ロケ隊の多くは、毎朝、新宿や渋谷に集合します。 日によって多少の違いはありますが、新宿、渋谷とも、大体10組程のロケ隊が、随時集合し、そして各現場へと出発していくのです。
簡単に10組と申しますが、各組にはロケバスの他に、メインスタッフ車や、制作車、キャスト車、美術車、照明車、機材車、メイク車などが存在し、さらにはメイク先発車やキャスト後発車、劇用車や役者の車といったイレギュラーな車両までが、少ない路上スペースに、毎日大量に入り乱れているといった次第です。
出発時間は、時間差がありますが、5時台から9時台まで、大体15分刻み。 そして我々ロケバスドライバーは、そんな中、スタッフの集合時間の約30分前に、その場所へ呼ばれるという段取りになるのです。
我々の仕事は、基本的にはスタッフや役者の送迎、荷物の搬送です。 ですから、乗り降りや積み下ろしのしやすい場所を確保したいと思うのが人情です。(最近はそうでもないけど…) しかし現実は、早朝何時に行こうとも、その場所への駐車が容易ではありません。 そう、必ず誰かが陣取っているからなのです。 例え午前5時や4時、はたまた3時に行ったとしても… そうです、なんと前の日の現場が遅すぎて、そのまま帰らないロケバスが、そこには存在してたりするのです! これにはいくら早起きの僕でも敵いません。 一番遠い場所にとりあえず仮止めをして、15分置きに出発していくロケ隊のいたスペースを、規則正しくスライドして前進していく、そして集合場所の中心へと、より近づいていく、というロケバス業界の暗黙の了解(笑)に従うしかないのです。 ですが、毎日こううまく行くとは限りません。 中には、集合が8時台なのに5時から来ていたり、集合場所でメイクをする為、早くからいい場所を確保していたり、といったような、自分勝手!? な車両も実際にはある訳なんです。
しかし、この業界を長年やっていると、新宿、渋谷とも、流れがあるというのに気付きます。 例えば、夏と冬。 日の短い冬は、集合出発時間が早くなります。 それは、太陽が沈まないうちにデイシーンを撮りきりたいという組があるため。 逆に夏は、ナイター待ちを嫌う組が、出発を遅らせるといったように、天気や祝祭日、連休や、集中工事情報などによって、集合出発が左右されるといったようなことです。
これら全てを踏まえ、最近編み出した集合方法(もうみんなやってるけど) …それは、出発した組狙いの横入りです。 偶然を装い、15分単位で出て行く組を狙い、その数分前に、横へ付けるという大技です。 これが決まると一日が幸せです。 運転にも身が入ります。 タイミングを間違え、同じ所を何周もするような恥ずかしい目には遭いたくありません。 また、何回も同じドライバーと目が会うのも、正直プライドが傷つきます。
ああ、一日も早く、このロケバスドライバーの嘆きが、みんなにも分かってもらえますように。 誰かが集合場所を変えてくれますように。 我々は願わずにはいられないのです。






そう、この上司はワタクシに勝ちたいが為に寝ずに集合場所に来ていたらしいのです。 集合時間2時間前。 その日の上司は現場中睡魔に勝てなかったようです。 もう早起きするコツ忘れちゃった。