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2006年05月31日

比較的飛躍的な話題

これは以前から思っていた事なのですが、ロケバスにて待機している時に、通り過ぎる一般の方々の視線に、妙な決まりがある事に気付きました。

それは例えばミーハーな人々が、誰か有名なタレントや芸能人が乗っていないかという心理で車内を覗くものではなく、明らかにそれ以外の目的を持った視線なんです。

それらの視線を投げ掛ける方々の多くは年配の方々。 中にはもう少し若い方もいらっしゃいますが、大抵決まってオジサンやオバサンの視線に、決まった法則みたいなものを感じるのです。

その視線とは、車のナンバーを見ることです。

これら年配の方々の多くは、ロケバスを見掛けると必ず振り返って、バスのナンバーを見るのです。

これは一体どうしてなのでしょうか?

御存じのように車のナンバープレートには、管轄地名、車の種別、排気量を表す2〜3桁の小さい数字、平仮名、そしてその車の登録番号である1〜4桁の大きい数字が並べられています。 また一般車なら白、営業車なら緑、軽自動車なら黄色といった具合に丁寧に色分けもされています。

これは単純な憶測なんですが、それら年配の方々にしてみれば、ロケバスのような大きな車は、やはり昔から見慣れている訳ではありません。 見慣れていないということは当然地元には無い車と判断しますから、ついついどの地方から来たのか見たくなるのではないのでしょうか。

つまり、よそ者扱いの意味なんですね。

これがもしどこにでもいるミーハーと同じ心理なら、投げ掛ける視線は、当然バスの中。 ですがこれらの年配の方々は、バスの中よりまずナンバーなのですよ。

ただし共通して言える事が一つ。 それは皆さん運転手(ドライバー)の顔だけは確認しようとするのです。

これは我々にしてみれば意外に不愉快です(笑) 一体我々の顔を確認してどんな情報を得るというのでしょうか? それとも何か言いたい事でもあるのでしょうか?

あっ、話が微妙にそれてしまいました(笑)

ロケバスのナンバーの地名は、基本的に東京都内の品川、練馬、足立、多摩、八王子や川崎、横浜、相模、そして大宮等の都内近郊の地名が多く見られる訳ですが、地方でロケをしているならまだしも、実は都内各地でロケをしている時の方が、ナンバーを見られる事が多いのです。

多分、それら一般の方々にとって、ロケバスの存在自体が異質のものなのかも知れません。 やはり街で見掛けるロケバスは、見慣れた風景の中に異彩を放つものです。

きっと、体内に入ってきたバイ菌でも排除するかのように、無意識のうちに、その存在を否定しているのかもしれません。

あっ、またまた話が勝手に飛躍してしまいました(笑)

これは比較的飛躍的な勝手な憶測ですが、もしかしたら比較的現実的な話題かも知れません。

少なくとも僕はそう思います。

まぁ僕の場合、まずは社名を見てしまいますけどね…(笑)
posted by piyota at 21:09| 東京 ??| Comment(1) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月29日

幻のデビュー作

技術会社にて機材積み込み後、その機材車で第1現場へ向う途中、渋谷本隊集合の筈であるカメラマンより、機材車内のVEに謎のメールが届きました。

『後は、任せた』

????

それは、我々が第1現場へ到着する、ほんの数分前の出来事だったのです。

第1現場へ到着すると、既にメイク先発であるロケバスや俳優車、それに制作車等が道端を陣取っていました。

この後は、撮影開始までの間を、俳優のメイクスタンバイや、朝食を摂ったりしながら、本隊(監督やカメラマン等のメインスタッフ)の到着を待つ訳です。

しかし我々撮影部チームはその間も、先程のメールの意味する事に、俄に不安を募らせ始めていたのです。

本隊到着。 しかしその車両には、やはりカメラマンの姿形は見当たりません。 そして本隊を担当した制作部より、驚愕の事実を知らされました。

何とカメラマンは、カ、カメラマンは、本隊出発の時間に起きたらしいのです!!

その事実を知らない現場では、着々と撮影の為の準備が進められていました。

カメラマンが現場に到着するのが、最低でもおよそ1時間。 その間の現場を一体どう繋ぐのか?

監督と制作、そしてVEは話し合いました。 まずはやるかやらないか。 カメラマンを待つべきかどうか、やるなら誰がカメラマンをするのか。

とりあえずVEは、夜勤明けであろう同社カメラマンに片っ端から連絡をとります。 が… こういう日に限って誰も捕まらない様子。

VE「策が途絶えた(笑)」

もう開き直るしかありません。 結論はGOでぇす。 そして何とカメラマンに抜擢されたのが、入社4年目の若手カメラアシスタント君だったのです。

これは監督も英断です。 しかもこのシーン全てが三脚無しのオールハンディ(手持ち)。 つまりよりによって、最もカメラマンとしてのセンスが試されるワークだったのです。

しかしこれは彼にとっても、まさにビッグチャンス。 最低でもカメラを振るまでには5年以上は掛かると言われているこの業界で、しかもテレビドラマのメインカメラを振る訳ですから。

現場は、にわかに変な緊張で包まれ出しました。 主演俳優も、心配かつ微笑の面持ちです。

ヨーイ! ハイッ!!

カメアシ君はついにやり遂げました。 そりゃテイクは幾つも重ねましたが、ちゃんと本番を無事こなしたのです。

そして2カット目の段取りの最中、ようやくカメラマンが到着しました。 これで現場に、いつもと同じ空気が流れるかと思いきや、そのカメラマン、カメアシ君の所へ来て、「もう一個やっとくか」と。 そう言われた時のカメアシ君の表情はまさに顔面蒼白でした。 余程、生きた心地がしていなかったのでしょうね。

結局、2カット目より、本来のカメラマンが従来通りカメラを振ることになり、逆に当初予定していたスケジュールよりも早く、この現場を終了することになりました。

カメアシ君の華麗なるデビューのお陰で、現場に遅れが出ることは無かったのです。

しかしここで、カメアシ君にとって、思ってもみなかった事態が発生したのです。

それはこんな監督の何気ない一言から生まれました。

監督「せっかくだから、1カット目撮り直していい?」

まさに幻のデビュー作。

頑張れカメアシ君! 1カットの重みが理解出来ただけでも、貴重な経験となることでしょう。
posted by piyota at 00:18| 東京 ????| Comment(1) | TrackBack(0) | 人物列伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月27日

また、ちょ〜だ!!

忘れもしない2004年夏の甲子園決勝、南北海道代表、駒大苫小牧高校対愛媛県代表、斉美高校の試合。 5対3斉美リードで迎えた4回ウラ駒苫の攻撃。 1アウト3塁に3塁打を打った9番五十嵐を置いて、バッターは2番沢井、その初球。 打球はレフトのライン際を襲う痛烈なライナー! そしてその時、テレビ中継をしていた某国営放送のベテランアナウンサーは、思わずこう叫んだのです。

「また長〜打!!」

このアナウンサーが、そう言ってしまったのには伏線がありました。 この年の駒苫打線は、甲子園史上通算最高打率を残した猛烈な打線。 この日も初回から、この4回ウラの攻撃を迎えるまでに、3番林、5番糸屋、6番佐々木、9番五十嵐らに、既に2塁打以上の長打が出ており、この日飛び出した5本目の長打に、半ば呆れ気味のアナウンサーが思わず口にした一言だったのです。


その2年後の5月最終週。 僕はその余韻も覚めやらぬ(長すぎ)ドラマの現場で、機材車を担当していました。

機材車は、撮影部、録音部が乗ったいわば専用の車両。 よって、こと移動に関して言えば、役者の車両等を引っ張る煩わしいロケバスとは違い、そのほとんどが単独行動、もしくは照明車の引っ張りが任されるだけでした。

ですからインして、もうすぐ2週間が経とうとする今回の現場では、全くと言っていい程、移動にはストレスを感じていなかったのです。

しかしこの日の最終移動の出発時に思わぬトラブルがありました。

我々は某ロケセットの専用駐車場に車両を入れていたのですが、営業時間が既に終了していたのが災いして、この駐車場に閉じ込められてしまったのです。

そしていつもはさっさと機材を積み込んで、真っ先に移動を始める機材車だったのですが、このゲートが開くまでの間に他の全ての車両の準備も整い、後は各車一斉スタートOK。 ゲートが開くのを今か今かと待ちかねる、まるで競争馬の心境に近い状態となったのです。

ガシャン!

ゲートが開きました。 とりあえずゲートは1台ずつしか通れないので、まずはたまたま先頭にいた機材車が出発し、続いて照明車、後は… 後は知りません。

この移動開始時、既に日付変更線ギリギリだった我々機材車、照明車は、少しでも早く次の現場へ行こうと飛ばし気味で走っていました。

しかし後方には、遥か続くヘッドライトの列。 さすがに深夜という事もあり、なかなか信号のタイミングもいい様子。 かと言ってこちらも仕事、そんな後方一般車両には目もくれず、大きな交差点を現場方向へ右折、後はバイバイ一般車両の皆々様方、こちとら現場へ後少し…  

その時です、僕が右折の為に出したウィンカーに合わせるように、後方車両の列、全てがウィンカーを出し始めたのです。

その数、実に7台。

機材車の後ろにいる筈の照明車から順に、役者車、プロデューサー車、ロケバス、役者車、役者車、そして最後尾に美トラ。 気が付くと僕の機材車が他の全ての車両を引っ張っていたのです!

僕は、機材車に乗る事によって、この煩わしい“引っ張り”という作業から開放される喜びに、実は浸っていました。 なのに、ロケ期間史上最大のキャラバン移動の先頭にいる事になるなんて…

僕はこの緊急事態に、思わず2004年夏の甲子園決勝のあの名文句を思い出したのです。

「また長〜蛇っ!!」



お願いですから…

チェンジ。
posted by piyota at 03:47| 東京 ????| Comment(4) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月25日

贅沢な悩み

人間(ロケ隊)というのは我がままなもので、悩みが尽きる事を本当に知りません。

11日頃からインをした今回の組は、2時間ものにも関わらず、連日連夜のタク送状態。

まぁ、元々視聴率が取れていた連ドラ作品でもあるから、それなりの予算と、およその勝算が見込めての事なのでしょうけど、それにしても何とカット数の多い事でしょうか。

一日100カットなんて映画の世界じゃ絶対有り得ないけど、ちょこっと無理をすれば、テレビドラマの世界ではやれないこともなく、またそんな毎日だから、例え終了予定時刻が27時半と書かれたスケジュールの日に3時間以上も巻いて、辛うじて24時前に終わったとしても、誰もが口を揃えて「今日は早いね」とか「いつもより早いじゃん」なんて、一般の人からみれば既に時間の感覚神経が麻痺したような会話が日常的になるのは、無理もない事なのかも知れません。

そんな馬車馬のように働くスタッフたちにとって、明るいうちに家に帰れるというのは、まさに奇跡のような出来事。

この日も千葉県の突端までの半出張ロケにも関わらず、当初のスケジュールより巻きに巻いて、夕方のまだ明るい空を見上げての帰京に、本来なら手放しで喜ぶのが当たり前の我々は、事もあろうにこう考えてしまったのです。

こんなに早く帰ったら、かえって高速は渋滞してるんじゃない? もうちょっと遅い方が良かったなぁ…」

そうなんです、時間が遅ければ遅い程、渋滞のイライラやストレスもなくすんなり帰れる事に、既に我々は慣れてしまっていたのです。

本当に人間(ロケ隊)は、我がままな生き物ですよね(笑)
posted by piyota at 23:22| 東京 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月22日

疾走する罪悪感

最近プライベートや通勤等で街を走っていると、否が応にも、ロケ車両が目に飛び込んできます(笑) べ、別に気にしている訳ではないのですが、単色のバンやキャリア付きのワゴン、グリーンナンバーの車両やマイクロバスを見掛ける度に、思わず「あっ、ロケ車…」と振り返ってしまう自分がそこにはいるのです。

そしてそれは、どうやら一般の方々にも同じ事が言えるようで、例えばロケバスで、積み込みの為だけの回送中でも、そのスモークガラスの奥を覗こうとする方々と目が合ってしまったり、「ロケよロケ!」等と直ぐに指をさされたりしてしまうんですね(笑)

これは以前の記事にも書いた事なのですが、そうなってしまった(ロケ車両と見破られる)理由の一つとして、バラエティー番組等での“見切れ”があります。 “見切れ”は時に、裏方であったスタッフや車両を一躍スターダムへと伸し上げ、知らず知らずの内に世間の注目を浴びるようになってしまったのです。

しかし同じロケ関係車両の中でも、色々な意味で、これらロケバスよりも目立ってしまう車がある事を皆さんは御存じでしょうか?

それが通称“白パト”と呼ばれる劇用車両なんですね。

そしてこれは、回送した者でなければ分からない、何とも言えない精神的苦痛を味わう車両とも言えるのです。

それは何故か…

その前に、まず“白パト”とは、どのようなものかと言いますと、外見はまさに白と黒に塗り分けられたK察車両のパトカーそのものであり、屋根の上にはちゃんと作動もする赤色回転灯を装備し、各管轄署のカッティングさえ装飾してしまえば、遠目では恐らく本物と見分けがつかない程よく出来た偽物です(笑)

しかし実際に使用するのは、当然撮影の為だけなので、それ以外の回送中は、あえて地味に撮影車両である事を訴えます。

赤色回転灯はカバー等で隠したり、或いは外したりして対応し、前後のガラスには、[撮影用車両回送中]や[劇用車]等の表示をあえて出す事によって、要らぬ誤解や混乱を避けるよう細心の注意を払っているのです。

にも関わらず、回送中の“白パト”は、まさに注目の的です。

走行中や信号待ちでは、四方八方から痛い程の鋭い視線を受け、笑われたり写真を撮られたりと、その反応は様々。

そして最もその対応に苦しむのが、高速を走行しての移動時。

こちらは制限速度で、ただ穏便に、そして目立たぬよう地味〜に走行しているにも関わらず、追越し車線を飛ばしていた車が、自車を抜かす直前で急ブレーキを掛けて直ぐ後ろにピタリと付けたり、こちらを見るや否や慌ててシートベルトをはめるといった行為を繰り返すのですよ。

これだけなら、どうぞご勝手に! 程度の流した気持ちで、やり過ごせるのですが、これらの反応をした車両たちは、我々が偽物と分かると決まって、逆ギレモードに入るんですね。 まるで「何だよ、偽物じゃんかよ!」と言わんばかりに、煽ったり幅寄せをしたり、ウィンカーも出さずに、至近距離で前に割り込んで来るのです。

こちらはただ普通に走っているだけなのに…

きっと、これらの一般ドライバーたちは、常にやましい気持ちを抱えながら高速を走っているからこそ、そんな慌ただしい運転になるのでしょうね。

でもそんな偽物から、一つだけ忠告があります。

これが本物だったら、あなたたちは間違いなくキップを切られるでしょう。
だって僕らの目から見ても、それらの違反は既にバレバレなのですから。

疾走するこの罪悪感…

夜は更に3割増しです。
posted by piyota at 00:05| 東京 ????| Comment(5) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月20日

改正道路交通法施行におけるロケ隊の明日

ロケ隊にとって、6月1日より施行される改正道路交通法はどのように影響するのでしょうか?

現時点では、テレビ局を含む制作会社各位も、それほど重要視していないこの問題について、少し考えてみたいと思います。

まずこの改正道路交通法とはなんなのか。 これは簡単に言えば、駐車違反の取り締まり方法を根本的に考え直すという事なんですね。 駐車違反がもとで起こる交通渋滞や交通事故を抑止し、良好な駐車秩序を確立する為に、このような改正が行われる結果となったのです。

その改正されるポイントは大きく分けて5つ。

1.《車両の所有者等を対象とした放置違反金制度の導入》

これは放置駐車違反として確認された車両については、運転者が反則金を納付しない場合に、その所有者に対して、その違反金の納付が命ぜられるということ。 つまり車両の持ち主にまで駐車違反の責任を広げることにした訳なんです。 更に6ヶ月以内に違反金納付を繰り返し督促された場合、その車の持ち主は、一定期間車両の使用が制限されます。

2.《都内では12区43署で民間委託》

都内では施行時、千代田、中央、港、新宿、文京、台東、隅田、江東、品川、渋谷、豊島、江戸川区の各警察署において、放置駐車の確認事務が民間に委託されます。

3.《警察官以外に、民間の駐車監視員も放置駐車違反を行う事ができる》

つまり警察は、その膨大な違反車両の取り締まりに限界を感じ、放置車両の確認事務を民間に託すことにした訳です。 そして12区43署では、警察官以外に民間の駐車監視員も巡回し、放置駐車違反の確認をした場合は、その車両に確認標章を取り付けることが出来るようになります。 更に警察署長は、地域住民の意見、要望等を踏まえ、駐車監視員が重点的に活動する場所、時間帯等を定めた“駐車監視員ガイドライン”を策定し、公表することになります。

4.《悪質・危険・迷惑な違反を重点に、短時間放置駐車も取り締まる》

これは短時間の駐車でも、そのような駐車が繰り返し行われれば、安全で円滑な交通が妨げられたり、事故の原因にもなるという理由で、駐車時間の長短に関わらず、放置駐車違反の車両については確認標章を取り付けるというもの。

5.《放置違反金を納付しないと車検が受けられない》

これは違反金を滞納して公安委員会から督促を受けた者は、その反則金を納付、または徴収されたことを証明する書面がないと、車検の手続きを完了出来なくなるというものです。

以上が6月1日から施行される改正道路交通法の概略なのですが、ようは今まで以上に都内でのロケが難しくなるということです。

しかし実際問題として、この件に神経を尖らせているのは、今の所車両会社と一部の制作サイドでしかありません。 その他の持ち込み車両を利用する撮影部、照明部、俳優部、そして個人的に自家用車で現れる一部スタッフにとっては、今までとは何も変化がないのです。 今まで通り、車両部に鍵を渡して、「はい、よろしく。」

これでは、何も解決の糸口は発見出来ません。

もう予算が無いから等と言っている時代ではありません。 予算が無いなら、無駄な車両を減らす工夫をするべきなのです。

ロケはその大半を車両移動によって賄っています。 だからこそ、この問題をもっと重要視しなければならないのです。

我々車両部は、その仕事のほとんどを路上駐車で過ごしています。 それはそのような状況を踏まえた上で、我々のような職種が存在していると理解はしています。 でも自分の身も危うい今後のような状況において、せめて小さい車両くらいは、駐車場に収めて欲しいと思うのです。

それは誰の為でもありません。

車両の所有者自身に降り掛かる大きな問題として、これからは考えなければならないからです。

いずれにせよ、この法律改正には問題点も多々あります。 それはこの法律が、道交法上の全ての車両に適用されるからです。 駐車場に入ることさえ出来ない大型車両から駐車場の確立さえ出来ていない自動二輪に至るまで、更には宅配便から搬入車両全般も、その対象なのです。

迫り来る6月1日。
最初に地獄を見るのは我々か、それとも警察か。

その戦いの火蓋が切って落とされる…
posted by piyota at 01:50| 東京 ????| Comment(6) | TrackBack(0) | ひとり言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月18日

ロケ場所の設定と見えない苦労

ドラマのロケ場所には色々あります。

それは例えば、道路や公園のような屋根の無い、いわゆるオープンのものであったり、ハウススタジオや民家、会社やお店のように実在する物件に簡単な飾り込みをして撮影の出来るようにするロケセット、そして色々な条件を、撮影用に全てクリアー出来る完全な建て込みのセット等です。

それらのロケ地は、まず台本に書かれているものを参考にして探し始める訳ですが、ここからは色々と各パートの思惑や予算等が絡んできたりします。

その中でもオープンロケは、作品においてはかなり重要な役割を果たします。 それはその作品の内容や全体の雰囲気、主人公の仕事や身分に反映されるからですね。

例えば、主人公がトップエリートであったりすると、所属する会社は、オフィス等が林立するような場所。 当然住んでいる所もウォーターフロントや東京タワーが見えるような設定になりやすいですから、そういった地域でロケ場所を探したりします。 逆に庶民的な部分が売りの主人公なら、舞台は絶対下町。 決してその住まいにお台場や汐留を選んだりは出来ないことでしょう。(笑)

ただしオープンロケには数々のデメリットも存在します。 それは天候や時間帯等によって、スケジュールの進行が左右されやすい事です。 これは仕方のない事ですが、雨が降れば撮影が中止になる確率が高いですし、途中で暗くなってしまえば当然カットが繋がらなくなってしまいます。 そうなると、また別日に同じ準備をしなければならなくなりますから、これは意外に頭を悩ませる問題となるのです。

そしてロケセットと建て込みセットの場合、その両者の大きな違いは、まず物件の外観があるかないかで分けられると思います。 多くのロケセットの場合、実在する物件をそのまま使用しますから、後は細かい内装と飾り込みをするだけで済みます。 リアルさを求めるなら、当然生活感のある部分をそのまま活かしますし、逆にそうでなければ、無機質さを演出する為に無駄なものを排除したりします。 またロケセットは、内部と外部を一貫して撮影することが出来ます。 ですから、玄関やベランダ、また屋上といったような外風景と絡んだ芝居を撮影する時に効力を発揮します。 ロケセットは、ハウス系スタジオなら1時間単位で借りる事が出来るので分量のある程度少ない場合や予算があまりない場合にはとても便利な物件となります。

またそれ以外の例えば実際に普段営業されているオフィスやお店を借りる場合においても、放送後のエンドロールに協力テロップ等を載せる事によって、その使用料を破格のものにするいわゆるタイアップを利用する事も可能です。 しかしこのようなロケセットには、色々な条件や制約が付き纏います。 営業日以外限定や営業の前後にしか撮影が出来ないケースがそれで、この条件を守る為に組まれたスケジュールは、稀に待ち時間や空き時間を生み、完全撤収なる時間の壁と常に戦う羽目になってしまうのです。

その点、スタジオや撮影所等に建て込まれたセットはまさに撮影の為の条件を99%満たしてくれます。 準備に時間と予算があれば、架空の空間を常に作り出す事も可能ですし、時間や天候に惑わされる事もありません。 また煩わしい人止めや音止めの必要はなく、外のロケとは違ってトイレやゴミの問題にも神経を磨り減らす事がないのです。

建て込みセットは、およそ室内の部分撮影を得意とします。 時には大掛かりな外シーンをそのセット内に作り込む事もあります。 ですが天侯や煩わしい諸条件をクリアーする反面、その閉ざされた空間に長時間幽閉されるストレスは半端ではありません。 またそういったセットは、いかなる立地であろうと現地集合解散が原則、ロケ弁等は用意されませんから、スタッフはある程度の自己負担を覚悟しなければならないのです。

どのロケ現場においても、撮影におけるデメリットは存在します。 ですが完成した作品からは、その苦労は全く窺い知る事は出来ません。

つまり、どんな苦労も画面には出さない事が、撮影隊の唯一自信を持って誇れる部分ではないかなぁと思います。

あっ、移動も含めてですよ(笑)
posted by piyota at 12:19| 東京 ?J| Comment(4) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月15日

we are TV crew

グーテンモーゲン!(おはよう!)

こんな挨拶で始まる国内ロケが約17日間も続いたあの日… 僕は、まるで生きた心地がしなかったのを今でもハッキリと覚えています。

僕がこの仕事に就いたのは、3年程前。 “制作的な動きが出来るドライバーを”という事で、当時の僕に白羽の矢が立った訳です。

基本的に前もって知らされていた情報としては、ドイツの国営(公営?)テレビ制作のドキュメンタリー番組で、クルーは全て外国人。 さらにその通訳として番組制作とは無縁の現地在住大学教授が来日するという事。 そして後は彼等の指示で日本全国を放浪して来いという、どこかとても不安材料満載の胡散臭い内容だったのです。

その初日。 僕はまず成田空港へ彼等を迎えに行きました。 来日したのは、ドイツ人の監督と撮影助手。 中国人の女性プロデューサーにオランダ人のカメラマン。 そして現地在住の日本人大学教授の計5人。 さらに撮影機材一式に、なんと12メートルのウルトラクレーンが!

しかしこれは、ロケバスにすんなり載り切る訳もなく、いきなり空港で椅子の取り外し作業開始。 その後、都内でクレーン用のオモリ200キロ分を狭い通路に敷き積めて、最初の目的地日光へ向かいました。

車内での会話は全てドイツ語。 時々教授が話し掛けてくれたので、その内容が戦国時代に日本に渡って来た外国人所縁の地を巡るものであるという事は分かったのですが、何やら一人取り残された気分の不安な第一日目のスタートだったのでした。

そして2日目より本格的な撮影となったのですが、ここからの僕の仕事は、まさにただのドライバー職を超越していました。

まずは撮影場所への挨拶をして、カメラ機材を運びます。 知らぬ間に撮影禁止場所へ侵入したクルーに対するお叱りの対処、また偶然居合せた日本国ドラマクルーとの場所の取り合い交渉。 (しかも人よけしたら向こうの俳優だったり(笑))等々。
つまり日本人であり、日本の撮影スタイルを理解しているのも僕だけであった為、いつの間にか全ての交渉、苦情の矛先が僕に向けられるようになってしまったのです。

さらに、その後の宿泊手配や食事場所を探す段取りも、自ずと僕に決定権を委ねる割合が増えていきました。

日光2泊、清水1泊、関1泊、彦根1泊、高野山1泊。

その間にも、徐々にコミュニケーションが取れるようになってきました。 圧巻は、オランダ人カメラマンとドイツ人撮影助手と3人で居酒屋へ飲みに行った事。 勿論向こうも日本語はダメですから、その会話は英語が中心。 それでもダメならノートに絵を書いて理解しあいます(笑)

姫路4泊、京都5泊。

段々慣れてきた僕は、いつの間にかクレーンの組み立てまでこなすようになり、まるでドイツ国営(公営?)テレビの一員と錯覚する位、馴染んでいったのです。

しかし同時に問題は山積み。 姫路では、予定より大掛りな撮影をしてしまいFCさんの頭を悩ませたり、お茶の先生を怒らせたり、また京都では、火薬系スモークマシーン使用で、あわや撮影中止テープ没収寸前まで行ってしまったのです。

その間、人事移動もありました。 撮影が何日か延びた為、唯一の日本人教授が緊急帰国。 そして代わりにやって来たポルトガル人俳優と俳優兼通訳のドイツ人留学生で、ついにクルー内には日本人が僕だけになってしまったのです!

しかも無責任にも、教授は後の日程の先導を僕に全て託して行きました。 ほとんど日本語が通じなくなったというのに(笑)

よってその後のロケ地では常に、先方は僕に全部を聞きに来ます。 さらに帰国の為の機材リスト(カルネ)の申請もやってあげなければならないし、順に帰国するスタッフをバラす段取りもしなければなりません。 しかも最後の最後に京都の撮影所では、現地スタッフにも時間や予算的にも迷惑をかけてしまい、「これ、ずっと1人でやってるんですかぁ?」と同情される始末。

しかし何とか撮影も無事終わり、泉佐野で最後の1泊して、関西国際空港よりカメラマンと撮影助手、そして大きなウルトラクレーンをドイツへ送り返し、最後の残りスタッフを東京のホテルまで送り届けて、この17日間にも及ぶ国内ロケをやり遂げたのでした。

今思えば、とてもいい経験になったと思います。 そりゃ何度も現場でキレましたし(笑)、言葉の壁にもブチ当たりました。 ですが、これは多分本当に僕でなければ出来ない仕事だったのかもしれません。 まぁ、色んな意味でですけどね…

2日後、成田より最後のスタッフが帰国しました。 僕は残った200キロ余りのクレーンのオモリを返却して完全にオールオーバー。

荷物を降ろした後のロケバスは、とてもガランとしており、それは、ただ椅子を外した見た目だけではない、まるで嵐の後のような静けさのようで、何だかちょっと感傷に浸った気分になったのでした。

ビス モルゲン! (また明日!)

ですが…

もう二度と、お目に掛る事はないのでしょうね。
posted by piyota at 15:50| 東京 ????| Comment(17) | TrackBack(0) | ひとり言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月13日

キャラを忘れるべからず

先日より、旧連ドラのスペシャル版に参加する事になったのですが、この作品は、元々連続ドラマであったものが、好視聴率につき、2時間ものとして蘇ったもの。

このようにテレビドラマというものは、視聴率が取れるものに関して言えば、続編やパート2、またはスペシャル版として、永遠に引きずって行く事になるんですね(笑)

しかし内容を新たにしても、強烈な新キャラが出たとしても、そのドラマの展開自体は基本的に何も変わらない、いえ、変わってはいけないという、ある意味ダラダラとした状況の中で、これらスタッフは作り続けなければならないのです。

ですがこの作品の主役の俳優さんは、その意気込みからして、そんなスタッフたちとは全然違いました。 それは、その役になりきる為の研究や勉強に、労力を惜しまない人だったからです。

そもそもこの作品の主人公というのは、表と裏があり、普通人としての表の顔、そしてダーティーヒーローとしての裏の顔を持った、いわゆる一人二役をこなさなければならない難しい役どころだった訳ですが、それを演じるにあたり、この俳優さんは、昔の色々なドラマや他の役者の芝居を見て、自分が演じる強烈なキャラ作りの参考にしたらしいのです。

その甲斐もあって、シリーズ1作目は大好評。 直ぐにシリーズ2作目が作られ、さらに2時間スペシャル、そして約1年後のこの時期に、再び2時間スペシャルの話が持ち上がった訳なんです。

ですが、この俳優さんは、この間にも色々なドラマ等に出演。 そして沢山のキャラを演じているうちに、どうやらこの1年で、こっちのキャラをすっかり忘れてしまったらしいのです(笑)

これは、演じる俳優さん達にしてみれば、当然避けて通れないありがちな話。

それもその筈、毎度新しいドラマに出る度に、全くの別人を演じなければならないのですからね。

しかしこの俳優さんにとって、これだけ続くシリーズキャラも珍しいようです。

つまり、この俳優さんと言えば、このキャラでしょう! と言っても過言ではない位、灰汁の強い今回の役どころだった訳なんです。

そしてイン初日。 第一現場に現れたその俳優さんは、もう既に強烈なキャラでした。

聞くところによると、前日までに自分が主演した過去のスペシャル版を、改めて全て見てきたのだそうです。

なんたるやプロ意識。 そしてなんたるやその思い入れ。

そのお陰で、無事、1年前のテンションを維持し続ける事に成功したのです。

「おお、それ、それ、懐かしい!」

「やっぱり、そうじゃなきゃ!!」

多分…

…きっと



そうに違いない。

だって僕は、全シリーズを通して、未だにこのドラマを見た事がないのですから。
posted by piyota at 03:48| 東京 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月12日

死ぬまで追跡

何日か前に連ドラのロケで、群馬県の山奥にあるリゾートホテルに劇用車で行った時の事。

ここは霧のメッカで、特に朝晩は、例えナビを常備した車両部でさえも、道を間違えてしまう(実話)ような辺境の地。

東京から高速で約1時間半、高速を下りてから一般道、有料道を併用してもさらに1時間以上も掛るというこの場所へ着いたのが午前8時過ぎ。

本隊は前日のロケ終わりで既に現地入りしており、この日の朝、都内を出発してきたのが、僕を含む劇用車両5台と当日入り用スタッフ車が1台。

その劇用車も午前中の出番が終わり、昼食も済ましたところで、次の夕方までの出番待ちを優雅なシエスタで過ごそうと、駐車場の車の中でウトウトとしていたところ、何やら賑やかな女性たちの声が聞こえてきたのです。

僕は少し寝惚けていました。 さらに椅子を深く倒していた為、その様子を伺い知ることすら出来ませんでしたが、どうやらその声に混じって、我等車両部の同僚の声まで聞こえてきたのです。

その会話の内容を断片的に聞いていた僕は、その単語のやりとりから、同僚と話をしている女性たちの身辺にまず疑問を覚えました。

それは明らかに業界に精通しているものの会話だったからです。

例えば我が社の名称、社長の愛称、ドライバーの名前、“美トラ”“マイクロ”等の業界短縮語を話し、さらには、ウチの会社で事務をやりたいだの、東京帰るなら、ついでに劇用車乗って帰ろうかだの、それはまさに、以前からウチの会社の事を知っているかのような内容だったのですね。

そして彼女らは、この日僕が、生まれて初めて現場にPSPを持参した事も知っていたのです!

「あそこで寝ている人がPSPやってる人でしょ?」

果たして彼女たちは一体何者なのでしょうか? そしてどんな情報網の持ち主なのでしょうか?

さらに会話は昼飯前の段階へ遡り、恐らく僕が、暑さのあまり劇用車のトランクで仮眠した話題となり、

「フタ閉めちゃえば良かったじゃん(笑)」

な、何を〜(`ε´)! そんなお前らは、一体何者なんだ! 昔からウチを知ってる元プロデューサーか? それとも役者のマネージャーなのか?

いずれにせよ、その口調は、我が社や僕に対して、かなり上から、上から目線である事には違いない。 しかもオール年下の同僚が、全員その僕に対する態度を容認する程の人材である。

が、しかし…

僕は気付いてしまいました。 彼女たちが、一体どういった立場の人達かを。

夕方。 僕等の出番を待たずして、彼女たち4人は、東京ナンバーのレンタカーに便乗して、現場を後にしました。

お目当ての主役に会えないまま…

それは遠路遥々、群馬の山奥までやって来た“おっかけ”の方々だったのです。

気を付けて下さいね、帰り道は。

そして…

今度僕に会う時も…
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2006年05月09日

誰だお前は 2

ロケ隊の集合場所は、主に新宿か渋谷です。 それ以外にも撮影所やスタジオ、都内近郊の大きな駅前もありますが、大抵はここ新宿か渋谷なのです。

では何故、主な集合場所が2ヶ所あるのでしょうか? またそれらはどのように分けられるのでしょうか?

これはまず、新宿か渋谷なら早朝からの電車の便もよく、乗り入れている鉄道各社の数も多いという事が一番にあげられます。 それから集合する車両も多い為、それらが止めやすい場所が近くにあるというのも条件の一つにあげられると思います。

そして新宿か渋谷という部分ですが、これは各組その日の最初のロケ場所に関係しており、それはどちらから出発した方が早く着くかという安易さでほぼ決められています。

これは出発する時間によっても多少変わりますが、およそ新宿なら東京都北西部方面と高速自動車道、中央、関越方面。 渋谷なら東京都東南部方面、高速自動車道、東名方面、そして横浜方面と考えれば、大体間違いはないでしょう。

さて集合場所といえば、毎日早朝から何組もの撮影隊が無差別にやってくる訳ですが、そのロケバスの台数が多い時で一場所十数台。 当然各組各々のスタッフが随時集合し、集合場所は自分のバスを探す迷子達で一時的に大混乱となります。

それもその筈、これらのスタッフにとって、集合場所に散在するロケバスは、皆同じに見えてしまうからです。

それは車両会社が違ってもロケバスのカラーリングは基本的に市販されているものを使用している為です。 勿論バスの側面には車両会社の社名を入れているのですが、これらのスタッフにとって車両会社名なんてものは、当然興味の範疇外。

捕われた宇宙人のように日々、制作部が誘導するバスへと乗り込む日常を繰り返しているのです。

よって当然、毎日のように迷える子羊達がバスの扉を開けてしまいます。

そして、このようにして間違えて別のバスの扉を開けてしまうスタッフのほとんどか、まるで夢遊病者のように死んだ目をした、失礼なやつらなのです。

もし迷っているのなら…

「おはようございます。 こちらは○○組の(もしくは番組名)バスでしょうか?」

「すいません、間違えました」

これが、正しい礼儀です。

ですが、ほとんどのスタッフが、まずいきなり扉を開け、バスの中を見回します。 (この時運転手に挨拶をするどころか目も合わせません)。 さらに自分の記憶していた内装と積荷じゃなければ、そのまま扉をバンッと閉めて、立ち去ってしまうのです。 この間一言もありません。 こちらとしても見たこともないスタッフに対しては怒る事はしませんが、何故に一言、ドライバーに声を掛けられないのでしょうか。 これらは特に女性スタッフに多い例です。

神経を疑いますよ、本当に。

きっとこれらの事柄はロケバスドライバーなら一度は経験あるのではないでしょうか?

「誰だお前は!」

僕はあの鬼監督の口癖が、今ちょっとだけ理解出来たような気がしています(笑)
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2006年05月08日

ドラマ内のスチールロケ

ドラマや映画のロケ中には、ムービーを撮る以外にも、スチールロケというものがあります。

これはいわゆる劇用写真と呼ばれるもので、撮影中の色々な場面に使用される事がメインとなりますから、主に日程上の前半もしくは本編のクランクインより前にそのロケが行われる事になります。

さてスチールというのは、そもそも何かと言いますと、主にテレビ雑誌や番組宣伝用の写真を撮影する職種であり、その仕事の多くは、主役や主なメインキャストを中心とした緊迫の場面を、テレビ画面と同ポジション(同ポジ)にて再現した写真を撮る事にあります。

そしてもう一つの重要な仕事。 それが劇用写真を撮影する事なんですね。

それは事件もののドラマ等の場合において、例えばK察の捜査本部のホワイトボードに貼られている事件の容疑者や被害者、またはそれ以外の関係者の顔写真、さらには事件現場の鑑識写真。 凶器や遺留品の写真等も、スチールが前もって撮影した写真を使います。 また探偵物ドラマでは浮気や密会の証拠写真、その他のドラマでは主人公の家にある家族写真に思い出写真、結婚式の写真や劇中ポスターに使われている写真等も、これらのスチールロケで撮影されたものを使用する訳です。

つまりこの写真の存在がなければ、過去も歴史もない事になり、物語全体の奥行きがなくなってしまい、その印画紙同様薄っぺらなものになり兼ねない、とても重要なものとなるのです。

そしてこの写真の演出を担当するのが、主にサード助監督。 この写真に関係する美術チーム(小物や血糊)や、衣裳やメイク部等を率いて、クランクイン前やスケジュール前半の支障のない時期に、役者のスケジュール調整をして、撮影をする事になります。

今回のドラマの場合、そのスチールロケは、クランクインしてから毎日のように、その日のスケジュールの一番最後に組み込まれていました。

という事は、ドラマ部分のロケ終了後に行われる訳ですから、ここで次へ行くスチール関係スタッフと、ここで終わる映像関係スタッフに分かれなければなりません。

この日の最終ロケ地は六本木。

この後スチール隊は、役者2 カメラマン1 演出2 衣裳メイク各々1 制作3 それに小物類と役者が着る衣裳と、まるで本隊並みの大所帯となりましたが、本来ならこれだけの人数と分量なら、ロケバスを使用するのですが、それはやはり本隊とは別のスチールロケという事で、ここから先へは、制作部の車両3台に分乗し、ロケバスはそれ以外の撮影、照明、演出、記録等のメインスタッフのバラシをするよう言い渡されたのです。

バラシ場所は渋谷。

ですがこの日は少し雨も降っており、最終ロケ地である六本木のロケセットのバラシは段取りも悪く、中々散開出来ませんでした。

やがて荷物や人でギュウギュウの制作車両3台が、スチールロケへ出発しました。

僕はいざ渋谷バラシの映像スタッフを引率する為、急ぎ足てロケバスへと戻った、のですが…

なんと、人っこ一人乗っていません。

ロケセットのバラシも既に終了し、この場に残っているのは、もはや僕と制作進行のみ。

そういえば六本木駅まで徒歩2分。 せっかちなスタッフは皆、何も言わずに適当に解散したみたいなんです。

片やギュウギュウ詰の乗用車3台スチールロケ。 片や誰も乗っていない現場バレのロケバス。 これなら本当にロケバスで行った方が効率良かったのではないか? もしかしたら今から行けばスチールロケに間に合うかもしれない。



よし、気付かれないうちに早く帰ろう…

僕は雨の六本木を足早に後にしたのでした。
posted by piyota at 10:05| 東京 ??| Comment(0) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月06日

もはや足元にも及ばない

その昔、僕がまだ小学生だった頃、当時より天才子役と謳われた4つ年上の女優さんがいました。

そして月日が流れ、僕は中学生から高校生、そして映像系専門学校から、技術会社、出版社を経て、およそ10年前より、現在の車両会社へと勤務するようになりました。

技術会社時代、出版社時代共に、車両会社を介さず自分達で運転してロケへ行くシステムだったのですが、ロケは毎日ではありませんでしたから、それほど道に詳しかった訳でもありません。 言ってみれば、車両会社に入ってからの10年分の知識しか無い訳なんです。

ここで先程の女優さんの話題。

その女優さんは、その後も女優として芸能界を渡り歩いていました。 世間の冷たい風を浴びながら、僅か一桁の頃からデビューして、現在までのおよそ三十ウン数年もの間、この業界を生き続けていた訳ですね。 その間も、色々とワイドショーに話題を提供したり、暴言を連発したりと、その個性を遺憾無く発したのでありますが、それは本件の内容とは全く関係はありません(笑)

つまり僕なんかが車両部として業界に入る10年以上も前から、自らが運転した自家用車で、撮影現場を回っていたらしいのです。

ほとんどのロケの現場移動の場合、役者関係の車は、例えマネージャーが運転していたとしても、本隊ロケバスで引っ張って行くというのが日常です。 一応事務所にはロケ地図というのを渡してはいるのですが、やはりロケバスに付いて行くのが、安心かつ無難というのが、粗方の判断です。

ですが、この女優さんは、自分で運転をしているにも関わらず、まずバスには付いて来ません。 大体の行き方を説明すると、「多分大丈夫、行けると思う」と、一人で先に行ってしまうのです。 しかも驚く事に、その自家用車にはナビゲーションシステム等は一切付いておらず、ただ助手席に東京都の地図が無造作に置いてあるだけなのです。

便利になった昨今、一部の車両部ですら、ナビを便りにしなければならない頼りなさの中、この女優さんは、現場移動ギリギリまで自分の出番をこなしているにも関わらず、自分で地図の道を調べて出発するのです。

これはきっと、多くの経験によるもので、ロケ隊やその他スタッフの負担を少しでも軽くしようという意思があってのものだと思うのですね。

そしてこの日、祝日の東京は青山で、およそ15時間にも及ぶロケを敢行。

この間、ロケバスを含む、その他のスタッフ車、役者関係車は、駐車場料金が予算的に払えないという理由から、近くの大通りへオール路上駐車。 その責任を全て車両部へ被せたのです。

するとこの女優さん、それを見越してくれたのか、この日はタクシーにて現場入り。 我々ドライバーや制作サイドの負担をあくまで考慮した形を貫いたのです。

そこへ、コーヒーを片手にしたカメラマンがやってきました。

さらにポケットから自分の車の鍵を取り出すと、「大通りに止まっているから、宜しく」と言い放ちました。

渋谷発のロケバスがあり、現場に直接入るにしても、渋谷駅から僅か徒歩10分程度のロケ現場。

しかも、駐車場料金が丸一日止めて9000円台のこの繁華街に、悪びれる事もなく自家用車で現れたカメラマン。

こうなれば9000円をケチって、後は宜しくロケバスさん。 これは当然の結果なのです。

しかし結局、あまりにも膨らみ過ぎた路上駐車を収拾出来ず、カメラマンの車を含む数台を新宿の技術会社の駐車場まで回送する事になりました。

回送するスタッフの負担を考えれば、これらの行為がいかに無駄であり、尚且つ作品の進行に支障を来たすのか…

同じベテランでも、ロケ環境への配慮に関しては、この女優さんとはもはや比べ物にはならない程の、一部スタッフの頭の悪さ。

予算が足りないのは自分たちのせいだと早く気付かなければ、これらの女優さんたちに対して失礼だと、僕は思います。

そしてこの女優さんこそ、本当の意味でのプロフェッショナルであると、つくづく痛感したのでした。
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2006年05月04日

HERO DAY

今日はまさにHIRO DAY。

僕のヒーローでもある、あのカースタントマンの独壇場です。

この日は通常ロケの合間をぬってのカースタントシーンのみの撮影。 まぁ俳優無し、照明部無しのロケですから、ほとんど実景みたいなもなんですね。

このシーンはまず、数日前に俳優の芝居部分だけをカメラカー等を使って撮影しておき、アクション部分であるカースタントシーンは、吹き替えを交えながら後日追加撮影を行うというものでした。

台本上は、俳優の乗った車が謎の車両に追い掛けられ、街中を逃げ回っているというものなんですが、勿論俳優が演じるには危険過ぎるのと、やはりプロが操作した車の方が当然見栄えがしますから、このような分け方がされるんですね。

ただ最近のテレビドラマ等では、それほどアクションシーンだけの日程を組めるようなスケジュールはなく、通常のロケの中にちょっとだけ時間を割く程度。

ですが今回の監督のこだわりで(2時間ドラマでもこれだけのアクションが出来るぞ!)、このようなスケジュールが組まれる事となったのです。

そこでそんな大事なアクションを実演するべき現れたのが、我が心のヒーロー様だった訳です。

この日のロケ現場は、都内にある現役の工場内。 工場の敷地と言っても、その建物の間を縫う数本の道路には、ちゃんとセンターラインや道路標識等もあり、言ってみれば貸し切りの街一個分(笑)

しかも工場が休みの日を利用しているので、車止めや人止め等の煩わしい作業がほぼ皆無ですから、まさにスタントシーンのやり放題。

ですから通常、街中で行うこじんまりとしたアクションとは違って、それらはより一層大胆に行う事が出来るのです。

そしてこれを一番喜んでいたのは、監督よりもむしろ、僕のヒーロー様でした。(笑)

何しろ、制限も少ない場所で、いつものような待ち時間もなく、一日中皆が注目しているのですから、まさにワンマンショー状態。

この日預けられた初めて乗る劇用車も、ちょっと試乗しただけで、もう手足のように操り、いつでも本番を迎えられる体制にするところは、まさにプロ中のプロというところでしょう。

この日のスタントは、逃げ惑う車のドリフト・ドリフト・ドリフト! そして飛び出した車を間一髪ですり抜けるアクション。 そしてバックから体勢を変えるバックスピン等、ありとあらゆるテクニックが披露されます。

普通こういったスタントシーンでは、安全確認の為、入念なリハーサルが行われるのですが、僕のヒーロー様は、いつも「いきなり本番でいいですよ〜」なんです。

しかも前述している通り、このようなスタントを自らが一番楽しみにしているような人ですから、羽目を外さない筈がありません。

「本番!!」

監督の声と同時に、いきなりトップスピードに達した劇用車は、カーブで待ち構えるカメラ前を、タイヤを鳴らしながらドリフトしていきます。

キュルキュルキュルキュル!!

見事なテールスライド。 そして二つ目の交差点も、同じ様なドリフトで駆け抜けて行きます。

キュルキュルキュルキュル!!

「よし、カァァァァットォォォー!」

劇用車が交差点を曲がりきった時点でカットです。 ベースサイドでは、今のシーンがOKかどうかチェック作業に入ります。 チェックが終われば、次のシーンのセッティングに入る… 訳ですが…

キュルキュルキュルキュル!

「あれ?」

キュルキュルキュルキュル!

どうやら僕のヒーロー様は、勢いが付きすぎて構内を走り回っているようです。

現場では緊迫したシーンにも関わらず、思わず笑いがおきてしまいました。

「おいおい、もうカメラ回ってないよぉ…」

キュルキュルキュルキュル!

キュルキュルキュルキュル!

どうやら車は回り続けているようです。(笑)

僕の師匠…

さすがです(泣)
posted by piyota at 20:43| 東京 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月02日

知らぬは他のスタッフばかり

今回ロケバスとして参加している2時間ドラマは、制作している制作会社が僕にとっては人生3度目のところなんですが、そのスタッフのほとんどに面識がありません。

これは制作会社や、担当する制作部によって、およそのスタッフに偏りがある為で、今回も前回もその前の時も、僕がこの制作会社と仕事をする事になったのも、その作品の監督とは面識があったからだと思われるのです。

つまり制作会社やそのプロデューサーには、予算的にも色々な融通の効く、いわゆるやり易いスタッフや会社が持ち駒としてある訳ですが、大抵はそれらの会社との仕事を継続して行うようになっているのですね。

制作会社は、まず作品を作る上で監督を決めなければなりません。 これが連続したシリーズものであれば、同監督が続投する事も考えられますが、新規作品、または新シリーズを立ち上げようとする場合、その第一段目として、まずは作品を監督する人物を選択しなければなりません。

その監督が候補となる事由としては、今までの監督作品の実績やその評判等があげられる訳ですが、それはやはり視聴率を取れる作品が作れる、というのがやはり大前提になりますよね。

ですが中には例外として、たまたま助監督の時代にプロデューサーが一緒に仕事をしていたりすると、「じゃあ次はお願いします」みたいになる場合も無きにしも非ずなんです。

そして今回の場合、抜擢された監督が、僕が所属している会社とは、チーフ助監督時代を含めて10年来の間柄。 という事で、恐らく監督が制作会社に我が社をプッシュしてくれたのではないかなぁと思うのですね(勝手な推測です(笑))

ですから監督以外は皆、制作会社の持ち駒。 スタッフにとっても、我が社はいつもと違う車両会社という事になる訳です。

さて現場において監督とは絶大なるものです。 全ては監督中心であると言っても過言ではありません。

ですから、この監督がイライラして吠え出すと、現場では一瞬ピリリとしたムードが漂うのです。何故ならそれは、この監督と初めて仕事をするほとんどのスタッフにとって、その鬼のような姿こそが、常であるとされるからです。

ですが、僕は知っています。 この監督の本当の姿を。

だってそれは、あの鬼のような発言や罵声で知られる“名物監督”のチーフ助監督を10年近くこなしてきた人なのですから。

ありとあらゆる鬼監督の無理難題を経験し、あの罵声や急なロケ地変更にも対応し、途中で現場から帰ってしまった事数知れず… カット割りをしない、ロケハンにも来ない… その他の監督が聞いて呆れるような監督の行動を10年も制していた人が今回の監督。

つまり、対スタッフのコントロールにかけては、人並み外れた知恵を持っているのですよ。

それを知っているのは、今回は恐らく助監督等を含めても僕だけかもしれません。 また僕しかそれを知らないというのも監督は知っているのかもしれません。

だからこんな時も…

現場にダラダラとした空気が流れ始めた、数日前のこと。 監督の一際大きな声が聞こえてきました。

「ほら、キビキビ動け! さもないと怪我するぞ!!」
「おい助監督! お前らは直ぐ反応しろ! 一分一秒をを無駄にするなぁ!!」

現場には当然緊張感が走ります。 弥が上にも反応せざるを得ません。 そしてたちまち現場はピリリと引き締まったのです。

ですが次の瞬間、僕と目があった監督は、皆には見えないように、照れくさそうに舌を出しました。

ブラフ… (はったり・こけおどし)

この一派には、これがあるのです。

「あの車両会社じゃないと、監督しないぞ!!」

そう言われてもちょっと恥ずかしいけど…(笑)
posted by piyota at 00:08| 東京 ????| Comment(5) | TrackBack(0) | ロケ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする