バスの車内というものは、それ程賑やかではありません。
それは、バスには色々な部署や、各パートの技師から下っ端まで、ありとあらゆるスタッフが乗車しており、本当は共通の目的の中で仕事をしている筈なのに、作品に対する疑問はひた隠し、ある意味お互いのパート同士けん制し合っているかの如く沈黙する事で均衡を保ち、必要最低限の日常雑談と束の間の仮眠を堪能する事を主とするのが、この車両移動の隠れた目的だからなんですね。
しかしそんなバスの中に、突然ウィルスが侵入したとしたら、一体どうなってしまうのでしょうか。
この日の移動は全部で5か所。 よっていつもは自車でノコノコついて来るような主演役者付き専属メイクと、今日初めて現場に現れた専属スタイリスト事務所のお偉いさんが、この日だけは大変なので、バスでの移動という事になったのです。
まずは第1現場から第2現場への移動開始時、僕は僕自身、現場ではあまり見た事のないスタッフが、他のスタッフより真っ先にバス車内にある事をその時初めて知り、初めは「これはきっといつもイレギュラーで現れるプロデューサーみたいな人達なのだろう」と、そう思っていたのですね。
そして機材の撤収が終わったレギュラーの録音部スタッフが咥えタバコで戻って来た瞬間…
「ちょっと、タバコは止めてよ! 衣装に匂いがつくじゃない!!」
と、突然喚いたのです。
そこで僕は、初めてこの人たちは専属だと気付きました。
それより面を食らったのは録音部の方です。 いきなり見ず知らずの人間に、頭ごなしに怒鳴られたのですから仕方ありません。 憮然とタバコの火を消しはしましたが、やはり何処か納得がいかない様子。 それもその筈、だってクランクインしてから今までだって変わらず車内でタバコは吸っていたのですから。 まさに「今頃現場に現れて何を言うかっ!」 という心境だったに違いありません。
ここで一つ余談ですが、ドラマ等のロケでは、俳優の衣裳やメイクは、衣裳部やメイク部と呼ばれるパートが基本的に担当します。 ですが、大物になればなる程こだわりが出るようで、自分の趣味やイメージに合った専属のメイクやスタイリストを用意するようになる訳ですね。 つまりこのような場合、現場には2組の衣裳メイクがいる事になるのです。しかも専属は大抵態度まで主役。
ですが今回現場に来ていたのは人の良いアシスタントのスタイリストだったので、今まで平穏無事に過ごしていたのですが、ここへ来て、このスタイリストの上司とされる人物が満を持して現れてしまったという訳なんです。
案の定、移動中の車内は異様な空気に包まれていました。 なんせこの日初となるスタッフが車内のベストポジションに陣取り、大声で雑談しているのですから。
その後も、この上司スタイリストの行動には驚かされ続けました。
着いた先の現場では、アシスタントに現場を任せ、自分はバス車内で私用電話。
「先生いらっしゃるかしら? ○○と申しますが、先生にうちの父の絵を見ていただけるお約束をしているのですが…」と全く関係のない電話をしたかと思えば、今回とは別件の電話では「なんて監督? あー、あいつね…」みたいな会話を、まるで育ちが良くて、しかも仕事が出来るのよ的なトーンで僕に聞かせるが如く話しているのです。
その後、録音部3人はバスを追い出され、移動を制作車に変えさせられてしまいました。 いえ、もしかしたら率先して出て行ったのかも知れません。
そんな事もあり、移動中のバス内のレギュラースタッフは、すっかり畏縮してしまったのです。
そして帰り道。
皆を新宿駅でバラシた後、衣裳部とスタイリスト事務所での衣裳積み替え作業がありました。
バスの車内に残ったのは、衣裳部が1人とスタイリストの上司とアシスタントの合わせて3人。
まずは場所的にも新宿に近い衣裳部の衣裳を積み替えて、最後にスタイリスト事務所へと向う事となったのですが、そこで上司スタイリスト節がまたまた炸裂したのです。
「このバス、事務所の渋谷までどうやって行きます?」
と言われたので、丁寧に最短ルートを伝えました。 すると…
「わたし赤坂見附に行きたいのよ」
と、さも寄ってと言わんばかりの独り言が聞こえて来るではありませんか。 なので僕は…
「どこか近くの駅で降りますか?」
と、先手を打ちました。 上司スタイリストはまさかの答えに少々躊躇はしたものの、
「何線かしら…」
等と、今度はアシスタントの子へフリました。 その後しばらくの沈黙が続いたので、僕は一度バスを止め、上司スタイリストの反応を待っていたのですが、今度は一転して上司スタイリストが怒鳴ったのです。
「あんた何してるのよ! 私は赤坂見附に行きたいのよ!! 黙ってないで調べなさいよ!!!」
えええ〜〜、マジですかぁ?
あまりの突然なマジギレモードにアシスタントの子もなす術なしです。
仕方がないので、僕はとりあえず地図で路線図を見てあげて、そこから数百メートルに位置する地下鉄丸ノ内線の新宿三丁目駅を指示し、そこで上司に降りてもらう事にしたのです。
「積み替え終わったらメールしなさい!」
最後にこうアシスタントに言い残すと、上司は早々にバスを降りて行きました。
残った僕とアシスタント2人は、ただ呆然とその後ろ姿を見送る事しか出来なかったのです。
(無論…“赤坂見附”は、私的な用事であり、我々には一切関係ありません。)
でも皆をバラシた新宿駅にも丸ノ内線新宿駅があり、そちらの方が実は赤坂見附には早かったという事は、今でも二人だけの秘密にしてあります(笑)
追伸 この度の記事は連載?以来、
最長のものになってしまいました。
その長さが、ボクが経験した衝撃の、何よりの証拠です。(^_^;)
新着記事
2006年11月24日
2006年03月23日
ロケバスドライバーの見たスタッフたち 其の4 美術部の巻
美術部には、一口で言っても言い表せない位に沢山のパートがあります。
これは実は僕もちゃんと把握してはいないのですが、例えば、大道具、小道具、装飾、持ち道具、建具、生花、装置、特効等と呼ばれる色々な部門を総括して美術と呼んでいるのですね。
ですから美術部門は、それがスタジオであろうとロケであろうと、画面に映るもの全てのものを管轄していると言っても過言ではないのです。
その中でも、我々車両部と深い繋がりがあるのは、持ち道具と呼ばれる部門と装飾と呼ばれる部門です。 我々車両部は、通常ロケにおいて、この部門の方々と一緒に行動を共にする事になるのです。
まずは装飾。 ロケやセットにおける、いわば飾り付けをする人達ですね。
今の2時間ドラマのロケ地の主流は、ロケセットと呼ばれる実際の家や会社等の建物がほとんどですから、こういった撮影の度に、その台本に則した内容の飾り込みを各々にしなければならないのです。
つまり、それが例えば主人公の部屋であれば、その職業に見合った生活レベルの家具や持ち物で装飾しなければならないし、犯人の家なら、少し危ない感じの装飾、お金持ちの家の設定なら、高級そうな家具や絵等を飾る訳です。その他にもそれが会社や国民の公僕たる人々のオフィスであれば、事務所風の机や椅子、ロッカーやラック、それらの上や中に入る書類やファイル、電話やファックス、パソコン、お茶セット、ポスターや教訓等々…
それこそ、引っ越しのような大騒ぎとなるのです。
そしてそれらの家具や装飾物を運ぶのが、いわゆる“別トラ”と呼ばれるトラックです。 別トラは本隊とは全く別の動きをします。 ようはロケ隊の来る前に飾り込みをし、ロケ隊がいなくなった後に、それらのバラシをしなければならないのです。 ですからその動きは見た目以上にハードです。 何しろそれは、ロケ隊が来る前の早朝であり、帰った後の深夜であり、時にはその日のロケとは別に、翌日の飾りもやり前日のバラシもやりと、一日にそれらを何度となく繰り返す訳ですからね。 さらに美術スタッフはその間にも、色々な作り物(ビルの看板等)や準備(借用品引き取り)をしなければなりませんから、移動中以外は寝る暇もないというのが実情です。
そして持ち道具。 この部門は、それ以外の現場美術の全てを担当します。
それは出演俳優の身に付ける品である靴に始まり、腕時計やメガネ、手帳、文具類、帽子、傘、凶器、携帯、その他のアクセサリー、そして数多くいるエキストラの職業ごとの持ち回り品、警官、鑑識、救急隊員の装具一式、またパトカーや救急車に使われる劇用のナンバーやカッティング、更にオープンロケなら、見切れてはいけない看板や住所標記の隠しであるポスターや貼り紙類、飲食店でのロケなら、様々な食器や灰皿、消え物と呼ばれる劇用の食事の料理製作まで、その仕事量たるや、その準備段階を含めれば、この業界でも1、2を争うのではないかと思える位のものです。
そして驚く事に、この部門のほとんどが女性スタッフであったりするのです。 その辺はやはり大雑把な男性よりは… という事なのかも知れませんが。
そしてこれらを運ぶのが、通称“月定”と呼ばれる美術トラック、“美トラ”です。
美トラは、この持ち道具の手となり足となり、常に動かねばならないのです。 それは通常撮影部や照明部等のパートがアシスタントを含めて4、5人体制なのに対し、持ち道具には、アシスタントはおろか、現場だけの頼りないサード助監督が一人サポートしているだけ。 ですから当然これらをフォローするのも、自ずとドライバーの仕事になる訳です。
いずれにせよ、美術部は準備、ロケ共に過酷な仕事です。 最も睡眠時間の取れない部署と言えます。 ですが、出来た作品の画面には、最もその仕事の内容が映し出されるという恵まれた部署でもあるのです。
ただ難点なのは、台本の完成遅れに、その仕事の内容が、最も顕著に左右されてしまうこと。
ですから常に、ピリピリしたムードを漂わせているのが、ちょっと気掛かりといえば気掛かりです…
負けるな美術部! 死なない程度に。
piyo度指数 −140パーセント
これは実は僕もちゃんと把握してはいないのですが、例えば、大道具、小道具、装飾、持ち道具、建具、生花、装置、特効等と呼ばれる色々な部門を総括して美術と呼んでいるのですね。
ですから美術部門は、それがスタジオであろうとロケであろうと、画面に映るもの全てのものを管轄していると言っても過言ではないのです。
その中でも、我々車両部と深い繋がりがあるのは、持ち道具と呼ばれる部門と装飾と呼ばれる部門です。 我々車両部は、通常ロケにおいて、この部門の方々と一緒に行動を共にする事になるのです。
まずは装飾。 ロケやセットにおける、いわば飾り付けをする人達ですね。
今の2時間ドラマのロケ地の主流は、ロケセットと呼ばれる実際の家や会社等の建物がほとんどですから、こういった撮影の度に、その台本に則した内容の飾り込みを各々にしなければならないのです。
つまり、それが例えば主人公の部屋であれば、その職業に見合った生活レベルの家具や持ち物で装飾しなければならないし、犯人の家なら、少し危ない感じの装飾、お金持ちの家の設定なら、高級そうな家具や絵等を飾る訳です。その他にもそれが会社や国民の公僕たる人々のオフィスであれば、事務所風の机や椅子、ロッカーやラック、それらの上や中に入る書類やファイル、電話やファックス、パソコン、お茶セット、ポスターや教訓等々…
それこそ、引っ越しのような大騒ぎとなるのです。
そしてそれらの家具や装飾物を運ぶのが、いわゆる“別トラ”と呼ばれるトラックです。 別トラは本隊とは全く別の動きをします。 ようはロケ隊の来る前に飾り込みをし、ロケ隊がいなくなった後に、それらのバラシをしなければならないのです。 ですからその動きは見た目以上にハードです。 何しろそれは、ロケ隊が来る前の早朝であり、帰った後の深夜であり、時にはその日のロケとは別に、翌日の飾りもやり前日のバラシもやりと、一日にそれらを何度となく繰り返す訳ですからね。 さらに美術スタッフはその間にも、色々な作り物(ビルの看板等)や準備(借用品引き取り)をしなければなりませんから、移動中以外は寝る暇もないというのが実情です。
そして持ち道具。 この部門は、それ以外の現場美術の全てを担当します。
それは出演俳優の身に付ける品である靴に始まり、腕時計やメガネ、手帳、文具類、帽子、傘、凶器、携帯、その他のアクセサリー、そして数多くいるエキストラの職業ごとの持ち回り品、警官、鑑識、救急隊員の装具一式、またパトカーや救急車に使われる劇用のナンバーやカッティング、更にオープンロケなら、見切れてはいけない看板や住所標記の隠しであるポスターや貼り紙類、飲食店でのロケなら、様々な食器や灰皿、消え物と呼ばれる劇用の食事の料理製作まで、その仕事量たるや、その準備段階を含めれば、この業界でも1、2を争うのではないかと思える位のものです。
そして驚く事に、この部門のほとんどが女性スタッフであったりするのです。 その辺はやはり大雑把な男性よりは… という事なのかも知れませんが。
そしてこれらを運ぶのが、通称“月定”と呼ばれる美術トラック、“美トラ”です。
美トラは、この持ち道具の手となり足となり、常に動かねばならないのです。 それは通常撮影部や照明部等のパートがアシスタントを含めて4、5人体制なのに対し、持ち道具には、アシスタントはおろか、現場だけの頼りないサード助監督が一人サポートしているだけ。 ですから当然これらをフォローするのも、自ずとドライバーの仕事になる訳です。
いずれにせよ、美術部は準備、ロケ共に過酷な仕事です。 最も睡眠時間の取れない部署と言えます。 ですが、出来た作品の画面には、最もその仕事の内容が映し出されるという恵まれた部署でもあるのです。
ただ難点なのは、台本の完成遅れに、その仕事の内容が、最も顕著に左右されてしまうこと。
ですから常に、ピリピリしたムードを漂わせているのが、ちょっと気掛かりといえば気掛かりです…
負けるな美術部! 死なない程度に。
piyo度指数 −140パーセント
2006年03月17日
監督と助監督の関係
監督と助監督の関係には様々なものがあります。
運よく相性があえば、その後、何年もの間、同じ監督やチーフ助監督の下で経験を積む事が出来ます。
ですが、恵まれない上司であったり、相性の合わない(色々な問題で)上司に出会った場合には、その都度新しい人間関係を再構築していかなければならなくなるのですね。
しかし、それはそれで経験や仕事の幅は広がる訳ですから、一概にはどちらが良いとはここでは言い切れません。
ただ言える事は、付く監督によっては、将来を左右されるのではないかなぁ、ということです。
そこで僕が今まで経験した監督と助監督の関係を例にあげてみましょう。
まず始めに名物監督“Y”
これは言わずと知れた「殺すぞこのやろー!」監督ですが、この下に長く付いていたチーフ助監督は、既に何人も監督に昇格していまして、このほとんどが、今でもこの監督と似たようなテンションの高さを保持しています。 そしてさらにその助監督までもが、常に罵声を発し、現場を掻き回しているのです。 つまりコピーですね(笑) 皆がそろって、この監督のコピーだから目もあてられないのです。 このテンションは、これからも代々引き継がれて行くでしょう。 ただ救いなのが、現在のサード助監督が女の子だということ。 いや、もしかしてこれは違う意味でヤバイのかもしれないのですが…
また、長年全く同じチームでやり続けている演出部があります。 全く同じメンバーでやるという事は、結構珍しく、余程相性がいいのか、現場でも統率が取れており、上から下まで常に情報が行き届いているという意味では、他に類を見ない位、現場がドタバタしません。 そしてこの演出部の特徴が、いわば、代々下へ行けば行くほどしっかりしているのですね。 つまり監督がグダグタ言っているうちに、出来る助監督たちが「監督、どう撮りたいんですか! これこれこういう段取りで、こう撮りますから、これでいいじゃないですか!!」(実話)と、師匠である監督をあおる勢いなのです。 更にサードである助監督も冷静にすぐ上の上司を「もっと落ち着けばいいのに…」と判断します。 まあここのチームは、いい意味で日々無礼講だから、周りとしては、案外壁が無くていいですよね。
そしてもっとも厄介なのが、巨匠“O”
監督としてもベテランであり、その昔、チーフ助監督としても超一流の人材であった為に、出来ない助監督(スタッフを含む)が付いたりすると、それらを無視して、全て自分一人でやっていってしまうのです。 これは逆に下の者たちが大変です。 そしてこのような暴虐な態度は、準備段階から表れます。 まず台本は自分で書き直し、ロケハンに行っても、楽して探したであろうと見破られれば、車から降りてもきません。 更にチーフ助監督が自分の肌に合わないと判断した瞬間から、名前で呼ぶのは止め、口も聞かなくなります。 こうなると監督の意図や意思が現場には伝わらなくなり、後はもうグデグデの現場となっていってしまうのです。 こうなると助監督の信用性は更に失われ、出来ない助監督というレッテルを貼られてしまうようになるのです。
しかし、どのような監督に付いても、結局は自分次第。 やる気と考える能力、そして統率力が無ければ、監督業は務まりません。
これらを踏まえた上で、演出パートは更に精進して行かなければならないのです。
監督とは、我々スタッフを統率する責任者でもあるのですからね。
piyo度指数 60パーセント
運よく相性があえば、その後、何年もの間、同じ監督やチーフ助監督の下で経験を積む事が出来ます。
ですが、恵まれない上司であったり、相性の合わない(色々な問題で)上司に出会った場合には、その都度新しい人間関係を再構築していかなければならなくなるのですね。
しかし、それはそれで経験や仕事の幅は広がる訳ですから、一概にはどちらが良いとはここでは言い切れません。
ただ言える事は、付く監督によっては、将来を左右されるのではないかなぁ、ということです。
そこで僕が今まで経験した監督と助監督の関係を例にあげてみましょう。
まず始めに名物監督“Y”
これは言わずと知れた「殺すぞこのやろー!」監督ですが、この下に長く付いていたチーフ助監督は、既に何人も監督に昇格していまして、このほとんどが、今でもこの監督と似たようなテンションの高さを保持しています。 そしてさらにその助監督までもが、常に罵声を発し、現場を掻き回しているのです。 つまりコピーですね(笑) 皆がそろって、この監督のコピーだから目もあてられないのです。 このテンションは、これからも代々引き継がれて行くでしょう。 ただ救いなのが、現在のサード助監督が女の子だということ。 いや、もしかしてこれは違う意味でヤバイのかもしれないのですが…
また、長年全く同じチームでやり続けている演出部があります。 全く同じメンバーでやるという事は、結構珍しく、余程相性がいいのか、現場でも統率が取れており、上から下まで常に情報が行き届いているという意味では、他に類を見ない位、現場がドタバタしません。 そしてこの演出部の特徴が、いわば、代々下へ行けば行くほどしっかりしているのですね。 つまり監督がグダグタ言っているうちに、出来る助監督たちが「監督、どう撮りたいんですか! これこれこういう段取りで、こう撮りますから、これでいいじゃないですか!!」(実話)と、師匠である監督をあおる勢いなのです。 更にサードである助監督も冷静にすぐ上の上司を「もっと落ち着けばいいのに…」と判断します。 まあここのチームは、いい意味で日々無礼講だから、周りとしては、案外壁が無くていいですよね。
そしてもっとも厄介なのが、巨匠“O”
監督としてもベテランであり、その昔、チーフ助監督としても超一流の人材であった為に、出来ない助監督(スタッフを含む)が付いたりすると、それらを無視して、全て自分一人でやっていってしまうのです。 これは逆に下の者たちが大変です。 そしてこのような暴虐な態度は、準備段階から表れます。 まず台本は自分で書き直し、ロケハンに行っても、楽して探したであろうと見破られれば、車から降りてもきません。 更にチーフ助監督が自分の肌に合わないと判断した瞬間から、名前で呼ぶのは止め、口も聞かなくなります。 こうなると監督の意図や意思が現場には伝わらなくなり、後はもうグデグデの現場となっていってしまうのです。 こうなると助監督の信用性は更に失われ、出来ない助監督というレッテルを貼られてしまうようになるのです。
しかし、どのような監督に付いても、結局は自分次第。 やる気と考える能力、そして統率力が無ければ、監督業は務まりません。
これらを踏まえた上で、演出パートは更に精進して行かなければならないのです。
監督とは、我々スタッフを統率する責任者でもあるのですからね。
piyo度指数 60パーセント
2006年01月23日
ロケバス内の影の首領(ドン)
ロケバスには、色々なパートのスタッフが乗車します。
例えば助監督やスクリプター、ヘアメイクに撮影部、それと録音部、照明部、衣裳部、イレギュラーなところではスチールカメラマンやプロデューサー、そして時には俳優部やエキストラ等が乗る事となります。
これは他の現場においても、その基本はほぼ変わりません。
そして各パートの荷物はというと、撮影録音機材は、機材車。 照明機材は照明車。 美術等は美術車と、それぞれ各専用の車両が用意されているのですね。
ではロケバスには、一体どんな荷物が載っているのでしょうか?
ロケバスには人員輸送の他に、各専用の車両を持たないパートの荷物が積んであります。 それはメイク道具であったり、衣裳全般であったり。 その他車外のキャリア上には、イントレ台や移動車とレール等、いわゆる撮影特機と呼ばれているものが常備されています。
と、ここまでは以前にも何度か触れた事柄なのですが、つまり、各専用車両はそのパートの長の指示で動きます。 ですがロケバスを動かしているのは、一体どのパートなのか? …という事なんです。
これは基本的には制作部です。 制作部より発注を受け、制作部により配車時間を入れられ、その他現場における大抵の指示を制作部から受けます。
ですが…
ロケバスの中には、影の首領(ドン)が存在するのです。
それは何を隠そう衣裳部の方々なんです。 なぜならロケバス内の後部座席約3分の1を占めているのが、衣裳部の荷物だからです。 つまりロケバスは衣裳車とも言えるのですね。
ここで衣裳部の話を少し。 衣裳部というのは大抵、大きな撮影所内やテレビ局内にあります。 そこで各々に映画や番組の担当者がいて、その事務所内には大量の衣裳がところ狭しと並べられています。 中には特殊な衣裳や制服、または大量に同一のものを用意しなければならない場合等があり、そのような時は、各々専門の分野を扱う専門店よりレンタルしたりリースしたりして対応しているのです。
そしてその撮影準備段階は熾烈を極め、衣裳をただ集めるだけではなく、直したり、また無いものであれば作ってしまったりと、他のパートに負けず劣らず大変な仕事量となっているのですね。
そんな衣裳部の皆さんなんですが、経験上、大方二手に分かれます。
それは昔ながらの職人気質な方と、新進気鋭のいわゆる中堅どころです。
そして、ロケバス内の“影のドン”と呼ばれているのが、この昔ながらの職人気質な方達なのです。
つまり制作部が何を言おうと、どんな指示を出そうと、または、どんな交通事情があろうとも、そんなことはお構いなしで、ロケバスを自由自在にコントロールする力があるのですね。
それは例えば、制作部が「こちらへ止めて下さい」と出した指示(交通渋滞等への対策の為)に対し、「なんでそんなに遠くへ止めるの?」や「勝手に動かすな!」等とドライバーを一喝してくる人達等にこれらの傾向は多く見られます。 そしてこの際生じる交通渋滞や、近隣各所への配慮は衣裳の積み降ろしが最優先の為、一切考慮されないのです。
さらにこれらのベテランは人生をこの仕事へ捧げていますから、自ら撮影所の近くへと移り住み、いつでも事務所へ行けるように万全を期しています。
そしてロケバスは、ロケ終わりに新宿渋谷等でスタッフをバラシた後、衣裳積み替えと称して、ほぼ毎日衣裳部だけを乗せて撮影所へ戻ります。
例えその量がシャツ2枚であろうとも、それは電車に手持ちで載せるべきものではないからです。
そして5分の積み替えの後、ロケバスの業務は終了となります。
その際、衣裳部の方は、撮影所でバレか、タクシーの代わりに、自宅付近まで“ついで”にロケバスで乗せて行く事になるのです。
ロケバス私物化の時代。
その先陣を衣裳部が切ります。(~_~;)
piyo度指数 50〜−50パーセント
(人による)
例えば助監督やスクリプター、ヘアメイクに撮影部、それと録音部、照明部、衣裳部、イレギュラーなところではスチールカメラマンやプロデューサー、そして時には俳優部やエキストラ等が乗る事となります。
これは他の現場においても、その基本はほぼ変わりません。
そして各パートの荷物はというと、撮影録音機材は、機材車。 照明機材は照明車。 美術等は美術車と、それぞれ各専用の車両が用意されているのですね。
ではロケバスには、一体どんな荷物が載っているのでしょうか?
ロケバスには人員輸送の他に、各専用の車両を持たないパートの荷物が積んであります。 それはメイク道具であったり、衣裳全般であったり。 その他車外のキャリア上には、イントレ台や移動車とレール等、いわゆる撮影特機と呼ばれているものが常備されています。
と、ここまでは以前にも何度か触れた事柄なのですが、つまり、各専用車両はそのパートの長の指示で動きます。 ですがロケバスを動かしているのは、一体どのパートなのか? …という事なんです。
これは基本的には制作部です。 制作部より発注を受け、制作部により配車時間を入れられ、その他現場における大抵の指示を制作部から受けます。
ですが…
ロケバスの中には、影の首領(ドン)が存在するのです。
それは何を隠そう衣裳部の方々なんです。 なぜならロケバス内の後部座席約3分の1を占めているのが、衣裳部の荷物だからです。 つまりロケバスは衣裳車とも言えるのですね。
ここで衣裳部の話を少し。 衣裳部というのは大抵、大きな撮影所内やテレビ局内にあります。 そこで各々に映画や番組の担当者がいて、その事務所内には大量の衣裳がところ狭しと並べられています。 中には特殊な衣裳や制服、または大量に同一のものを用意しなければならない場合等があり、そのような時は、各々専門の分野を扱う専門店よりレンタルしたりリースしたりして対応しているのです。
そしてその撮影準備段階は熾烈を極め、衣裳をただ集めるだけではなく、直したり、また無いものであれば作ってしまったりと、他のパートに負けず劣らず大変な仕事量となっているのですね。
そんな衣裳部の皆さんなんですが、経験上、大方二手に分かれます。
それは昔ながらの職人気質な方と、新進気鋭のいわゆる中堅どころです。
そして、ロケバス内の“影のドン”と呼ばれているのが、この昔ながらの職人気質な方達なのです。
つまり制作部が何を言おうと、どんな指示を出そうと、または、どんな交通事情があろうとも、そんなことはお構いなしで、ロケバスを自由自在にコントロールする力があるのですね。
それは例えば、制作部が「こちらへ止めて下さい」と出した指示(交通渋滞等への対策の為)に対し、「なんでそんなに遠くへ止めるの?」や「勝手に動かすな!」等とドライバーを一喝してくる人達等にこれらの傾向は多く見られます。 そしてこの際生じる交通渋滞や、近隣各所への配慮は衣裳の積み降ろしが最優先の為、一切考慮されないのです。
さらにこれらのベテランは人生をこの仕事へ捧げていますから、自ら撮影所の近くへと移り住み、いつでも事務所へ行けるように万全を期しています。
そしてロケバスは、ロケ終わりに新宿渋谷等でスタッフをバラシた後、衣裳積み替えと称して、ほぼ毎日衣裳部だけを乗せて撮影所へ戻ります。
例えその量がシャツ2枚であろうとも、それは電車に手持ちで載せるべきものではないからです。
そして5分の積み替えの後、ロケバスの業務は終了となります。
その際、衣裳部の方は、撮影所でバレか、タクシーの代わりに、自宅付近まで“ついで”にロケバスで乗せて行く事になるのです。
ロケバス私物化の時代。
その先陣を衣裳部が切ります。(~_~;)
piyo度指数 50〜−50パーセント
(人による)
2005年12月21日
嘆きの制作担当
地方ロケといえば、最近では、よくフィルムコミッションさんのお世話になる事が一般化して来ましたが、それがその地方で少しだけしかないロケの場合やフィルムコミッション等の設定が無い地域の場合、制作部の担当自らが、自分の足で探すというシステムが日頃から日常的でした。
制作担当は、まず撮影する地域が決まったら、その場所から移動に負担のない範囲で、その物件を探し始めます。 そしてそこで台本の内容と照らし合わせ、その外観や室内がイメージに合っているようであれば、早速ロケ交渉に入ります。
ロケ交渉は、地方都内を問わず、どんな会社のどんな番組の撮影をさせて頂きたいかを、まずは概ね担当者に説明していくところからスタートとなります。
もし興味がなければ、大抵はこの時点で断わられます。 その場合は、また次の候補を探さなければなりません。
ですが、ここでもし運よく、興味を示された場合、さらに詳しい説明をしていく事になります。 それは例えていうならその物件を使ってどのようなモノを撮影するのか? 等です。 作品全体の内容自体もそうですが、例えばそれが企業であれば、宣伝に繋がるものなのかどうか、イメージダウンにはならないか等、細かい部分の説明も忘れてはならない訳ですね。
つまり撮影は許可出来ても事件性があるものはダメ。勿論銃撃戦や殺人シーンは論外、という企業は、当たり前の話ですが、この時点でNGとなってしまうからです。
しかしこういった部分を秘密にしたまま撮影をしてしまうロケ隊も未だに多く、これらの被害にあった物件は、例え好意的であったとしても、この時点でトラウマになってしまうようで、“二度と来ないでくれ!”となるのが一般的になってしまいます。
かくしてこちら側の条件である立地、イメージ、環境、スケジュール等と、物件側の興味、宣伝効果、スケジュール、使用料等の折り合いが付けば、晴れて撮影がGO!という事になる訳です。
しかし制作担当には息吐く暇もありません。
それが地方ロケなら尚更で、ロケには慣れていないこれらの物件をフォローする為、クランクイン前日、地方へ行く日、撮影の前日、ロケ当日の朝、その直前と、数回にも分けて、撮影に伺う旨を伝える連絡を入れなければならないのです。
それくらい念を押してこそ、地方ロケにおける初めての物件は成立するのですよ。
そしてあの日…
これらのフォローに加えて、その直前、制作担当が今から伺う旨を、直接告げに物件に赴きました。 期待高まるその企業は日曜にも関わらず多くの社員が、見学に訪れていました。
そしてその現場への移動直前。 無情にも、監督から、その物件のシーンを丸ごとカットというお達しがあったのです!
ロケ隊は、何事もなくその物件を飛ばして次へ移動して行きました。
そして一人残った制作担当は、この残念な結果を知らせる為、重い足を引きずってその物件を再び訪れたのです。
「おおー!!!」
扉が開いた瞬間、その物件のボルテージは芸能人見たさでやって来た日曜出勤の社員や家族達で最高頂に達していたそうです。
僕は、その場に立っていた制作担当の心境を、想像する事も出来ません。
いや、それ以上に、このロケを快諾してくれた、物件のその後を思うと、とても辛くてたまりません。
後日、この件を唯一知っている制作担当と僕は、この物件へ、出演者のサインを届けに行きました。
ロケ隊のメインスタッフ達は、この件すらも未だ知りません。
こうした陰の努力が、せめて作品に反映されますように。
そして無駄にもなりませんように。
頑張れ! 縁の下の力持ち!!
制作担当様!
piyo度指数 −120パーセント
制作担当は、まず撮影する地域が決まったら、その場所から移動に負担のない範囲で、その物件を探し始めます。 そしてそこで台本の内容と照らし合わせ、その外観や室内がイメージに合っているようであれば、早速ロケ交渉に入ります。
ロケ交渉は、地方都内を問わず、どんな会社のどんな番組の撮影をさせて頂きたいかを、まずは概ね担当者に説明していくところからスタートとなります。
もし興味がなければ、大抵はこの時点で断わられます。 その場合は、また次の候補を探さなければなりません。
ですが、ここでもし運よく、興味を示された場合、さらに詳しい説明をしていく事になります。 それは例えていうならその物件を使ってどのようなモノを撮影するのか? 等です。 作品全体の内容自体もそうですが、例えばそれが企業であれば、宣伝に繋がるものなのかどうか、イメージダウンにはならないか等、細かい部分の説明も忘れてはならない訳ですね。
つまり撮影は許可出来ても事件性があるものはダメ。勿論銃撃戦や殺人シーンは論外、という企業は、当たり前の話ですが、この時点でNGとなってしまうからです。
しかしこういった部分を秘密にしたまま撮影をしてしまうロケ隊も未だに多く、これらの被害にあった物件は、例え好意的であったとしても、この時点でトラウマになってしまうようで、“二度と来ないでくれ!”となるのが一般的になってしまいます。
かくしてこちら側の条件である立地、イメージ、環境、スケジュール等と、物件側の興味、宣伝効果、スケジュール、使用料等の折り合いが付けば、晴れて撮影がGO!という事になる訳です。
しかし制作担当には息吐く暇もありません。
それが地方ロケなら尚更で、ロケには慣れていないこれらの物件をフォローする為、クランクイン前日、地方へ行く日、撮影の前日、ロケ当日の朝、その直前と、数回にも分けて、撮影に伺う旨を伝える連絡を入れなければならないのです。
それくらい念を押してこそ、地方ロケにおける初めての物件は成立するのですよ。
そしてあの日…
これらのフォローに加えて、その直前、制作担当が今から伺う旨を、直接告げに物件に赴きました。 期待高まるその企業は日曜にも関わらず多くの社員が、見学に訪れていました。
そしてその現場への移動直前。 無情にも、監督から、その物件のシーンを丸ごとカットというお達しがあったのです!
ロケ隊は、何事もなくその物件を飛ばして次へ移動して行きました。
そして一人残った制作担当は、この残念な結果を知らせる為、重い足を引きずってその物件を再び訪れたのです。
「おおー!!!」
扉が開いた瞬間、その物件のボルテージは芸能人見たさでやって来た日曜出勤の社員や家族達で最高頂に達していたそうです。
僕は、その場に立っていた制作担当の心境を、想像する事も出来ません。
いや、それ以上に、このロケを快諾してくれた、物件のその後を思うと、とても辛くてたまりません。
後日、この件を唯一知っている制作担当と僕は、この物件へ、出演者のサインを届けに行きました。
ロケ隊のメインスタッフ達は、この件すらも未だ知りません。
こうした陰の努力が、せめて作品に反映されますように。
そして無駄にもなりませんように。
頑張れ! 縁の下の力持ち!!
制作担当様!
piyo度指数 −120パーセント
2005年10月12日
APさゆりのおしごと
みなさんエーピー(AP)という言葉を聞いた事があるでしょうか? これはいわゆる“アシスタントプロデューサー”の略で、撮影現場では主に、俳優のフォローをするスタッフの事なんですね。
例えば俳優が現場入りする時間にロケセットの前で出迎えたり、終わった後のお見送り、直接電車入りする俳優を駅まで迎えにいったりする事が主な仕事。 また現場でも常に俳優の近くで待機し、時には買い物やお使い、退屈しのぎの話相手になるなど、それこそ気を休める暇もないんですね。
それが地方ロケともなれば、少し離れた空港までの出迎えやお見送り、出番のなくなった俳優のホテルへの送迎と部屋への案内、そして遊びに行ってしまった俳優達の管理と連絡を一手に引き受ける訳です。
そしてこのAPという職業は、その大半が女性スタッフが担当しているのです。
僕はこの度、地方ロケで、このAP付きのドライバーに任命されました。 つまり、僕は、このおよそ15歳も年下の娘の言いなりとなって、働かねばならなくなったのです。
しかもこのAPさゆりは、かなりの天然っ娘。 いつもフワフワしていて、まるで今流行りのアニメキャラのよう。 だから見ているこっちがいつもハラハラドキドキしてしまいます。
例えば俳優送迎中の車内では、その助手席で容赦なく爆睡したりしますし、年配俳優に指示を与える姿は、どう見てもじいちゃんと孫です。
でもきっと、そんな大胆なところが大物の素質なのかもしれません。
僕は今、そんな彼女のいいなりです。
缶コーヒーや1本60円の団子を毎日与えられ、僕はそうやって、飼い馴らされていくのです。
もしかして、しっかりするのは僕の方だったりして。
APさゆり。
彼女は今も爆睡中です。
これからも逆境やわがままにも負けず、頑張って下さい。
piyo度指数 −20パーセント
例えば俳優が現場入りする時間にロケセットの前で出迎えたり、終わった後のお見送り、直接電車入りする俳優を駅まで迎えにいったりする事が主な仕事。 また現場でも常に俳優の近くで待機し、時には買い物やお使い、退屈しのぎの話相手になるなど、それこそ気を休める暇もないんですね。
それが地方ロケともなれば、少し離れた空港までの出迎えやお見送り、出番のなくなった俳優のホテルへの送迎と部屋への案内、そして遊びに行ってしまった俳優達の管理と連絡を一手に引き受ける訳です。
そしてこのAPという職業は、その大半が女性スタッフが担当しているのです。
僕はこの度、地方ロケで、このAP付きのドライバーに任命されました。 つまり、僕は、このおよそ15歳も年下の娘の言いなりとなって、働かねばならなくなったのです。
しかもこのAPさゆりは、かなりの天然っ娘。 いつもフワフワしていて、まるで今流行りのアニメキャラのよう。 だから見ているこっちがいつもハラハラドキドキしてしまいます。
例えば俳優送迎中の車内では、その助手席で容赦なく爆睡したりしますし、年配俳優に指示を与える姿は、どう見てもじいちゃんと孫です。
でもきっと、そんな大胆なところが大物の素質なのかもしれません。
僕は今、そんな彼女のいいなりです。
缶コーヒーや1本60円の団子を毎日与えられ、僕はそうやって、飼い馴らされていくのです。
もしかして、しっかりするのは僕の方だったりして。
APさゆり。
彼女は今も爆睡中です。
これからも逆境やわがままにも負けず、頑張って下さい。
piyo度指数 −20パーセント
2005年09月26日
ヘアーメイクの話から一転して…
ヘアーメイク(美粧部)がなんぼのもんじゃい!! あ、いや、突然失礼。
へアーメイクといえば、役者の髪の毛を整えたりメイクを作り上げるプロ中のプロ。 その他スタッフが集まり出す数時間も前から現場入りし、撮影開始までの間にその仕事をやり終えないといけない過酷な作業。 また現場が始まっても、常に役者に付きっきりで、汗を拭いたり、化粧や髪の毛を直したり、ウチワで仰いであげたり、日陰を作ってあげたりと、それこそ移動中以外は寝る暇もないというのが現実です。
だからといって、立場的には決して偉い訳ではありません。
仕事のうちで、例えば役者の入り時間が変わった旨を助監督が伝え忘れたとします。 このような時はヘアーメイクが助監督に怒ってもいい事柄です。 これは当然の権利といえます。
しかし、朝の集合場所で、時間ギリギリにやって来て、自分が乗るロケバスを見つけられずに出発時間に遅刻したのを、「なんで迎えに来ないのよ! ロケバスがどれか分かんないじゃない!! 幽霊みたいに突っ立ってんじゃないわよ!」と、助監督の頭を平手で叩いて、人のせいにするのは如何なものでしょう。
この場合、朝の集合場所は、いつもロケ隊が集まる場所です。 恐らくこのメイクさんは、かなりのベテラン(見た目)で、この集合場所にも数十年通っていると思われます。 ですから、毎日同じ場所にロケバスを止められないという事も、当然承知の筈。 しかし、歩いても数100m以内という狭い範囲の中で、何故自分の足で探すという行動に移せなかったのか。 既にこのロケが始まって10日以上も経っているのに、未だに自分の乗るバスが分からないといのもおかしな話です。
つまりは自分が遅れた言い訳を、下っ端の助監督に押し付けてごまかしたいだけだったのですね。 僕も長い事、この集合場所に通っていますが、遅刻したスタッフに限って、このような言い訳をします。 そして大抵言われる事が、「そんな所に止まってるなんて、思いもしなかったよ。」とか「いつもと違う場所だから探しちゃったよ。」とか「角から見えないんだもん」等と、とかくロケバスのせいにしたがるのです。
まぁ、ご存知ないスタッフもいるかも知れませんが、改めて言っておきますと、ロケバスは集合時間の30分以上も前から、そこにいます。 すこし早めに来て、探してみたらどうでしょう。 きっとあなたにも見つけられると思いますよ。(^o^)/
いかん! 話が大きく逸れてしまった!
結局のところ、この組のヘアーメイクさんは、かなり甘やかされた(待遇の良い)環境のロケ現場でばかり仕事をしてきたのかも知れませんね。 ですから、集合場所でもバスを見つけられず、車から車への荷物を載せ換えるにも、その車が1mと離れていてもいけないし、別のパートの仕事にも口出しをする、といったような行動をとってしまうんですね。
プロのスタッフの皆さん、まず環境に合わせて自分を変える努力をしましょう!
まぁ、僕は変わりませんけどね。(笑)
へアーメイクといえば、役者の髪の毛を整えたりメイクを作り上げるプロ中のプロ。 その他スタッフが集まり出す数時間も前から現場入りし、撮影開始までの間にその仕事をやり終えないといけない過酷な作業。 また現場が始まっても、常に役者に付きっきりで、汗を拭いたり、化粧や髪の毛を直したり、ウチワで仰いであげたり、日陰を作ってあげたりと、それこそ移動中以外は寝る暇もないというのが現実です。
だからといって、立場的には決して偉い訳ではありません。
仕事のうちで、例えば役者の入り時間が変わった旨を助監督が伝え忘れたとします。 このような時はヘアーメイクが助監督に怒ってもいい事柄です。 これは当然の権利といえます。
しかし、朝の集合場所で、時間ギリギリにやって来て、自分が乗るロケバスを見つけられずに出発時間に遅刻したのを、「なんで迎えに来ないのよ! ロケバスがどれか分かんないじゃない!! 幽霊みたいに突っ立ってんじゃないわよ!」と、助監督の頭を平手で叩いて、人のせいにするのは如何なものでしょう。
この場合、朝の集合場所は、いつもロケ隊が集まる場所です。 恐らくこのメイクさんは、かなりのベテラン(見た目)で、この集合場所にも数十年通っていると思われます。 ですから、毎日同じ場所にロケバスを止められないという事も、当然承知の筈。 しかし、歩いても数100m以内という狭い範囲の中で、何故自分の足で探すという行動に移せなかったのか。 既にこのロケが始まって10日以上も経っているのに、未だに自分の乗るバスが分からないといのもおかしな話です。
つまりは自分が遅れた言い訳を、下っ端の助監督に押し付けてごまかしたいだけだったのですね。 僕も長い事、この集合場所に通っていますが、遅刻したスタッフに限って、このような言い訳をします。 そして大抵言われる事が、「そんな所に止まってるなんて、思いもしなかったよ。」とか「いつもと違う場所だから探しちゃったよ。」とか「角から見えないんだもん」等と、とかくロケバスのせいにしたがるのです。
まぁ、ご存知ないスタッフもいるかも知れませんが、改めて言っておきますと、ロケバスは集合時間の30分以上も前から、そこにいます。 すこし早めに来て、探してみたらどうでしょう。 きっとあなたにも見つけられると思いますよ。(^o^)/
いかん! 話が大きく逸れてしまった!
結局のところ、この組のヘアーメイクさんは、かなり甘やかされた(待遇の良い)環境のロケ現場でばかり仕事をしてきたのかも知れませんね。 ですから、集合場所でもバスを見つけられず、車から車への荷物を載せ換えるにも、その車が1mと離れていてもいけないし、別のパートの仕事にも口出しをする、といったような行動をとってしまうんですね。
プロのスタッフの皆さん、まず環境に合わせて自分を変える努力をしましょう!
まぁ、僕は変わりませんけどね。(笑)
2005年07月17日
ロケバスドライバーが見たスタッフたち 其の3 制作部の巻
制作部という仕事は、はっきり言えば、現場での雑用がメインです。 と、誰もが常に思い込んでいます。 しかしその準備段階での仕事量は、半端なものではありません。 現場をスムーズに進行させる為の備品の用意や許可の取得、ロケハンや数々の交渉事を、全て担っているのです。 現場は制作部なしでは回転しません。 という事を我々スタッフは再認識しなければいけないのです。
制作部の仕事はまず、撮影の準備段階から始まります。
テレビ局や制作会社のプロデューサーが、過去の実績、経緯等から、制作部の親玉である、制作担当を決めます。 担当はさらに、右腕的存在の制作主任と、子分的存在の制作進行を自ら探し出し、ここで初めて制作部が結成されるのです。
担当は台本を読んだ後、予算の見積もりを出し、プロデューサーと制作費についての打ち合わせをし、現場で使う費用などを管理します。
更に担当と主任は、分担して台本に沿ったロケ地等を交渉し、進行は、ロケ地への電話連絡や交渉出来そうなロケ地のピックアップ、担当や主任が決めたロケ地付近の道路使用許可の申請等の雑務をこなしていきます。
さらに色々なパートのスタッフが決まってくると、今度はそれらの会社への連絡、ロケ地図の作成やFAXの送信、現場で使う備品の購入や用意といった具合に、その準備は人知れず大変なものになっていきます。
現場はさらに過酷を極め、日々のお弁当の用意配布、使用するロケ地への挨拶、養生、交通誘導や人員整理、音止め、苦情処理、スタッフの散らかしたゴミの片付け、コーヒーの配布に、煙草や馬券、宝くじ等を買って来いという、スタッフの雑用エトセトラ…
果たして本当にこれでいいのでしょうか?
制作部という仕事は、現場の進行をスムーズにする事が、最大の努めです。 確かに各スタッフの我がままを聞く事が、現場をスムーズにするというのも一理あります。 しかしそれは現場にいる他のスタッフの協力なしでは、実現不可能なのではないでしょうか?
実際のところ、テレビドラマの世界を例に挙げた場合、そのほとんどが、現場の進行を乱しているのが、制作部以外のパートである事が窺い知れます。
というのも、大抵の場合それは、本当は制作部だけの仕事ではないからです。
車止めや音止めをする場合、“うるさい” と言っているのは録音部です。 ですから「静かにさせろ!」とか「ちゃんと止めろ!」等と制作部に言うのは間違いですし、「この弁当まずい」と制作部を叱っても、作った訳ではありません。 更に街中で照明用のゼネを置いて苦情を言われた照明部が、「じゃあ、どこ置きゃいいんだよ!」や「ちゃんと説明しとけ!」というのもどうかと思いますし、またそういったロケ現場で、物を雑に扱って壊したスタッフが、「謝っておいてよ」とか「こんな所に置いとくなよ制作部!」等というのも、正直理不尽な話ではないかなと思う訳ですね。
そもそも「制作部!」という呼び方自体、人を見下した態度であるし、それはよく我々が、「ねぇ運転手さん!」みたいに、人を格下にみたもの言いをされる場合に感じるものとよく似ていますから、傍から聞いているとやっぱりそういうスタッフの態度は印象が悪かったりするのですよ。
映画の世界では、照明部が、雨降らしをしたり、プロデューサーが交通誘導をしたり、スクリプターが特機を運んでいたり、メイクが美術の飾り付けをしていたりしています。
テレビの世界では、車止めをしている制作部に座ってるだけのスタッフが、「コーヒー持ってきてよ」と言ったりしている。
果たしてこんな事で、本当に現場がスムーズに進行するのでしょうか?
もっと協力し合える環境が、このテレビ業界にも早急に構築される事を願って、「明日もガンバレ制作部! …さん」と、僕は叫ばずにはいられない。
追伸 まぁ“出来る”制作部だけとは限らないので(~_~;)、あえてタイトルはこう変更しよう。
《ロケバスドライバーが見たスタッフたち 其の3 “出来る”制作部の巻》
piyo度指数 −70パーセント
制作部の仕事はまず、撮影の準備段階から始まります。
テレビ局や制作会社のプロデューサーが、過去の実績、経緯等から、制作部の親玉である、制作担当を決めます。 担当はさらに、右腕的存在の制作主任と、子分的存在の制作進行を自ら探し出し、ここで初めて制作部が結成されるのです。
担当は台本を読んだ後、予算の見積もりを出し、プロデューサーと制作費についての打ち合わせをし、現場で使う費用などを管理します。
更に担当と主任は、分担して台本に沿ったロケ地等を交渉し、進行は、ロケ地への電話連絡や交渉出来そうなロケ地のピックアップ、担当や主任が決めたロケ地付近の道路使用許可の申請等の雑務をこなしていきます。
さらに色々なパートのスタッフが決まってくると、今度はそれらの会社への連絡、ロケ地図の作成やFAXの送信、現場で使う備品の購入や用意といった具合に、その準備は人知れず大変なものになっていきます。
現場はさらに過酷を極め、日々のお弁当の用意配布、使用するロケ地への挨拶、養生、交通誘導や人員整理、音止め、苦情処理、スタッフの散らかしたゴミの片付け、コーヒーの配布に、煙草や馬券、宝くじ等を買って来いという、スタッフの雑用エトセトラ…
果たして本当にこれでいいのでしょうか?
制作部という仕事は、現場の進行をスムーズにする事が、最大の努めです。 確かに各スタッフの我がままを聞く事が、現場をスムーズにするというのも一理あります。 しかしそれは現場にいる他のスタッフの協力なしでは、実現不可能なのではないでしょうか?
実際のところ、テレビドラマの世界を例に挙げた場合、そのほとんどが、現場の進行を乱しているのが、制作部以外のパートである事が窺い知れます。
というのも、大抵の場合それは、本当は制作部だけの仕事ではないからです。
車止めや音止めをする場合、“うるさい” と言っているのは録音部です。 ですから「静かにさせろ!」とか「ちゃんと止めろ!」等と制作部に言うのは間違いですし、「この弁当まずい」と制作部を叱っても、作った訳ではありません。 更に街中で照明用のゼネを置いて苦情を言われた照明部が、「じゃあ、どこ置きゃいいんだよ!」や「ちゃんと説明しとけ!」というのもどうかと思いますし、またそういったロケ現場で、物を雑に扱って壊したスタッフが、「謝っておいてよ」とか「こんな所に置いとくなよ制作部!」等というのも、正直理不尽な話ではないかなと思う訳ですね。
そもそも「制作部!」という呼び方自体、人を見下した態度であるし、それはよく我々が、「ねぇ運転手さん!」みたいに、人を格下にみたもの言いをされる場合に感じるものとよく似ていますから、傍から聞いているとやっぱりそういうスタッフの態度は印象が悪かったりするのですよ。
映画の世界では、照明部が、雨降らしをしたり、プロデューサーが交通誘導をしたり、スクリプターが特機を運んでいたり、メイクが美術の飾り付けをしていたりしています。
テレビの世界では、車止めをしている制作部に座ってるだけのスタッフが、「コーヒー持ってきてよ」と言ったりしている。
果たしてこんな事で、本当に現場がスムーズに進行するのでしょうか?
もっと協力し合える環境が、このテレビ業界にも早急に構築される事を願って、「明日もガンバレ制作部! …さん」と、僕は叫ばずにはいられない。
追伸 まぁ“出来る”制作部だけとは限らないので(~_~;)、あえてタイトルはこう変更しよう。
《ロケバスドライバーが見たスタッフたち 其の3 “出来る”制作部の巻》
piyo度指数 −70パーセント
2005年07月09日
ロケバスドライバーが見たスタッフたち 其の2 撮影部の巻
撮影部といえば、映画、テレビ業界を問わず、技術部門ではピカイチの花形です。 撮影現場において、やはり一番目立つポジションは、このカメラマンといっても過言ではないでしょう。 しかしこの両者、ある一面で大きく異なるのです。 一見同じような仕事をこなしているこの両者。 その違いとは、一体なんなのでしょうか?
一番大きく異なるのは、そのカメラマンとしての知名度です。 ハリウッド映画の世界では、監督にも値する評価を受け、ディレクターズオブフォトグラフィーなる仰々しい名前でスタッフテロップにもクレジットされます。 そして時には、「スピード」「ツイスター」のヤン・デ・ポンのように、自ら監督業にも名乗りを上げてくるカメラマンも実際にはいる訳です。
日本の映画界では、まだそれほどでもありませんが、カメラマンの力が大きいのは確かで、現に木村大作さんや(故)篠田昇さんなど、名前をあげられるカメラマンは大勢いるのに対し、あの有名な月9を撮ったカメラマンは? とか、あのカメラマンの撮ったドラマだから見ようとか、そういった時にパッと名前が挙がらないのが、テレビカメラマンの知名度の低さとして現れているように思われるのです。
もしかすると、その作品の見方やカメラマンの所属の仕方が左右しているのかもしれません。 前述、お金を払う映画に対し、チャンネルを回すといつでも映るテレビ。 お金を払うなら、自分の好きな作品、好きな作風、好きなスタッフの画作りを重視したい。 一方テレビの場合、つまらなければ、チャンネルを回してしまえばいい訳ですから、それほどスタッフにこだわる必要もない。 確かに映画は、監督やカメラマンの名前を見ただけで、“見たい!”と思ったりもしますが、テレビドラマの監督やカメラマンでって話は、聞いた為しがないのが正直事実だったりするのです。 後述、所属に関していえば、単独フリーのフィルムカメラマンと、技術会社所属カメラマンとでは、出て来る名前に差(個人名と技術会社名含む個人名)があるのも、理由の1つに挙げられるのだと思います。
ではこの両者、修行の具合はどうでしょう。
テレビカメラマンの場合、多くは技術会社に就職をします。 そこでまずカメラアシスタントとして、色々な雑用、技術、そして経験を重ねます。 しかしそういった会社勤務の場合、時にはバラエティーや情報番組、取材や物撮りまで、ありとあらゆるカメラワークを会得させられます。 これらが、ドラマ作りの基礎となって、約5年をめどに、カメラマンとしてデビューしていくのです。
一方フィルムのカメラマンは、まず撮影助手として働けるまでに、下積みがある場合があります。 例えば、スタジオマンとして、例えば機材レンタル屋として、部品の名前やメンテナンス、取り扱い等を覚え、そこで初めて、助手としてスカウトされたり、現場に付いたりといった具合に、思いの他、その門は狭かったりするのです。 その後さらに、フィルムを管理するサード、カメラを担ぎ、フォーカスを担当するセカンド、絞りを主に担当するチーフへと、長い長い道のりを経て、約10年か15年かけて、カメラマンとして表舞台に立つこととなるのです。
僕が思うに、テレビカメラマンもフィルムカメラマンも、画を作る技術に大差はないと思うのです。
ただテレビカメラマンの場合、会社の看板を背負ってる分、どうしてもオペレーターの域を脱し得ないのではないかと思う訳です。 それは単純に言うと、自分の撮りたいものを撮ることが出来ないと言う意味です。 ニュースにしろ、バラエティにしろ、情報番組や物撮りにしろ、テレビの世界では、時間やスポンサー等、数々の制限を与えられます。 中にはドラマでさえも、セットなどで見られる、“マルチ”といわれる撮り方(数台のカメラで同時に収録する方法)があり、メインカメラマン以外は、監督の割り通りに、ただ、サイズを変えていくのみという、単調な作業の繰り返しを強いられます。 これではきっと機械でも撮れるのではないか? などと、少しばかり憤りを感じているカメラマンも当然いると思われるのです。
その点、フィルムカメラマンは、映画をやりたければ、それに徹することが出来ます。 自分の撮りたいアングルや、理想の画作りをすることも夢ではない世界です。 その代わり、仕事の量や収入は、理想とは程遠いかもしれません。 時間や数々の犠牲も必要かもしれません。 さらにその責任の重さは、テレビカメラマンに比べて、重く、そして大きく圧し掛かります。 それはビデオテープの場合、直ぐに再生チェックが出来るのに対し、フィルムの場合、その特性でもある、現像するまでその良し悪しが分からないというところがあるからです。 つまりその作業が終わるまでは、確実に見えないプレッシャーを抱えてるといっても言い過ぎではないのです。
カメラマンの知名度… それはもしかしたら、その責任の重さに比例しているのかもしれませんね。
piyo度指数 60パーセント
一番大きく異なるのは、そのカメラマンとしての知名度です。 ハリウッド映画の世界では、監督にも値する評価を受け、ディレクターズオブフォトグラフィーなる仰々しい名前でスタッフテロップにもクレジットされます。 そして時には、「スピード」「ツイスター」のヤン・デ・ポンのように、自ら監督業にも名乗りを上げてくるカメラマンも実際にはいる訳です。
日本の映画界では、まだそれほどでもありませんが、カメラマンの力が大きいのは確かで、現に木村大作さんや(故)篠田昇さんなど、名前をあげられるカメラマンは大勢いるのに対し、あの有名な月9を撮ったカメラマンは? とか、あのカメラマンの撮ったドラマだから見ようとか、そういった時にパッと名前が挙がらないのが、テレビカメラマンの知名度の低さとして現れているように思われるのです。
もしかすると、その作品の見方やカメラマンの所属の仕方が左右しているのかもしれません。 前述、お金を払う映画に対し、チャンネルを回すといつでも映るテレビ。 お金を払うなら、自分の好きな作品、好きな作風、好きなスタッフの画作りを重視したい。 一方テレビの場合、つまらなければ、チャンネルを回してしまえばいい訳ですから、それほどスタッフにこだわる必要もない。 確かに映画は、監督やカメラマンの名前を見ただけで、“見たい!”と思ったりもしますが、テレビドラマの監督やカメラマンでって話は、聞いた為しがないのが正直事実だったりするのです。 後述、所属に関していえば、単独フリーのフィルムカメラマンと、技術会社所属カメラマンとでは、出て来る名前に差(個人名と技術会社名含む個人名)があるのも、理由の1つに挙げられるのだと思います。
ではこの両者、修行の具合はどうでしょう。
テレビカメラマンの場合、多くは技術会社に就職をします。 そこでまずカメラアシスタントとして、色々な雑用、技術、そして経験を重ねます。 しかしそういった会社勤務の場合、時にはバラエティーや情報番組、取材や物撮りまで、ありとあらゆるカメラワークを会得させられます。 これらが、ドラマ作りの基礎となって、約5年をめどに、カメラマンとしてデビューしていくのです。
一方フィルムのカメラマンは、まず撮影助手として働けるまでに、下積みがある場合があります。 例えば、スタジオマンとして、例えば機材レンタル屋として、部品の名前やメンテナンス、取り扱い等を覚え、そこで初めて、助手としてスカウトされたり、現場に付いたりといった具合に、思いの他、その門は狭かったりするのです。 その後さらに、フィルムを管理するサード、カメラを担ぎ、フォーカスを担当するセカンド、絞りを主に担当するチーフへと、長い長い道のりを経て、約10年か15年かけて、カメラマンとして表舞台に立つこととなるのです。
僕が思うに、テレビカメラマンもフィルムカメラマンも、画を作る技術に大差はないと思うのです。
ただテレビカメラマンの場合、会社の看板を背負ってる分、どうしてもオペレーターの域を脱し得ないのではないかと思う訳です。 それは単純に言うと、自分の撮りたいものを撮ることが出来ないと言う意味です。 ニュースにしろ、バラエティにしろ、情報番組や物撮りにしろ、テレビの世界では、時間やスポンサー等、数々の制限を与えられます。 中にはドラマでさえも、セットなどで見られる、“マルチ”といわれる撮り方(数台のカメラで同時に収録する方法)があり、メインカメラマン以外は、監督の割り通りに、ただ、サイズを変えていくのみという、単調な作業の繰り返しを強いられます。 これではきっと機械でも撮れるのではないか? などと、少しばかり憤りを感じているカメラマンも当然いると思われるのです。
その点、フィルムカメラマンは、映画をやりたければ、それに徹することが出来ます。 自分の撮りたいアングルや、理想の画作りをすることも夢ではない世界です。 その代わり、仕事の量や収入は、理想とは程遠いかもしれません。 時間や数々の犠牲も必要かもしれません。 さらにその責任の重さは、テレビカメラマンに比べて、重く、そして大きく圧し掛かります。 それはビデオテープの場合、直ぐに再生チェックが出来るのに対し、フィルムの場合、その特性でもある、現像するまでその良し悪しが分からないというところがあるからです。 つまりその作業が終わるまでは、確実に見えないプレッシャーを抱えてるといっても言い過ぎではないのです。
カメラマンの知名度… それはもしかしたら、その責任の重さに比例しているのかもしれませんね。
piyo度指数 60パーセント
2005年06月20日
ロケバスドライバーが見たスタッフたち 其の1 照明部の巻
照明部といっても、色々ありましょう。 昔ながらの伝統と技術を重んじる映画屋一派。 そして速さと機動力が売りのテレビ屋一派。 さてこの勝負、ロケバスドライバーが己の独断と偏見で裁断いたしやす。
さて早速、映画の照明部と、テレビドラマの照明部の違いをあげてみましょう。
まず、その人物構成。 映画の照明部は、ほとんどがフリーの集まりです。 まず照明技師が決まり、その技師が独断で精鋭を集めます。 人数は5人以上。 機材は機材屋からのレンタル品で、その量は、発電機などの電源を含まず、2トン〜4トントラックに満載となります。 そしてその他に、電源車と呼ばれる車両を常時従えます。
一方テレビドラマの照明部の場合、大体が会社単位で動きます。 ほとんどが社員で、機材も自社所有物を使用します。 人数は3〜4人。 ワゴン車に全員が乗車し、それに納まる程度の機材、そして電源を携行して移動します。
ではなぜこんなにも差があるのでしょう? それは、それぞれのカメラの性能の違いのせいです。 映画で使うカメラにはフィルムを使用します。 これが、そもそも大量の明かりがないと、映らないのです。 ですから沢山の照明機材を必要とし、想像以上に時間も掛かる訳です。
しかしテレビカメラの場合、見た目以上に明るく撮れてしまうので、それを補う程度の明かりさえあれば、成立してしまいます。 時間の節約にはなるのですが、プロの照明マンとしては少し物足りないというのが、正直なところなのかもしれません。
また、その他にも、いくつかの理由が存在します。
それは前述したスケジュールの問題です。 映画には一日のスケジュールに多少のユトリがあります。 ですから、一日中、現場を全く移動しないというスケジュールが多く組まれたりするのです。 よって照明部は、大量の機材を、お店を出すかのようにゆったりと広げられるのです。
それに対しテレビドラマの場合、多い時で、一日5〜8箇所も移動します。 これには照明部といえど機動力が必要となります。 そうでもしないとスケジュールが消化出来ないというプレッシャーが常にある訳なんですね。 ですからこの形が、必要に駆られて進化した結果ということになるのでしょう。
すでにどうでもいいことですが、最後にロケバスドライバーである僕のコメントです。 どちらも適材適所、理に叶っています。 しかし僕が一緒に仕事をしたいと思うのはテレビ一屋派です。 なぜなら、テレビ屋一派の撤収は、ものの20〜30分です。 しかも全員が自社の車に便乗して帰ります。 しかし映画屋一派の場合、撤収が1時間半から2時間程度掛かります。 さらに助手さんたちはトラックには乗れず、ロケバスで移動します。 …さて、もうお分かりですよね?
照明部の皆さん、これからも頑張って下さい!
piyo度指数 50パーセント
さて早速、映画の照明部と、テレビドラマの照明部の違いをあげてみましょう。
まず、その人物構成。 映画の照明部は、ほとんどがフリーの集まりです。 まず照明技師が決まり、その技師が独断で精鋭を集めます。 人数は5人以上。 機材は機材屋からのレンタル品で、その量は、発電機などの電源を含まず、2トン〜4トントラックに満載となります。 そしてその他に、電源車と呼ばれる車両を常時従えます。
一方テレビドラマの照明部の場合、大体が会社単位で動きます。 ほとんどが社員で、機材も自社所有物を使用します。 人数は3〜4人。 ワゴン車に全員が乗車し、それに納まる程度の機材、そして電源を携行して移動します。
ではなぜこんなにも差があるのでしょう? それは、それぞれのカメラの性能の違いのせいです。 映画で使うカメラにはフィルムを使用します。 これが、そもそも大量の明かりがないと、映らないのです。 ですから沢山の照明機材を必要とし、想像以上に時間も掛かる訳です。
しかしテレビカメラの場合、見た目以上に明るく撮れてしまうので、それを補う程度の明かりさえあれば、成立してしまいます。 時間の節約にはなるのですが、プロの照明マンとしては少し物足りないというのが、正直なところなのかもしれません。
また、その他にも、いくつかの理由が存在します。
それは前述したスケジュールの問題です。 映画には一日のスケジュールに多少のユトリがあります。 ですから、一日中、現場を全く移動しないというスケジュールが多く組まれたりするのです。 よって照明部は、大量の機材を、お店を出すかのようにゆったりと広げられるのです。
それに対しテレビドラマの場合、多い時で、一日5〜8箇所も移動します。 これには照明部といえど機動力が必要となります。 そうでもしないとスケジュールが消化出来ないというプレッシャーが常にある訳なんですね。 ですからこの形が、必要に駆られて進化した結果ということになるのでしょう。
すでにどうでもいいことですが、最後にロケバスドライバーである僕のコメントです。 どちらも適材適所、理に叶っています。 しかし僕が一緒に仕事をしたいと思うのはテレビ一屋派です。 なぜなら、テレビ屋一派の撤収は、ものの20〜30分です。 しかも全員が自社の車に便乗して帰ります。 しかし映画屋一派の場合、撤収が1時間半から2時間程度掛かります。 さらに助手さんたちはトラックには乗れず、ロケバスで移動します。 …さて、もうお分かりですよね?
照明部の皆さん、これからも頑張って下さい!
piyo度指数 50パーセント





