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2007年06月13日

ロケ隊心理学入門(集合&移動)篇

●集合場所の前を歩いて行く朝帰りツアー客やクラブ帰りの若者たちは、正直羨ましい。

●金があったら、窮屈なロケバスより現地集合の方が気が楽だ。

●集合場所にいると自分の組より他の組の方が楽しそうに見える。

●「久しぶり!」と声を掛けられても、ホントは誰だか分からない。

●「申し訳ないけど制作車で移動して下さい」と言われると、どこかでホッとしている自分がいる。

●顔を合わせたくないスタッフに限って鼻が利く。

●「今度一緒に仕事をしようよ」という集合場所での挨拶は、全く当てにならない。

●50を過ぎた先輩が、路上喫煙禁止で怒られているのを見ると、目標を失いかねない。

●7時15分出発は同情心のカケラもないと思う。

●未だにスタッフ表を見ながら自分の名前を呼ぶ制作の気持ちを思うと、複雑だ。

●ポパイの唐揚げセットの指名権が未だにない。

●毎日ロケバスに乗っているのに、置いて行かれる理由がよく分からない。

●補助席という響きになんの抵抗も感じないのは大人の証拠。

●たまたま隣りに座った若手俳優(女優)は、マネージャーがいなくてはじめて価値がある。

●「トイレに寄って下さい」とは、口が避けても言えない。

●実は行き先を知らない。

●“撮入祝”と書かれた熨斗袋は、重荷と思われても仕方がない。

●睡眠不足の時は、「そんなに飛ばすなバカヤロー!」とロケバスドライバーに言いたい。

●窓際の席に座っても、本当は一度も景色なんか見たことがない。

●ある意味、ドライバーに命を預けてしまいたい時がある。

●ロケ現場は、「実際どこでもいいじゃん」と思う気持ちは否めない。

●時間前に着くと何故か妬ましい。

●ロケバスを降りる順番って、きっと年齢順かもしれない。

●ロケ現場がどんな土地柄であろうとも、そんなに興味はない。 逆に知らない方が、好き勝手に何でもできるというのが、代々受け継がれた伝統だ。



そして…

●ロケバスはいつも現場から逃げたがる。


「当たり」です。
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2007年05月17日

ファンサービス

街中での撮影は、常に一般の方々の協力によって成り立っています。

まぁ見学者の中には、冷やかしまやかしをする方々も少なからず存在していますが、我々ロケ隊が日夜こうして一般の生活圏にお邪魔している以上は、これら全てをも含めて、常に良い関係を保ち続けなくてはならない訳です。

言うなれば、一般の方々による見学は当然自由でなければならず、また何か規制をするのであれば、正当な回答をもって対応するのが筋であると思うのです。

よく現場では、このような言葉を耳にします。

「写真は撮らないで下さい!」

「カメラ付き携帯等での撮影は御遠慮下さい!!」

中にはカメラと俳優の間にスタッフが割って入り両手をかざして、その視界を遮ろうとします。

確かに撮られる俳優側にとってみれば、そのような行為は、演技上の集中力を欠くものであるかもしれませんし、勿論フラッシュやシャッター音等に関しては、収録に差し支えるものであるかも知れません。

ですが、その辺は相手が素人も素人。 こちら側としても、なんとか大人の対応で接しなくてはなりません。

ところで何故撮影してはダメなのでしょうか。 これは見学並びに撮影する側の素朴な疑問です。

僕ら人止め車止めを手伝う下っ端としては、アシスタントプロデューサーやマネージャーが率先して行う行為を真似てしているだけです。 実のところ本当の理由を知っている訳ではありません。

先日も写真を撮ろうとしていた一般の方々に対して、制作パートの1人が「写真はダメですよ。 俳優は商品ですから、撮影すると料金が発生してしまいますよ」と言っておりました。 また「著作権が…」や「まだオンエアー前の作品ですから…」等等、曖昧な理由をつけては、断り続けているのです。

そんな風潮の中、この度の地方ロケに来ていた主役の気品漂うベテランの女優さんは、全くと言っていい程、そういった行為に対して友好的でありました。 本来制止する筈のマネージャーさんも、その辺にはあまり干渉せず、本人の人柄に任せているようにも見えました。

気軽にツーショット写真を撮られ、気軽に握手をし、気軽にその辺のお婆ちゃん達と会話もしていました。

あーなんと清々しい気分でしょう。 これが本当のファンサービスというものなのですね。

写真を嫌がる俳優や、そういったサービスをしたがらない(様々な理由はあるとは思いますが)役者(タレント)、そしてそういった一般の方々を無下に扱うロケ隊のスタッフは、恐らく自分が解き放つ空気と同じ対応を一般の方々に返されているのではないでしょうか。

もしかしたら、我々の対応一つで、そんなに嫌なものではなくなるかもしれません。
posted by piyota at 08:03| 東京 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月01日

車両部の範疇

車両部とは一体何のプロであるべきなのでしょうか。

そんな疑問が頭を過ぎったのは、とある連ドラの美術別トラを担当した時のこと。

おいおい、何を今更そんな事を? …と、自分でも笑ってしまうような素朴な疑問なのですが、例えばそれが技術パートである場合、自分達が扱う機材の管理や操作のプロであり、美術パートであれば、ロケセットの飾りや小道具等の用意、製作のプロであり、演出パートであれば、出演する役者、その他登場人物等の演技指導やスケジュール管理のプロであり、制作パートであれば、現場の円滑な進行、各パートへのフォローのプロであるというそれぞれの解釈の中で、では車両パートとは皆にとって何のプロであるべきなのか。

車両部といえば現在、集合場所から現場へ、現場から現場へとそれら各プロ集団の移動をしたり、各パートのプログッズの運搬を素早く円滑に送り届けることを以ってプロとされています。 ですが中にはその各パートのプロとしての責任以上に大変な責任を背負わさる部分も多いのですね。

それは勿論搭乗人物の生命であり、積載した荷物の補償となる訳ですが、これらはつまり、いかなるパートの責任の所在であっても、我々の車両に乗った(載った)時点で、全てが車両パートに預けた形となります。

つまり管理している物品や人物が各パートであっても、車両に載ったそこから先は、車両パートに全ての責任が転嫁されるということになるのです。

この日僕は、美術別トラとして、この仕事を担当する助監督と共に絵画のピックアップの為、画家のもとへ訪れました。 そこで後に個展にも出品するという作品を数十点お借りしたのです。 まぁ助監督にしてみれば借りる責任は自分にあっても、積載に関してはドライバー任せというのは当然のこと、僕は大事にそれらの作品を一点一点毛布等に包み、一路美術パートが待ち受ける撮影所へとそれらを運んで行ったのです。

撮影所で待ち受けた美術は、借りた責任が助監督にあり、運んだ責任が車両パートにあるという意識からか、それらの作品を降りだした雨に濡らしたり、その他の装飾品と共に無理に積載しようとしていました。 また、撮影となった現場への搬入、飾りに至ってもこれと同様の扱いをしていたのです。 これでは僕らとしても、大事に運んだ意味が無いように思えてなりません。

実際、撮影で使うそういった借り物を扱うのは美術パート等の現場の仕事なのですが、これら借り物を返却に行き、最終的にそれらの絵画を直接画家に手渡すのは我々車両部の仕事なのです。

そこでもし傷が見つかったとしたならば、その怒りの矛先はきっと積載した(取りに来た者)者へと、その画家は判断せざるを得ない状況となる筈です。 

何を隠そう「くれぐれも宜しくお願いしますね」と言われるのは、使用者ではなく我々積載者なのですから。

車両部とは、一体何のプロであるべきなのでしょうか。

僕は今現在も模索中です。
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2007年04月24日

VIP待遇の必要性

地方ロケにおいては、いわゆる撮影される側である各ロケ地にとっても、色々な意味でロケ隊を歓迎しなければならない環境(ムード?)にあります。

それはやはり、雑誌や観光パンフレット等の紙媒体に比べて、映画やテレビ等の映像媒体による宣伝の方が、全国的にみても、格段に地元への集客効果があるからなんです。

そのような事情も含め市や町では、今や役場の観光課がフィルムコミッション等に力を入れ、より一層ロケのしやすい環境を我々に提供してくれ、宿泊場所や協力していただく各ロケセットにいたっても、万全の用意を持って迎え入れてくれるようになっているのです。

しかし実際のところ、ロケ隊(放送する側)にしてみれば、それらの地方ロケは、自分たちにとっても視聴率が稼げる有り難いものであり、そういった意味では、このような地方ロケは持ちつ持たれつのお互い様で成り立っており、どちらか一方が良い待遇を受けるべきものではないと思ったりもするのです。

そんな訳で先日もとある地方へ3泊4日のロケハンへ出向いたのですが、実際にも撮影でお邪魔させていただく宿での宿泊となったメインスタッフに、思いも寄らぬVIPな待遇が待ち受けていたのです。

食事(夕食)は勿論超豪華。 ○○牛や甲殻類といった見栄えも味も最高級な食材が所狭しと並べられ、地元でもなかなか手に入らないと言われる幻の地酒が女将さんより差入れられました。

ただでさえ恐縮してしまうような厚待遇にも関わらず、なんと監督やカメラマンには、更にロイヤルスイートの部屋が特別に用意されていたのです。

ロイヤルスイートもロイヤルスイート、読んで字の如く…

なんとカメラマンが泊まったその部屋は、いつぞやの天皇陛下様がお泊まりになった部屋なのでありました!

しかも料金は… 料金は… (厚待遇に付き秘密)

こりゃ、いくらなんでもやり過ぎじゃありませんか。 そんなにしていただかなくても、ちゃんと撮影するというのに…

勿体ない気がしてならない皆様の厚待遇。

スタッフは皆、今回の監督やカメラマン以外のその他スタッフみたいに、ユニットバスのシングルルームでも十分有り難い筈なのですから。

(そもそも、スタッフにも泊まる部屋のランク分けがあることも変な話だとは思いますが…)
posted by piyota at 07:18| 東京 ?J| Comment(4) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月08日

持ち帰り弁当の行方

我々ロケバスドライバーにとって、“持ち帰り弁当”というシステムは、意外に面倒なものであるといえます。

単純に言えば、まぁ余計な仕事が増えるというだけで、そう思い詰める程でもないのですが、出来れば本当に家まで持って帰ってくれないかなぁと、常々考えたりもしています。

そもそも“持ち帰り弁当”というシステムは、ロケ終了時または同移動時に、ちょうど夕夜食時間を迎えるような場合に、バラシ場所までの移動の間で各スタッフに可能な限り弁当を食べてもらうというものです。

ですがこのシステムは、実はロケバスドライバーにとってのみ圧倒的不利なシステムであり、移動を含む時間短縮以外には、自身の食事時間がないとか、ゴミの後始末等が増えるとか、ほとんどデメリットの方が上回ってしまうものばかりなのです。

ロケバスというのは、以前にもお話した通り、早い話スタッフにとってはコンビニ前のゴミ箱みたいなものです。 つまり車内で発生したゴミは当然のことながら、家庭内で発生したゴミまで持ち込まれる場合も無きにしも非ず、基本的に車内に残される弁当やゴミの多くは、各ドライバーの地道な努力によって処理されることになるのです。

という訳で、こうして持ち込まれた“持ち帰り弁当”のその後の処理は、制作サイドの手を離れ、ドライバー自身に委ねられます。

では委ねられた“持ち帰り弁当”は、その後どうなるのでしょうか。

大抵の場合、ほとんどのスタッフが食事後車内に放置して帰ります。 下車の際に出口付近に弁当ガラをまとめてくれるチームもありますが、座席または座席下への置き去りがほとんどで、極端なケースとして、発見がクランクアップ時のバラシになってしまうことも有り得えるのです。 また、人数よりも多く弁当が積み込まれた場合、結果的に大量に手付かずの状態で残ってしまいやすく、運良く撮影所やスタジオ等へ戻れば(衣裳積み替え等)、作業中のスタッフや警備員に配付したり、例外としてよく行くガソリンスタンドの店員や自社の内勤者、家族等に渡すこともありますが、このようなことはやはり異例で、残飯同様の運命を免れない結果となってしまうのです。

車内に残された弁当は、どのような場所に捨てる場合も、基本的にプラスチック製の容器と生物を分別しなければなりません。 これが現場なら制作部等との共同または各スタッフそれぞれに任せられるので、作業としてはユトリがあります。 ですが車内に放置される約20個程の弁当弁ガラに関しては、これを駐車場等に帰着後、ドライバー自身が分別しなくてはならないのです。

《片付けざる者食うべからず》

せめてゴミはゴミ箱へ、お願い致します。
posted by piyota at 12:31| 東京 ??| Comment(2) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月15日

gap

これは僕の勝手な思い込みかもしれませんが、ドラマや映画業界と雑誌音楽業界とでは、演じる被写体の方々もそうですが、現場にいるスタッフや車両パートも、おおよそ見た目で違うように思われます。

まぁ一概にそうとは言い切れない部分もありますが、これはやはりその歴史の深みに準ずるものであるような気もしているのです。

この日僕は、ある情報番組の仕事で、普段ドラマロケ等では使用しない、町場の白ホリゾントスタジオへ行きました。

このようなスタジオは、主に雑誌系(音楽、ファッション、カタログ等)の撮影で使用されることが多い訳ですが、やはりそのような仕事で訪れるスタッフや車両を見ていると、僕らのようなドラマや映画関係のそれとは違って、その内容同様、清潔感溢れるように思えたのですね。

まぁ言ってみれば、一目でどちらの仕事をしているスタッフ(車両)かということを、窺い知ることが出来るのです。

それらは勿論、仕事内容やそのハードさ、クライアントの気の使い方等によっても左右されたりしますから、どちらがいいとか悪いとか、そういうことでは全くありません。

そんな事情も考慮しつつ、撮影現場でのちょっとした違いを覗いてみたいと思います。

まずスタッフ。 これは明らかにそのファッション感覚が違います。

動き易さの重視、寒さ暑さ対策、汚れてもいいような服装、またそれら全ての環境対策万全の雑然としたドラマ・映画のスタッフに比べ、雑誌系のスタッフは、まずその内容同様、洗練されつつも尚きらびやかです。 モデルと見間違えるかのようなファッションや髪型は、さすがに最先端を地でいく感じで、傍目では仕事を楽しんでいるように思われます。

長期、長時間の仕事をこなさなければならないドラマ・映画のスタッフに比べ、そのようなハードな一面とは無縁のように思われる雑誌系の撮影現場。 ですが撮影にかかる準備と編集を全て自分でこなさなければならない雑誌系スタッフは、恐らくそのギャップを埋める為、現場ではあえて、そのようにしているのだと思うのです。 そういう意味では、普段もあまり変わらないドラマ・映画スタッフより、より神経が磨り減る仕事なのかも知れません。

そして車両。 これも仕事の内容が違う訳ですから、その体制が違うのは当たり前です。

スタッフ同様、長期長時間使用されるドラマ・映画系各車両は、その全てにおいて機能を優先されます。 つまり少々の汚れやキズ、スマートな移動は、この際二の次位な勢いな訳なんです(笑)

しかし雑誌系の車両は、そうもいきません。 短期集中とはいえ、少なくとも最先端を行く仕事ですから、使用するクライアントのニーズに応え、サービス、環境共に、万全の体制でなければなりません。 いや… 本来はどちらもそうでなければならないのですが、何しろドラマ・映画系車両は、車庫にも戻れない日が多く…(言い訳です)

そして各ドライバー。

車両部と呼ばれるドラマ・映画系ドライバーは、部として独立?している為、移動と積載物運搬、そして車両管理に集中します。 昔ながらのドライバー、映像の歴史と共に生きるドライバー等、その顔ぶれは俳優をも脅かす存在ですから、まさに職人と言っても過言ではありません。 ですから服装やファッションに気を使うよりも機能美優先てす。

一方、雑誌系ドライバーは、スタッフ同様、クライアントには気を使います。 少なくとも清潔感溢れる服装をするよう気をつけ、その仕事内容はドライバーというよりまさにアシスタント。つまりスタッフやモデル共々行動することを考慮すればこその気遣いが必要なのです。

もし街でロケ車らしきものを見掛けたら…

椅子を倒して足をダッシュボードに上げて寝ていたり、ラフな服装に場合によってはサンダルを履いていたり、寝起きのような髪型で赤い目を擦っているグループと、ニット帽にいかついサングラス、無精髭にチェーンやアクセサリーを身にまとっているようなグループのドライバーがいることを見極めてみて下さい。

恐らくどちらかがドラマ・映画系ドライバーで、どちらかが雑誌系ドライバーである筈です。

いずれにせよ、どちらも熱心に仕事に取り組む姿勢であることには違いありません。

重ねてお断り致しますが、これは単なる僕の思い込みです(笑)
posted by piyota at 13:41| 東京 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月23日

眠れる森の撮休

これは必ずしもそうと言えるものではないかも知れませんが、どうも連続系ドラマのスケジュールにおいては、撮休日前は深夜遅くまで撮影が行われるケースが多いように思われます。

今回を例にすれば、それは一目瞭然で、ここ1か月間の撮休前ロケは、必ずといっていい程、およそ26時〜28時辺りでの終了時刻となっているのです。

通常の場合、連続ドラマというのは1クールおよそ3ヶ月のロケ期間中、1週間のスケジュールが大体決まってくるものです。

それは出演する役者のスケジュール(生出演やその他のレギュラー)や、借りているセットのスケジュール等に左右される為で、例えば金曜〜日曜がロケ、月曜がセット、火曜がロケで水木曜が撮休といった具合に、まるで学校の時間割のような組み立てになるのですね。

金曜〜日曜ロケの場合、翌日もまた早朝からの撮影がありますから、理想を言えばタク送前の23時終了が目安。 遅くても24時半位には撮影が終了するようでなければスタッフや役者にも負担が掛かってくるようになります。

そこで、そうならないようにしないといけない訳ですが、撮休日にはロケハンや準備が色々と組まれているので思いのほか削れません。

つまり、自ずと撮休前のロケに皺寄せが来るようになっている訳なのです。

翌日が撮休日であれば、早朝、もしくは遅くまで撮影しても、レギュラースタッフは翌朝早く起きる必要もないので建て前だけは保てる、というのがスケジュールを考える側の思惑なんだと思います。

そんな思惑がありますから、得てして撮影にも悪い意味でゆとりが出来ます。 心のどこかに隙ができ、気が付けば白々と空が明るくなるまでの撮影になる場合も無きにしも非ずとなるのです。

そしてそこから改めてのロケセットバラシ。 移動、乗員機材のバラシをして、家に帰る頃には、ほぼ一般社会人達の通勤時間。

勿論家に戻れば皆死んだように眠り、気が付けば夕方、はたまた陽が暮れた後… なんて、1日を無駄に消費する事にもなり兼ねないのです。

レギュラースタッフなら明けた日付も仕事のうち。

ですが我々車両パートはレギュラーであるにも関わらず、悲しいかな撮休日には別の仕事が入っている可能性もあるのです。

ああ撮休日。

一体何時間家にいられれば撮休日と認識できるのしょう。

ただ無駄に寝るだけで終わる撮休日なら、働いていた方が、まだマシのような気もします。
posted by piyota at 10:34| 東京 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月12日

つながりの男

“つながり”とは、業界用語で言うところの、ロケの日時や場所を跨いで登場する出演者や美術のセット、飾り物や持ち道具、そしてエキストラに至る、劇中に登場するありとあらゆる物のことを指し、登場の無かった日時やシーンにかなりの間が空いたとしても、以前のシーンと限りなくつながった状態、いわゆる現状復帰が原則であるものなんですね。

ですから、一度バラされた部屋等のセットを復元する際には、もう一度同じもの(つながり品)を飾り込まなければなりませんし、つながっているシーンが日を跨いでしまう場合には、出演する出演者やエキストラは当然同じ人でなければなりませんし、勿論着ている服や髪型、持ち物に至るまで、全てつながっていなければならないものなのです。

そしてこれらの決め事は内トラ(スタッフがエキストラ)然りです。

もしこの内トラとして出演したスタッフが、私服等でつながってしまった場合、再び出演する日には、その日着ていた服を、勿論つなげてこなければならなくなるのです。

そしてこの日、内トラに関して、ある事件が起きてしまいました。

基本的にエキストラ事務所というのは、エキストラ達のスケジュールを管理し、日を跨ぐ場合には両日共に出演可能な人を選び、つながりの指示も適確に出す訳ですが、それらの指示の大元であるセカンド助監督がつながり出演する事となった今回の場合、現場では当然何も心配するには及ばない、という事を我々は信じて疑いもしませんでした。

しかし事もあろうにつながり出演予定の日の朝に、この助監督が姿を見せなかったのです。 単なる寝坊の遅刻だと思い、夕方からの出番に間に合えばと高を括っていたスタッフでしたが、なんと昼飯時となっても連絡がつかず、にわかに荒れ模様。

失踪… そんな言葉が頭をよぎったチーフ助監督は、心配のあまりこう呟いてしまったのです。

「つながり男の代役、どうする?」

本来なら失踪したかもしれない(実は行き倒れているかもしれない)部下を心配するのが人としての道徳ですが、この際そんな事より大事なのは現場の進行です。 チーフ助監督は、エキストラ事務所に連絡をとり、つながりの為に、この現れない助監督に似た顔の持ち主を本気で探し始めたのです。

−夕方前、セカンド助監督は、ばつが悪そうに現場に現れたそうです。 遅刻の原因は、ただの寝坊。

全く人騒がせな話です。

ですがもし、このセカンド助監督が一人暮らしの家で本当に行き倒れていたならば…

その発見は、クランクアップ後という事になっていたのかも知れません。

つながりはつながりでも、“人と人のつながり”

これが今のロケ隊には足りないような気がしています。
posted by piyota at 00:00| 東京 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月09日

逃がしの法則

別に悪さをしている訳ではありませんが、ロケ車両は時として逃げなければならない場合があります。

“逃がす”とは、そもそもそのロケ地において、外ロケならば各見切れやエンジン音、勿論違法駐車問題もありますし、ロケセットならば同じく搬入後の路上駐車等を考慮して、大型車なら近くの大通り、その他の車両は有料駐車場または程よく遠い路上へ、それぞれ近隣住民の迷惑にならぬよう速やかに移動させる事を指してそう言う訳ですが、さて各車両それぞれ重要な積載物や人員がある状態で現場へ到着した際に、どの車が最も重要で、どの車を優先して現場近くへ置いておかなければならないのか。

もしその逃がしの順番に迷ったなら…

まずは一つの現場を例に考えてみることにしましょう。

場所は雪が降りしきる極寒の地、北海道は道南に位置する地方都市。 気温マイナス1℃のナイターで、時々通り過ぎる車両以外は、雪の積もる音しか聞こえないようなとある静かな住宅地。 その中にある豪華な一軒家の玄関先でロケをした場合。


@ 役者のメイク直しや衣裳着替えをする為のロケバス

A 着替えた後の役者待機場所となる暖房付きキャスト車

B 突然の気候変動にも耐え得る備品を満載した制作車

C ナイター準備中の各お手すきスタッフが食べる弁当が積まれた制作2号車

D ドライバーのいない機材車

E 2tの積載物を全て現場に降ろし、後に照明用の5キロゼネを車内で稼動させる事になる照明トラック

F 警官鑑識等の色々な装具を満載した美術トラック

G 建物の外観等を装飾する為(飾り替えアリ)に先発していた装飾別ハイエース

H このロケ現場を交渉したロケコーディネーターの自家用&劇用車

I そのコーディネーターの呼び掛けで、忙しいさなか無償で集まって下さったボランティアエキストラの自家用車


さてこの中で最も、“どうなってもいい車両”はどれですか?

逃がす前に、まず消去法(複数個の中から選ぶとき、マイナス点の多いものを順次除外し、最後に残ったものをよしとする方法)で削ってみることにしましょう。

どの車両が、現場の最も近くに置いておけるのか。

自ずとその答えが見つかる筈です。
posted by piyota at 16:12| 東京 ????| Comment(5) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月01日

劇用車両の今後

劇用車といえば、車種を問わず、劇中では役者同様重要なポジションを担っている訳ですが、これら劇用車を一般道路上で撮影するにあたり、今まで以上に色々な規制や条件が絡むようになってきたのですね。

そのような規制は以前からも勿論あったのですが、基本的には違法な行為を承知で撮影を強行するロケ隊が、その辺の善し悪しに対して曖昧だった公共の機関等を押し通して、今日まで有耶無耶に撮影してきた訳です。

しかし最近になってやっと、その撮影方法についての問題が取沙汰されるようになり、その中でも特に、“白パト”や“救急車”等といった緊急車両系の劇用車達が、その特殊な外見故に、街中でのトラブルや勘違いの元になり易いという事が指摘されるようになってしまったのです。

つまり多くの一般市民にとって、これら緊急車両系劇用車達は、本物とニセモノとの区別がつかないということがその原因らしいのですね。

御存じのように、大抵の映画やテレビドラマでは、事件が起きると、必ずと言っていい程、これらの緊急車両系劇用車が登場します。

その度にロケ隊は、一般道路を含む色々な場所で、市民を巻き込みながら、これら劇用車両の撮影をしてきたのです。

勿論ドラマとはいえ、リアルも追及せねばなりませんから、迫力ある映像の為になら街中での追跡シーンや走行シーン、カーチェイス等の劇用車絡みのシーンは、必要不可欠です。

そして、これら街中での危険なシーンは、基本的にプロの警備員等による付近一帯の完全な道路封鎖の元、プロのスタントマン等によって、更に緻密な計算、準備があって初めて成立するもの…

…だと、聞かされていた公共の機関からの許可のみが共通で、実際の多くは2、3人程度の制作部の道路封鎖で、車両部等が劇用車を運転するといった簡易的な撮影が、そのほとんどを占めていたかと思われるのです。

その際に起きたであろう不手際が積もり積もって、今回のロケのような半自粛的な緊急車両系劇用車の撮影をせざるを得ない状況となってしまったのだと思います。

実は年末のオールスタッフの際に、劇用車の撮影方法についての話し合いが行われました。

それはとある公共の機関からの通達を受けた制作会社側の、現場サイドへの劇用車撮影方法に関する要求に始まりました。

その内容は、

《一般道路での劇用白パトの走行シーンは禁止》

《駐車場外または敷地外での道交法に違反するような劇用装飾の禁止》


等の、これまでの撮影方法を覆すような内容のものばかりだったのです。

これらの禁止項目の厳守は、今回に限らず、様々な現場でも今後必須となる事が必至です。

これらはリアルを追及したが故に、その反動を受けてしまったものかもしれません。

しかし今後、劇用車両の撮影には、色々な条件や規制がもっともっと加わると予想される筈です。

それらを踏まえた撮影方法を、運転させられる側も希望したいと思います。
posted by piyota at 09:28| 東京 ????| Comment(3) | TrackBack(0) | 業界常識? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする