスタッフがいたり、その終了場所がわりと繁華街で駅も近いようだと、その場で解散し、何人かで美味い外食を食べに行ってしまったりと、結構スタッフの動きというのが把握しきれません。

こうなると弁当が大量に残ってしまい、ゴミを処理する手間が増えたり、無駄な発注だと上からどやされたりで色々と塩梅が悪かったりします。

かといって、発注しない時に限って「何で用意していないんだー!」という事態になりやすいものなんです。

仮にもしこれが、ちょっと都心より離れているような最終ロケ地なら、帰りのロケバス内で配ってしまえば、その移動中に食べてもらうことも出来ます。 この場合は少々夕食には少し早いかな? と思われるような終了時刻でも、その移動中には程良い時間を迎える為、制作部にとって実は、ロケ弁を頼む上で一番楽な選択肢の一つとも言えるのです。 さらにゴミの処理もバスドライバーに任せられますしね。

またロケ弁以外の選択肢の一つには“繋ぎ”というものがあります。 “繋ぎ”は、色々なタイプがありますが、弁当程の量や大きさでもないので、その場で作業の合間に食する事も出来ますし、通称“お持ち帰り”というだけあって、鞄に忍ばせて帰る事も可能なので、このように時間の読めない場合には結構重宝するのです。

そしてもっとも厄介なのが、スケジューラーの予定通りに進行しない場合です。

終了予定が19時なら、ロケ弁なり“繋ぎ”なりは、当然用意しなければなりません。

ですが、都内で終了予定が18時より前なら、制作部としてもロケ弁の必要性は感じませんよね。 悪くても飯押しで19時位なら、早く解放されたいスタッフ達は、食事が無くても文句を言わずに帰りたがるでしょうから。

しかし、その終了時間が予定を遥かに上回って20時過ぎにまで及ぶと、制作部としては、慌てざるを得ません。 当然何かを用意しなくてはならなくなるのです。

とは言っても、今から人数分のロケ弁を用意するのは物理的に無理。 つまり発注してからの配達物では間に合わないのです。

そこで制作部は趣向を凝らします。

今ここで直ぐ数が用意でき、時間が掛らない。 見た目が良くて誤魔化せる。 温かいのなら、さらによし。 まずはそういった物から探し始めるのですね。

しかし現実的に言えば、このようなものは、中々あるものではありません。 ましてや数が必要なのですから。

という訳で、運が良ければ、チェーン店の握り寿司セット。 これは見た目で誤魔化せます。 のり巻きやいなり寿司の詰め合わせでも多少見劣りはしますが、腹に溜るという意味では、喜ばれるかもしれません。

さらに意外に重宝するのが、ハンバーガーチェーン店のセット物。 わりと直ぐ揃えられ、うまく行けば温かい。 それに嫌いな人は中々いませんから、冷めていても食べてもらえます。

そして、近くに程良い店等が無いような場合。 このような時はコンビニ等のオニギリや菓子パンが用意される訳ですが、これはさすがに人気薄。 セットでビールを付けても誤魔化しきれません。

まぁこんな時は素直にスケジューラーを責める事をお薦めしたいと思う次第です(~_~;)
posted by piyota at 22:33| 東京 ????| Comment(12) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月23日

ボランティアスタッフの拉致問題(笑)

テレビドラマ等とは違って、映画のロケは、かなり大掛りです。

それはやはり、機材の量が圧倒的に多いのと、比例するように、それを扱う人間が増える為で、その数はざっと50人は越える程の大所帯なんです。

ですが、これだけ人数がいるにも関わらず、現場を整理する制作サイドの人間の数はいつも決まって3〜4人。

つまり機材を扱う人材には金を掛けられるけど、予算を考えなければならない制作サイドの人材は、切り詰めの対象となるようなんです。

ですが、これだけの大所帯の面倒と、個人的我がままなスタッフの対応をしながら、ロケ中においては周りの環境にも気を使わなければならない制作サイドが、たったの3〜4人では、その内に目を回してしまったとしてもおかしくありません。

まさに猫の手でも借りられればと思うのが正直なところなのでしょう。

ましてやそれが地方ロケの多い映画なら尚更です。 ロケが終わった後も、宿等において彼等の面倒をみなければならないのですから、たまったもんじゃありません。 本当に我がままはロケだけにしてくれと叫ばずにはいられないような惨劇が続く訳なんですよ(笑)

そんな映画の地方ロケですが、フィルムコミッション等のロケ環境の整っている場所では、ボランティアスタッフという存在が威力を発揮します。

ボランティアスタッフとは、つまり無償。 大抵の場合、地元の大学の映画研究会やサークル等がフィルムコミッションと連携して名乗りをあげ、主に制作サイドの仕事に関する手伝いを、数十人もの若者達が請け負ってくれる事になるのです。

まさにこういった人材は、ロケ隊にとっては有り難いもの。

さらに若い、素直、やる気に漲っているとくれば、ヘタな我がままスタッフよりも頼りになると言っても過言ではない訳です。

そんな若者達にも支えられながら我々ロケ隊は、大変な地方ロケを、今日も順風満帆にやり遂げる事が出来るのですね。

さてそんな地方ロケが終わると、我々はむさ苦しい東京へと戻らなければならなくなるのですが、そこである行為に及ぶ事があります。

それはボランティアスタッフの拉致です(笑)

ボランティアスタッフである学生達は、将来は、この業界でやってみたいとする若者達です。 更に言えば、これらのボランティア活動は、業界入りのまたとないキッカケですよね。 それと若いやる気のある人材を求める業界は、既にお互いの利益を満たした相互関係であると言えるのです。

そんな感じで、ふと気が付けば、帰りのロケバス内に、こういった若者が乗せられていることがあります。

勿論、本人の意思によるものですが、時として、そうではない場合もあったり無かったり…

そして今日では、このようにして東京にやってきたロケスタッフが、随分活躍しています。

これはもしかしたらビックチャンス… ジャパンドリームかもしれません。

もしあなたの街にロケ隊が来て、あなたがボランティアとして、ロケを手伝う事になったのなら…

ある程度の覚悟と、そして荷造りだけは、しておいて下さいね(笑)
posted by piyota at 20:23| 東京 ??| Comment(2) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月21日

仏の顔も三度まで

本日より久々の本隊バスとなり、その初日の朝、約3ヶ月振り位で渋谷の集合場所へと参上しました。

今回は初めての制作部という事で、いかなる事態に及ぼうとも、まずは小手調べ。 どういう事態になっても、そこはプロらしく臨機応変に対応しようと、決意も新たにしていた訳ですね。

さて制作部と車両部は切っても切れない仲であるという事は、前にもお話しましたが、やはり初めて同士である時はいつも、お互いヨソヨソしく手探り状態であるものなんです。

それはやはり、この先の共同作業をいかに円滑に進めて行くか、という意味では、最初の印象がとても重要だからです。

つまり最初からなれなれしく横柄な口ぶりなら、『ああ、この人たちは、きっとこういう仕事の仕方なんだな』とか、人に対する態度や、物事に対する取り組み方がいい加減なら、『この人たちは、自己中心的で、人の意見は聞かないな』とか、それらはまず、初めて話した時のイメージで、大体大まかに印象付けられてしまうものなのです。

とは言っても、仕事をしてみなければ何も分かりません。 それにこの件に関して言えば、この日の第一印象は最良。 このような応対ならきっと、この先2週間程のロケでも、制作部と僕はスムーズに仕事が出来るであろう… その位、制作部は朝から我々車両部に気を使ってくれ、我々もそれに応えるべく、少し位無茶な指示にも従っていたのでした。

第一現場での国道路上駐車までは…

続く第二現場。 第一現場と同じく全車路駐。 しかし今回の場合は、オール池袋駅のロータリー内。 しかもその総台数が9。 さらに制作部が、毎度毎度その他の制作部同様、「何かあったら宜しく」の一言を残します。

しかしこんな事態も今までのロケ隊を見れば想定の範囲内。 愛想の良い第一印象の制作部たっての願いなら、数時間位の辛抱はガマンガマンです。

しかしこうなると、制作部としては、『あのドライバーなら、何でも平気だな』となるのが普通。 何を言っても仏の対応だから、もうその辺の気を使うのはよそう、と知らず知らずのうちになってしまっていたに違いありません。

そして第三現場へ移動。 次の現場は、JR埼京線等の上にかかる池袋大橋という陸橋の上。 この陸橋上の歩道へは階段しかない為、スタッフ並びに機材は徒歩移動。 えっちらおっちら重たい機材を担いで階段を上って行ったのです。

一方ロケバスはというと、道幅諸々の都合で階段下へは行けず、近くの路上で待機。 そこへ制作部から悪魔のような電話がかかってきたのです。

「移動車(レール)を使いたいので、陸橋の上まで来て下さい」

いや、ちょっと待て、陸橋の上というのは基本的には駐停車禁止の筈。 しかもこの池袋大橋は警察車両が5分置きには行き交う程のパトカーのメッカ。

しかしチーフやら制作やらが、既にバスを今か今かと待ち受けているという。 そりゃそうでしょう。 違反をする訳でもない、キップを切られる訳でもない、免許停止になる訳でもない、免許を取られる訳でもない、罰金を払う訳でもない、職を失う訳でもない、事故の責任を負う訳でもない、そして何より楽な訳ですから…

更にその後、第三現場近くで路駐をしている僕の所へ制作主任がやってきました。

主任「次の現場近くにコインパーキングがあるのですが、ロケバスを無理矢理そこに突っ込みたいんです」

piyota「それって未承諾ですよね?」

主任「はい。 係員がさっきまで居たんですけど、いなくなっちゃてて」

piyota「すみませんけど、ルールは守らせて下さい」

主任「はぁ」

言う方はいつも簡単です。 「バスを回して下さい」「バスをそこに止めて下さい」

その前に周囲の状況を確認した事があるのですか? そして交通法規を把握しているのですか?

実際に警察沙汰になるのは、いつも我々車両部です。 その責任を代わりにとる覚悟がないのなら、軽々しくそういう指示は出してもらいたくありません。

いかに現場を円滑に進行させる為の指示でも、もしそこで事故やトラブルがあっては意味がありません。

ましてや制作部なのですから、自らがトラブルになるようなキッカケを作るべきではないのは、当然の事なのです。

僕は、この日あった全てを踏まえて、制作主任にこれらの事を言いました。

しかしその後…

主任は、「あのドライバーとは、もう口を訊かない」と言っていたそうです。

piyota「あれ、もしかしてキレてます?」

piyota「思いっ切りキレてますよ!!」

明日以降、この主任にどのような制裁を加えるか…

今から妙に待ち通しいぞ。
posted by piyota at 22:58| 東京 ????| Comment(1) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月19日

スケジュール障害

スケジュールというものには、いくつか種類ありますが、大体はロケ日程全てを網羅した総合スケジュール(総スケ)と、一日ごとのスケジュール(日々スケ)に二分する事が出来ると思います。

総スケは、基本的にはインする前に作成される事が多いので、おおよその目安にはなりますが、天候やその日の進行状況、またはロケセットの変更等により、その通りにならない事が無きにしも非ずなので、我々は常に日々スケを頼りに、その日の動きを把握するようになる訳です。

さてそんな日々スケですが、インする前に全日程分を用意する、マメな助監督(スケジューラー)もいれば、2、3日分ずつ、あらかじめ配布する助監督もいます。

しかしほとんどの場合、そのロケ前日に一日分ずつ配られる事が多く、美術等の準備パートにしてみれば、いつもヒヤヒヤの状態でロケ当日を迎える事となるのです。

こうなってしまう背景には、日々の撮り溢し等による新たなスケジュールの組み替えや、天候等によって中止になったシーンの仕切り直し等が考えられる訳ですが、例えば、翌日の天候等が不順と思われる場合、晴れスケと雨スケ、いわゆる“両天”と呼ばれるスケジュールを、どちらにするべきかと助監督が最後まで悩んでいる場合なんかは、翌日の日々スケが、ギリギリまで出ない事もあったりはします。

そして今回のドラマは、前もって日々スケが出てるには出てるのですが、配布後も時間単位で変更が加わるという新手のスケジューラーだったのです。

つまり、スタッフ等に配られる大抵の日々スケは、その一角に作成された日付が記載されているのですが、このスケジューラーの場合、日付プラス時刻入りなのですよ。

という事は、例え早めに貰ったとしても、数時間後には、もう改訂版が出回ってしまうのです。

こうなると中々予定がハッキリしません。 スケジュールが出た時点で色々配車手配をしなければならない我々車両部にとっては、これはかなり深刻な問題です。

それは、配車指定時刻、配車指定場所、または配車のある無しの予定を再度ドライバー全員に伝え直さなければならないからです。

つい先日も、こんな事がありました。

当初ついていたEXバスが、夕方版のスケジュールで必要なしと書かれていた為、一度ドライバーとEXバスの予定をバラシたのです。

一度フリーとなったドライバーとロケバスは、この時点で別の番組へ配車する事も可能となる訳ですね。

ですが、その日のロケ終了後、皆が家に帰った後、22時版として新たなスケジュールが出回り始めたのです。

しかも新たなスケジュールには、再びEXバスが必要であると記載されていました。

ここで改めて制作サイドより、ロケバスの発注があった訳です。

しかし当然の事ながら、我が社のデスク業務は既に終了しており、事務所とは連絡がとれません。

困った制作サイドは直接、来る予定であったドライバーに連絡をとり、「やっぱり来れない?」と連絡して来た訳なんです。

幸いにも、別の仕事が無かったので、大事には至りませんでしたが、このような場合、最悪「もう別の仕事いれちゃったよ」と言われても仕方のない状態なんですよ。

“いつまでも、あると思うな、ロケバスとドライバー”

我が社も結構忙しいようです。

皆々様 “予定”そして“入金”は、なるべく早めにお願い致します。

候ふ
posted by piyota at 21:49| 東京 ??| Comment(0) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月18日

ほんっと、常識ないっすよね!

「ほんっと、最近の若い奴って常識ないっすよね!」

ロケの帰り道、僕は解散場所である渋谷を一路目指し、女性のチーフ助監督と中堅どころの録音助手を乗せて走っていました。

そして彼等はその車内で、こんな内容の話をしだしたのです。

チーフ 「なんかあったの?」

録音 「今日オンリー(台詞や音のみを収録すること)あったじゃないすか。 若いカメアシがマイク持ってる僕を邪魔したのに、すいませんの一言もないんっすよ」

チーフ 「ああ、その子、私と監督が話してる真ん中をカメラ通して、どけって肩も小突いたよ。 しかも無言でさぁ」

録音 「声出さないっすよね。 最近多いんすよ、特に若い奴は」

チーフ 「どこだっけ? 技術会社」

録音 「○○っすよ」

チーフ 「ああ。 きっと育て方の問題ね。 強く言えば直ぐ辞めちゃうから、会社としても恐れてるんだわ」

録音 「そ、そうなんっすよ! ウチも未だに僕が一番下で。 全然下が育たないんっす!」

チーフ 「ふーん。 あっ、運転手さんコンビニ寄ってもらえます?  私ビール飲みたいのよ」

録音 「あ、いいっすね!」

コンビニにて停車後、しばし待機。

戻ってくるなり、ビールを飲みだすチーフ。

チーフ 「ところでさぁ、他の現場でも助監督の下って大体あーなの?」

録音 「セカンドとサードの事ですか?」

チーフ 「私ね最近ついてないのよ。 出来ない下ばっかり付けられてさぁ(苦笑)」

録音 「確かに、いるかいないか分からないですよね」

チーフ 「だから倍疲れちゃうの。 せめて一般常識だけでも理解してくれてればいいのにねぇ」

その後、中堅録音助手には実家の母親からの電話。 チーフ助監督には、今をときめく男性アイドルグループからの電話があり、その間車内は電話ボックス状態に。

ロケ現場より、およそ45分。 工事渋滞をくぐり抜け、やっと渋谷到着。 その後、二人共にストレスでも解消出来たのか、晴れやかな笑顔で車外へ降り立ちました。

一方僕はというと、車内の忘れ物等をチェックしようと思い、後部座席のスライドドアを開けたところ…

その座席の上には食い散らかされたコンビニの惣菜やビールの空き缶が、見事に散乱していたのです。


piyota 「おいおい、これは常識の範囲じゃないのかよ」


という訳で、僕は密かに…  

「これじゃ下も育たんわなぁ」

と… 呟いたっすよ(笑)
posted by piyota at 22:55| 東京 ??| Comment(2) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月17日

消えた監督車の行方

先日より1週間程、4月クールの連ドラへの参加となりました。

その初っ端。

この日はナイターロケだけの為、その準備開始までの間に、今後のロケハンをしたいという事で、まずは午後3時に新宿の集合場所へ行きました。

この日のロケハンには、この後のロケへと行くカメラマンや照明技師、美術部の他、今日のロケには関係のない、次の話の監督や助監督等十数人が参加しました。

10人乗りである僕の車だけでは、ちょっと乗り切れないのと、ロケハン後にはテレビ局に戻らなければならない監督用に、制作担当が自ら運転する監督車、そしてロケハンをする物件の交渉を担当している制作主任の車、都合3台で、まずは集合場所近くにある日本一の歓楽街へロケハンに行きました。

しかしさすがに日本一の歓楽街。 駐車場はどこも一杯で、僕等3台はあえなく路上駐車の身となってしまったのです。

その内訳―

まず先頭の制作主任の車が裏通りのコンビニ前に停車し、続く僕の10人乗りワゴン車が同じく裏通りのまだ開店前の飲み屋前。 そして制作担当の運転する監督車は、裏通りが一杯となっていた為、少し交通量の多い表通りの交差点近くへの路上駐車となりました。

僕はとりあえず、近くに止めてある制作主任の車の鍵を預かり、ハザードを点灯して車内で待機しました。 しかし監督車に至っては、全くの別方向であった為、その視界に捕える事は出来ず、後は制作担当自らの管理に任せる形となったのです。

最初のロケハンは、およそ30分。 その間、裏通りには、ミニパトが1度回って来ており、自分の車は無事難を逃れたのですが、もう一台の制作主任車がチェックをされてしまった為、預かっていた鍵で少し場所を移動。 そしてこの時点でロケハン隊が戻ってきたので、とりあえず日本一の歓楽街での最悪の事態は免れたのです。

次に、この日2ヶ所目である渋谷方面でのロケハン。 そしてこの場所に関しては、制作担当がその段取りを担当するという事で、今度は監督車を先頭に移動する事になりました。

という訳で、僕のワゴン車と制作主任の車は、監督車が止まっていた表通りへ出て、その進行方向に車を並べて監督車を待ちました。



しかしいつになっても監督車が現れません。 やがて近くにいた制作主任が携帯を片手に苦笑いをしながらこちらへやってきました。

「監督車がレッカー移動されました!(笑)」

そうなんです。 皆さんのご推測通り、事もあろうに監督車が、監督の私物やその他スタッフの防寒着ごと消えてしまったのです。

この事態にメインスタッフの目は点になってしまいました。

とりあえず残った2台に分乗する為、美術スタッフの一部をその場でバラし、僕のワゴンへ監督が乗れるよう対応しました。

しかし2ヶ所目は、監督車のドライバーである制作担当がいないと見ることが出来ないので、一先ず車を探すより先にロケハンを進める事に。

そのお陰で、ロケハンは無事終了。

僕はカメラマン達を乗せて、そのままロケ現場へ。

そしてテレビ局へ戻らねばならない監督達は、私物を回収する為、制作担当と共に、制作主任の車で、一路警察へと向かって行きました。

これで全て一件落着、めでたしめでたし。

ですが…

現場では、防寒着のないカメラマンが一人、凍えそうになっていたのは、多分事実です。
posted by piyota at 00:31| 東京 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月15日

過酷なワイドショーの世界

ロケバス会社の仕事内容は、その会社によって様々です。

いわゆる通常のロケであるドラマや映画、CMや雑誌、旅・情報番組やバラエティー等の撮影現場同行から、撮影以外の人員輸送であるロケハンや空港等への送迎、更にそれ以外のお葬式や慰安旅行、ボーイスカウトやキャンプに至る(我が社限定?)までの、実に様々な送迎やサービスを請け負っているのですね。

その基本は、当たり前の話、運転と荷物の搬出入に尽きる訳ですが、中にはドライバー職の領域を越えて、現場と運命を共にしなければならない内容の仕事があるのです。

それがワイドショーの仕事です。

これはいわゆるENGというスタイルのものなのですが、ドラマや映画等の大ロケ隊とは違って、出演者はリポーターが1人。 後は制作サイドであるディレクターが1人と、撮影クルーであるカメラマンと音声が1人ずつ、我々ドライバーが1人、そして車両がたったの1台だけという、実にコンパクトな部隊なのです。

故にドライバーの仕事はそれだけに収まらず、このような少数精鋭の場合は、カメラマンのアシスタント兼照明を担当する事になる訳なんです。

つまり撮影技術パートの一員として扱われるのですね。

ですから、人並みに機材の名前は分からなければならないし、照明の当て方の基本も知らなければいけません。 これはまさに運転する以上に気を使う作業ですし、その仕事量も、運転だけに比べると、まさにその倍と言っても過言ではないものなんです。

ですがワイドショーの仕事というのは、一日の仕事量が、その日によってマチマチ。

それは、その日当日になってみないと、どんな内容の仕事があるか誰にも分からず、まるでくじ引きみたいに、仕事の分量に対して当たり外れがあるからです。

ご存知のようにワイドショーには、様々な内容のネタがあり、この様々なネタを取材する為に常に取材班(ENG班)と呼ばれるクルーが、毎日待機させられています。

取材班は毎日5班程度、各テレビ局付近で待機をし、取材や事件等の仕事が発生した時点で、随時ロケに出発をして行く事になります。

例えば1班目がある事件を追って地方へ行ったとします。 続く2班目が都内の記者会見会場へ別の芸能ネタで出ます。 さらに3班目が1班目の事件についてのインタビューを収録する為に識者自宅へ行き、4班目は、例えば奥様企画で街頭インタビュー。 そして最後の5班目は、何か大きな事件が発生した時の為にとっておく。 といった具合に、その日の担当になった5班は(毎日変わります)、およそ24時間体制の中で色々なメニューをこなして行く事となるのです。

しかし前述した通り、この5班には仕事の量に差が出ます。 先程のように地方へ行った班は、その移動距離から、その日の仕事はそれだけになるでしょう。 また識者インタビュー等の軽いロケの組は、早く終わったお陰で何本もの細かいロケをこなさなければなりません。 そして万一の為に待機させられていた班は、もしかして一日中出番が無いかもしれないのです。

そしてこれは、我々が経験したホンの一例なのですが…(自分含む)

@ 早朝、首相が羽田より離陸するのを取材。 戻ってきて芸能人記者会見。 昼より原宿で芸能人の新店舗取材。 夕方、映画館で舞台挨拶取材。 夜、首相が羽田へ戻るのを待ち、これで終わりかと思ったところで、入院していた芸能人が極秘で退院するかもしれないと、翌朝まで完全徹夜の張り込み。

A 北海道で南西沖地震発生。 着のみ着のままで奥尻島へ飛ばされ、そのまま着替えも無い、宿も無い状態で約2週間の滞在取材。

B その昔、一世を風靡したカルガモの道路横断を撮影する為、もう渡るだろうと予想された日にカメラを設置。 しかし中々渡らず… 悲しいかな1週間の路上待機を強いられる。 等々…

想像を遥かに越えたワイドショーの世界は、まさに労働基準法と真っ向勝負なのでありました。

という訳で…

例え押したとしても、予定表があるドラマロケの方が、まだマシのようで。
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2006年04月13日

ねぎらいの言葉

長距離移動は、ドライバーにとって腕の見せどころです。

ましてやそれが遠ければ遠い程、その苦労は労われるものでなければならないのです。

数年前、こんな事がありました。

僕は美術の別トラックのドライバーとして、その作品についておりました。

都内ロケを数日間やり、後は本州の最西端の下関ロケを残すだけとなり、スケジュール上、その出発の日当日に積み込みをし、午後8時過ぎ、東京都内を後にしたのです。

下関までは、制限速度で行っても、およそ12時間〜13時間。 途中で食事と給油休憩のみを取ったとしても、下関到着は早くても翌日の午前9時〜10時位。

基本的には翌日は移動日として計算されているので、遅くても暗くなる前に着けば、トラック内の整理は出来る。 まぁその位の心のユトリが無ければ、安全に走行出来ないだろうという、ありがたい制作サイドの配慮で、気ままなロングドライブを始める事が出来たのです。

運転を初めておよそ8時間後、何度目かの休憩で午前4時を回った頃、軽い睡魔が体を襲ってきたので、少し仮眠する事にしました。 寝過ごしてもいけないので、目覚ましをかけ、軽く目を閉じました。

そして日の出と同時に再出発。

その仮眠を最後に、僕は残り5時間余りを走り抜く決心をしました。

着いてしまえば、この日の仕事は終わり。 早く終らせて、ホテルの風呂にでも浸りたい。 そんな一心で僕はトラックを走らせたのです。

一方、この別トラックの担当、美術部装飾の親玉は、さすがの御老体。 当日の午前10時に羽田を離陸する飛行機で、メインスタッフと共にあっさりと福岡へ到着。 しかも陸走を続ける車両部よりも先に、宿泊先であるホテルに着いて、まんまと昼食を済ませ、我々を今か今かと待ち構えていると言うではありませんか。

いやしかし、急ぐ理由は無い。 無理をして事故でも起こしたら元も子もないではないか。

そして、お昼を回った頃、ようやく下関の宿に到着。 休憩休憩で安全に来たから、この位の移動時間は予想の内です。 ですが、いくら休憩を入れたからと言っても、ずっと緊張のしっぱなしですから、当然どっと疲れが出て来ます。 僕はトラックを降り、とりあえず深呼吸をしました。

そこへ、朝10時に羽田を出発した、移動時間約2時間半の装飾の親玉がやって来ました。

僕は当然、苦労を労ってくれるのかと思ったところ…

「piyotaちゃん、何ゆっくりしてるの! 早く! 買い物行くからトラック出して!!」

と言うではありませんか!

僕は耳を疑いました。 僕はたった今ロングドライブをして着いたばかりの身なのに、そんな事なんて全く関係無しの親玉のお言葉。 まるで自分と一緒に飛行機で移動でもして来たかのような対応。

まさかボケてしまったのか?

他の車両部達も、ボチボチ着きはじめて、荷物を持ってとっとと部屋へ行ったというのに。

仕方なくトラックを出し、下関市内へ向かいます。 トラックで買い物だから、さぞかし大きなものか、重いものでしょう。

そこへ、親玉の言葉。

「piyotaちゃん、花屋探して! 花束買うから!!」

うっ! 2tトラックで、花束… マジですか? その後、手荷物程度の細かい買い物が続き…


そしてこの日、とうとう僕は、ホテルでの合同夕食にすら間に合いませんでした(;一_一)


 
posted by piyota at 02:13| 東京 ??| Comment(6) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月09日

僕のヒーロー

僕には、師匠として崇拝している方がいます。 これは、僕が憧れのその方に出会うまでの物語です。

その昔、僕が映像専門学校の撮影技術科に在籍していた頃、卒業するにあたり希望就職先を学校に提出するという作業がありました。

勿論、同じ科の同級生達の多くは、撮影技術会社や撮影所の撮影部、フリーのカメラマンの助手等を希望していたのですが、その頃の僕には、既に人とは違った世界の目標があったのです。

撮影技術科コース piyota  第1希望就職先 

             「カースタント屋さん」

そうです、こともあろうに当時の僕は、撮影技術とは全く関係の無いカースタント業界を目指そうとしていたのでした。

僕は子供の頃より、壊れている車が好きで(笑)、勿論事故現場を見掛ける機会等はある筈もなく、いつしかテレビや映画の世界でそれを楽しむようになりました。

しかし予てより、スタントマンという職種の存在があまりにも特殊であり、就職する方法(この場合、就職と言っていいのか…)すら分からなかった為、とりあえず映像の世界には入りたいという希望を胸に、専門学校にだけは進んだのです。

そこで僕は、運命的な作品に出会いました。

当時僕が頻繁に出入りしていた撮影所において、ある有名な刑事もののドラマが撮影されていたのです。 この作品はアクションあり笑いあり、それでいて当時の作品としてはスタイリッシュで、カッコいい。 当然カーアクションは毎回あり、それを間近で見られる環境にいたお陰で、そのスタントをしている会社の名前を、そこで初めて知る事が出来たのです。

僕は早速、その会社の名前を就職希望欄に書き入れました。

ですが…

学校側はあっさりとこれを否定。 前例が無いのと、やはり危険であると判断されてしまったのです。

いつしか僕は、撮影技術会社へ就職し、その後出版社へと移ってからは、アクションとは程遠い存在の映像世界を追求し始めました。

きっと本当に好きだったのなら、無理をしてでも、その会社の門を叩くべきだったのですが。

その程度の夢…  本当は正直怖かったのかもしれません。

そして8年の月日が流れ、僕は再びテレビや映画の世界へ戻ってきました。 しかしその転職した先が一番地味な車両部(笑) 僕はここで心機一転、サポート業務を志すことにしました。

しかしここで、またもや運命の出会いが僕を待ち受けていたのです!

実は車両部とカースタントは相互関係にあり、なんと僕の就職した会社は、当時一世を風靡していた、あの刑事ドラマのカースタントを担当した会社と仲が良かったのです。

しかも同じ現場に、そのドラマで主役の吹き替えやメインスタントを担当した、業界でもカリスマ的存在のスタントマンでもあり、僕にとって十年来の憧れの方が来ていたのです!

見た目はかなりコワモテなのですが、話をしてみると以外に優しいその人は、生まれながらのスタントマンと言っても過言ではないような人でした。

その華麗なスタントは、ほとんどが練習無しの一発勝負であり、どのような難しいスタントであろうとも顔色一つ変える事なく、難無くクリア-してしまうのです。

僕は、こと現場が一緒になる度に、その人に色々な技を見せてもらいました。 話も沢山聞かせて貰いました。

そこでまず驚いたのが、二人共、カースタントマンを描いた映画「マッハ78」という地味過ぎる位の日本映画が、この世界に興味を持つきっかけになったのだという事です!

これにはその方も、「この映画知ってるなんて通だねぇ」と驚いていました。 僕はその時、何故か優越感に浸っていたのを覚えています(笑)

しかし最近では、映画でもスタントシーンが減り、カースタント業界自体も衰退してきていると聞かされました。 確かに簡単なスタントシーンは車両部が担当する事もしばしば。

ですが、この少ない中でキッチリと仕事をこなす職人的な技をを見る度に、僕はプロとして、そして男としての生き様を見せられているような気がしてなりません。

そんなスタントマンの方々は、今でも僕の中のヒーローなのです!!


もし劇中において、急ブレーキを掛けた車に、主人公が跳ね飛ばされそうになったならば…

「バカヤロー あぶねぇじゃねぇか!!」

と言っているドライバーが、大抵はスタントマンの方々です(笑)

スタントマンの方々は、そのほとんどが画面に顔を出すことはありません。

ですから、その数少ない勇姿を目に焼き付けてあげて下さい。
posted by piyota at 21:47| 東京 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 人物列伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月08日

連ドラの準備と舞台裏

通常、2時間ドラマのロケハンといえば、その作品がクランクインする直前に、完成された台本の内容に則して行われ、その作品内で使用されるロケセットに関しては、この時点で粗方決定してしまうのがほとんどです。

しかし連ドラのような3ヶ月にも及ぶ長期的な作品については、この限りではありません。

それは、連ドラの場合、これら単発の作品とは違い、1話が約45〜50分の10〜12話構成。 という事は1本の作品で約12時間分の台本を脚本家は書かなければならないという事になりますね。 加えて、話を推し進めるに従って、台本の内容を変更しなければならない場合も有り得ますから、極端な話、第1話の放送開始後にも、後半の台本が完成していないことも度々あるようになってくる訳です。

勿論、台本が完成していなければ、どの場面でどういった物件が必要になるかは分かりませんから、当然制作サイドとしては探しようがありません。

さらに制作や演出パートにしてみれば、撮休日や撮影がセットやスタジオ内で行われているような動きの少ない時に、早めに次の準備やロケハンをしておきたいというのが本心ですから、このように台本が遅れるという事は、はっきり言って内心穏やかではなくなる訳なんです。

現場にも付かなければならない、次のロケセットも探しに行かなければならない、という風に、段々と切羽詰まった状態なってくるのです。

しかし連ドラには、ちょっと便利なシステムがあります。

それは監督以下メインスタッフを話毎に入れ替えるというものです。

大方の連ドラの場合、メインとなる監督が最初の1話2話と最終回等を担当し、それ以外の物語を、2、3人の監督で回していきます。 余程の事がない限りは、その他スタッフには変更がないのですが、前述したように台本の遅れ等によって、スケジュールの進行に影響を及ぼす場合には、当然撮影日にも次の準備をしなければならなくなりますから、これらを同スタッフによって同時に進行する事はやはり不可能となってしまいます。

そこで今回、僕がついているようなロケハンになる訳なんです。

つまり、メインである監督とスタッフ達が6話を撮っているのと同時に、7話の監督そして8話の監督、そしてその下に付く7話8話専属の、全く別の演出部、制作部、照明技師、美術デザイナー等と共に(カメラマンだけは通しの為不参加)、次の準備やロケハンを行うのです。

こうしておけば、役者や他のレギュラースタッフのテンションを下げる事なく、スムーズに6話と7話の切り替えが出来るようになる訳ですね。

ですが監督以下演出部と制作部が現場中に総入れ替えになる訳ですから、残されたスタッフや役者にとっては、全く別作品になってしまったと言っても過言ではありません。 当然、監督によって演出方法も違いますし、粘り方も違います。 どちらかと言えば、残っているスタッフ、全てのキャストの方が、キャラを理解していると言えなくもありません。

つまり、この時点で一番現場に馴染んでいないのは、その場限りの監督であるということになってしまうのです。

しかしテレビを見ている視聴者にとって、これらの連ドラがさほど違和感がなく続けて見られるのは、やはり監督や演出の力等ではなく、演じている俳優たちの芝居や、残っているレギュラースタッフの力なのかもしれませんね(笑)

いずれにせよ、この長期に及ぶ連ドラが、途中から全く別物語のようになってしまぬよう、スタッフは細心の注意を払っていることは確か… の筈です。
posted by piyota at 18:42| 東京 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月06日

テレビ視聴中における個人的な心配事 

テレビでドラマ等を見ていると、時々要らぬ心配をしてしまう事があります。

それは、孤独な主人公が土砂降りの雨の中で立ち尽くしていたり、汚れる事も顧みずに川の中へ落し物を探しに入るといったシーンを見てしまった時の事。

そしてこの日もちょうど、現場待機中の車内TVの画面に、再放送の連ドラにおいて、このような場面が流れていた訳なんです。

勿論、裏方としては、役者の体調を心配する御考えもあるにはあるでしょうが、この場面を見て、僕が真っ先に思い浮かんだ心配事は、

「ああ、これじゃメイク車が出てるな」

という事なんです。

そもそもメイク車とは、街中や郊外のロケにおいて、控室でもあるスタンバイ部屋を用意出来なかった場合、またはそのような場所が皆無の地域でのロケの場合に、簡易的ではありますが、電源、水道、そして簡易トイレ等の備わったこの移動メイクスタンバイカー(メイク車)を用意するというのが、ドラマや映画のロケでは常套手段となっているんですね。

ただし、これはあくまでも簡易的なものでありますから、願わくは部屋が用意出来る事に越したことはありません。(役者に対する建て前としてが一般的)

しかし、そういった部屋が必ずしも現場の近くにあるとは限らないので、車両で遠くまで移動する手間を考えれば、例え簡易的なものでも、現場近くにあれば、それで済ましてしまいたい… というのが現場進行サイドの正直な思惑なのです。

ですが、僕はメイク車が嫌いです。

それは、準備やメンテナンスや掃除が最も大変で面倒な上に、この車両を使用する当のメイク部や衣裳部スタッフには、さほど評判が良くないからです。〈車両トラブルも多いし…〉

つまり、それらの恵まれた環境に育ったスタッフにとっては、メイク車はやはり、狭い、うるさい、使いづらいの3拍子という事なんですね。

事あるごとに、不平不満や使いづらさをびしびしアピールして、見えないプレッシャーを次々とドライバー本人にぶつけてくるのです。

発注したのは制作サイドなのに… 中には「メイク車なんかじゃメイク出来ないわよ!」って言う、メイクや役者もいるくらいです。

しかしやはり、雨に濡れた役者や泥で汚れた役者に真っ先に対応できるのは、それこそメイク車の利点ではありますから、その為だけに役立てる事には誇りがある訳です。

あっ、誇りと埃がシャレになっている! ぷぷっ。

あ、いえ、これすなわち、メンテナンスが大変だという訳で…

やはり、僕はメイク車は嫌いです。

きっと、このような雨や水に濡れるシーンの裏側には、まずメイク車の発注があると考えられます。

つまり、このような場面をテレビで見たならば、皆様両手を合わせて、メイク車ドライバーの為に祈ってあげて下さい…

「これはきっと、メイク車だな。」

「かわいそうに…」

と。
posted by piyota at 20:23| 東京 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月04日

ロケ終了後の車内反省会


「ダメだなあのタコ監督じゃ!」

「あのワガママなタレント、上から抑えられる人間が誰もいないんだよなぁ」

これは、つい最近、ある別々のロケにおいて、その帰りの車内でなされた会話の一部です。

このようにロケの帰り道では、その日のロケを振り返るような反省会(笑)が、日々執り行われているのです。

さてロケ関係車両には、色々な種類がある訳ですが、主に車両部が必ず担当するロケバスは、特に乗車人数も多く、沢山の反省が行われているように思われがちですが、実は諸々の事情で、以外にも特に我々が期待するような内容の話題が少ないのが実情です。

というのも、その日によって多少の違いはあるものの、車内にいるのが演出部、撮影部、録音部、照明部、メイク、衣裳、スチール等と、色々なパートであり、とかく槍玉にあげられがちな演出部は、やはり現場のトップとも接点があるという理由により、各々営業的な問題を懸念する自粛、それと技術系の多くは、まだ発言する機会のない、助手等の下っ端であるという事で、なんとかギリギリのムードを保てているのです。

では、それ以外の車両はどうでしょう。 各パートが専属で乗車する小さな車両達は、いわば無法地帯のようなものです(笑)

先日1日だけ参加したバラエティー番組では、どうやら現場サイドのミスにより生じた進行の遅れに、MCであるお笑いタレントが大激怒。 あわや現場放棄というオチになるところだったらしいのです。

そして、これらの情報はというと、この帰りの車内の会話から知りました。

このように各パート専属の車両内は、ある意味言いたい放題です。 ですから、その日に起った不具合なんかは、現場にいなくとも知る事が出来るのです。

しかもそのほとんどが現場に対する不満、もしくは個人攻撃。 それらの事が事実かどうかは分かり兼ねますが、時折信じがたい情報までもが錯綜するのです。

「あのタレント、あんな風になっちゃったらもうダメだよね」

「監督があれじゃあ、終るものも終わんねーよ」

「あの俳優、カツラなの秘密にしてるらしいけど、今日の風でちょっとずれてたな」

プロ野球選手と結婚した女優と飲んだ
んだけど、旦那はただの野球バカだって、嘆いてたよ」


これは、あくまで会話です。

事実かどうかは、僕は知りません…
posted by piyota at 20:54| 東京 ????| Comment(5) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月02日

そして誰もいなくなった。

ドライバーという仕事は、運転する事が当然本職なのですが、時には担当車両のパートの手伝いも、必要とあらば躊躇う事なくやらせていただきます。

荷物の搬出入は勿論の事、移動飯なら人数分のお弁当を車両に運びいれたり、車内に排出されたゴミの片付けや、制作部との繋ぎ役に、貴重品の管理等々。

いわば車両部は、そのパートにとっても強力なサポーターである事には、間違いない訳です。

それで、先月末にやっていたあの怪しいロケにおいて、僕は照明、美術の混載トラックをやっていたのですが、その担当初日のナイターロケで、僕は有り得ない体験をしてしまったのです。

今回のロケの場合、内容がCS専用のドラマ番組という事で、そのロケスタイルから、スタッフ編成まで、普段僕等が担当するようなドラマとは違い、とっても素人チックな感じだったのですね。

僕は結果的に、照明、美術の混載トラックとして配車されていた訳ですが、実際のロケ現場へは、スケジュールに記載されている半分も行っておらず、ましてや初日には、積載量の10分の1の機材搬送だけで誰も乗ることなく、二日目には、オヤジを筆頭に美術部二人と荷物2個だけを乗せての移動と、こちらが気にする位、恐ろしく無駄な車両と言えました。

それでオープンロケ、最初の本ナイター。

実は、まともな照明部は技師一人しかおらず、インしてからのスタジオ3日間は、技師自らが自家用車両に積めた自己所有の照明機材を使用して、アシスタントを制作部が務めるというまさにENGスタイルであった為、オープンロケ初日のナイターで、初めて僕のトラック内の機材を使用する事になったのです。

といっても照明部は一人。 僕はとりあえず技師の指示するものを降ろし、分かるものは自分で組み立て、出来る限りの手伝いはしました。

技師の方も、自己所有の機材まで降ろし出して、それはもう大変な仕事量になったのでした。

午後11時半。 ようやくナイターロケも終わり、各部が一斉に機材や役者をバラシ始めます。

僕は、路上にとっちらかった照明機材を、とりあえずトラックの周りに集め、その後順番に積み込む段取りにしました。

一方技師はというと、自己所有の機材回収でてんてこ舞いです。 ですので、しばらくはこちらに回って来れなさそうでした。

僕は、見様見真似で機材を箱に収め、長いケーブルを巻き、物陰に隠してあったゼネレーター2台を牽いて来ました。

思ったより多い… 多分バンタイプの車なら満載かも知れない。

そして積み込み完了!

照明機材屋から借りてきた本数や個数等は、大抵は発注した技師が把握していますから、最終的な確認はしてもらおう。 そう思ってトラックを降りたところ…

…シーン

辺りは真っ暗で、人っこ一人見当たりません。 なんと照明機材を一人で積み込んでいた僕は… 僕だけが、いつの間にか、たった一人深夜のロケ現場に取り残されていたのです!

きっと他のスタッフは、宅走ギリギリの時間帯で速攻で駅に向かったのでしょう。

しかし…

照明技師は自家用車の筈。なのに技師はおのれの機材を積み込み終わると、とっとと帰ってしまったのです。トラックの機材だって自分で発注した筈なのに。

静まり返った暗闇に荷台を閉める音が反響します。

ぎぃーーーー。


そして誰もいなくなった…


冷たい夜風が、いっそう冷たく感じる、そんな孤独感が僕を包んだのでした。  

(ToT)/~~~
posted by piyota at 19:02| 東京 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月01日

渋滞大歓迎の日

この日ほど、渋滞を願って止まない日はなかったと思います。

それは僕の車両人生の中で、最も屈辱的な日での出来事でした。

サイテーな気分を味わった翌日、この日の僕は、正式に照明・美術混載トラックとして再度、この怪しい現場へと足を踏み入れる事となりました。

積載内訳としては照明が95%で美術が残り5%。 まぁ作品の内容が内容だけに、100%と言っても、この2屯トラックの最大積載量のおよそ10分の1程度しかありませんから、仕事の手間で言ったら、物足りない位に思える仕事ではあったのです。

そして、この日のロケは全部で3ヶ所。 照明部の方はナイターである3ヶ所目の現場でしか機材を降ろさないという事だったので、それ以外は美術部の指示で動く事となり、ロケ最終日であるこの日は、ほぼ撮影残(ざん)の回収みたいなもので、それほど密度も濃くなく、第2現場では、美術部にすらトラックはいらないと言われ、第3現場までのおよそ6時間もの間、この混載トラックは中空きとなってしまったのです。

その間に一度、美術部のバラシで撮影所へ戻り、そこで第3現場への再出発の時間を僕が決めて、一時解散する事にしました。

現場再集合が17時。 通常撮影所からは下道で1時間ちょっとの現場への道のりに対し、僕は3月31日という年度末兼月末という日付も考慮して、移動時間に約2時間を設け、15時に撮影所を出発出来るよう美術部に話をしました。

「2時間前は、早すぎるだろ」

美術部のオヤジが、ボソッと言いました。 オヤジは自分は道に詳しいという感じをアピールして来ます。

「この間は、50分ソコソコで行ったぜ」

ちなみにオヤジは、この日の現場を知らないくせに、さもこの前のドライバーなら、その位で行けるのに… と言いたそうでした。 無論この日の現場は更に奥の奥であり、それを知らないにも関わらず、無意味な発言をする、この美術のオヤジに、僕は段々とムカッ腹が立ってきました。

しかし当初の予定通り15時に再集合して出発。

最初のうちは流れていたものの、やはり渋滞の発生は避けられず、しばらくノロノロ運転が続きました。

その時です、事もあろうに美術部のオヤジは、こうほざいたのです。

「やっぱり混んでるなぁ、こんなに混んだ事なかったのに… 他に道ないの?」

カチ〜ン!

その為の2時間前出発だという事を既に忘れていらっしゃる、このお方。 迂回して、もし早く着いたら、「ほら早過ぎただろ?」と言うくせに。

僕はひたすら願いました。 このまま渋滞が続きますように… そして丁度いい時間に着きますように…

それからの僕は、安全運転に努めました。 車間距離を守り、制限速度を守り、譲れる車は全て譲り、黄色になる前にも止まり、渋滞は歓迎し、出来るだけ時間が掛るよう調整したのです…

16時25分、第3現場着。 しかし既にそこには第2現場をこなしてきた本隊ロケバスや機材車等が到着しており、後はこの混載トラックが入るのみという状態。

しかしオヤジ、降り際に一言。

「ほら、やっぱり早すぎだろ?」

17時入りという事に、妙に固執しているオヤジ。 目の前の本隊なんか気にする事もなく、何故か勝ち誇っている様子。

それもこれも後一日の辛抱です。

そしてこの日、ナイターロケが夜明けとなってしまい、強制的にオールアップ。

さぁ撤収!

その帰り道、徹夜明けにも関わらず、オヤジの目は、ギンギンに血走っていました。

「どの道で帰るの?」

「高速使わないの?」

「どのくらいで着きそう?」

もう、うるさい!

僕は力一杯、飛ばして帰りました。

それは勿論、早くこのオヤジとおさらばする為です…
posted by piyota at 07:54| 東京 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする